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第十三話 追放へ

「ルアンソワ様が浮気さえしなければ、二人の関係が壊れることなく、このまま結婚へ進めたはずです」


わたしがそう言うと、継母は、


「あなた、ずいぶん傲慢ね。自分の魅力が足りなかったからだって、なんで思わないのかしら。かわいそうな人」


と今度はわたしを憐れむように言う。


それを受けて、


「傲慢にも程があるわ。身の程しらずとはこのことね。わたしのように魅力があれば、婚約破棄などと言うことはありえないのに。かわいそうになってくる」


と異母姉も言ってきた。


二人とも自分のことを棚に上げているのは、どういうことなのであろう。


わたしよりもよっぽど傲慢だと思う。


「あなたは我が子爵家の名誉ある伝統に大きな打撃を与えた。さて、これからどうしたものだろう?」


少し柔らかい笑いを浮かべる継母だが、表情には冷たさがある。


「どうします?」


異母姉は興味津々のようだ。


「どうするのが一番いいだろう?」


継母は急に真剣な表情になった。悩んでいるような言い方をしている。


しかし、継母はもうわたしの今後のことを決めていると思う。


それは、多分、この家からの追放。


この会議が始まる前までは、追放されることはないだろうと思う気持ちは少しだけあった。


継母もそこまではしないだろうと思う気持ちがあった。


少し柔らかい笑いを浮かべたりしているので、追放されない可能性があるようにも思える。


それならいいのだけど……。


しかし、表情や口調は変化しても、一貫してわたしを攻撃するという態度をとっている。


少し柔らかい笑いを浮かべたというのは、むしろ心が決まったことを意味するのだと思う。


もう追放される以外の選択肢はないということだ。


継母は、以前から異母姉とわたしをこの家から追放したがっていた。


しかし、異母姉については、家と家の関係があって難しい。


その為、継母は異母姉へのイジメを続けて、異母姉の方からこの家を出たくなるようにしたかったようだが、異母姉はその気の強さで対抗し続け、この家に居続けている。


その点、わたしの母は男爵家の出だ。家格が違う。


しかも、わたしに対して冷たい態度をとっている。


わたしがこの家から追放されても、我が子爵家に抗議したり、わたしを男爵家に迎えることはないだろう。


したがって、継母さえその気になったら、いつでもわたしを追放できる。


今回の婚約破棄は、その絶好の口実を継母に与えてしまった。


今、継母の口調が柔らかくなってきているのも、追放するということを決めたからだと思う。


異母姉もそれを感じ取っているのだろう。


またすぐにいがみあうのだと思うが、今は継母に同調している。


「さて、ではあなたの今後を決めようと思う」


「どうするのです?」


「あなたはどうしたいと思っている?」


継母は異母姉に聞く。


「この子をどうするかは、お継母様にお任せします」


少しふざけたような口調で言う異母姉。


「お任せね……」


少しムッとする継母。


「そうです」


「こういう時だけ、わたしのことを立てるんですから。全くいい性格しているわ」


「いけませんか?」


「まあいいわ。では後見役のわたしが決めることにする。いいわね」


「いいわ」


「お母様の思い通りに」


異母姉も異母妹も了承した。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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