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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第3章:常夜都市「ミドガル」/蜜月にナイトメア

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7:依頼人は薔薇色乙女

リラという女性は、なんというか…可愛いと綺麗が同居できている美人だと個人的には思う。

しかし、それはあくまで「個人的な感想」だ。

エミリーの目線だと、リラという女性はまた別の印象を抱いているのだろう。

もちろん、周囲にいる人間も、彼女の客も、皆彼女へ抱くイメージが異なるはずだ。

しかし、バラバラであるはずの印象は全てとある事が一致している。


「リラ、今日も綺麗ね」

「当然よ。いつだって「皆の理想」でありたいもの。努力は怠れないわ」


精神保護を行い、彼女の術を無効化している今だからこそ、ありのままの彼女の姿が見えてくる。

柔らかな輪郭を持つ顔、薔薇色の瞳、陶器のように白い肌。

少し癖のある金髪は少しでも癖を取り除いたものになるように、手が加えられている。

うん。術なしでも美人だな。


「…なに、悟ったように頷き続けているのですか」

「いやぁ、可愛いって素晴らしいね」

「ありがとう、ノワさん」

「…リラが可愛いのは当然です」

「でもやっぱり、綺麗に保つための努力とか…」

「かなりしているわ…。もう毎日!面倒くさ〜い!って思うぐらいのケアをね」

「大変ですねぇ…」

「当然です!リラは凄いんです!貴方がしないような努力をいっぱいしています!」

「努力ぐらいしているさ。私だって賢者だからね」


思い出しただけでも吐き気がするような「努力の時間」を過ごしているのさ。

目的がある分、やる気は耐えなかったが…そんなものがない状態で師匠との修行に耐えられるわけがない。

事実、弟子入り志願をした上で弟子になれたのは陽雪さんと私のみ。

それ以外は以外は全員脱落しているからなぁ。相当厳しいとしか言い様がないだろう。


だから私は努力している!師匠のスパルタに耐えた時間を経たからこそ!現在進行形で強い子をやれているのだ!


「…なるほど。貴方の強さは才能ではなく努力だと」

「運と才能と時間はもちろんだけれども、何よりも大義と忍耐力に恵まれていたからね」

「大義?」

「勇者と一緒に魔王退治って立派な大義だと思わない?」

「それは、言えていますが…貴方、そんなことを言うタマですかね?」


実際の大義は物語に関することだけれどね。

それに力があればアリアの、永羽ちゃんの生存率が上がる。

やれることも増えるのだ。力をつけることは今後も継続すべき義務だと私は考えている。


「ま、魔王退治…」

「どうしたんです、リラさん」

「い、いいえ?あなたはエミリーと同級生ということは同い年でしょう?怖くないのかなぁって…」


ふむ。やはり夢魔…混血とはいえ半分は悪魔族。魔王の配下側にあるってところかな…。

私に化物を見るような視線を向けるあたり、彼女の本質はやはり人間側ではなく悪魔側のようだ。

———本筋と変わっていないようで安心した。

いざという時はエミリーの知り合いだからとかそういうのを抜きで手を下せそうだ。

ミリアの時のように…エミリーを納得させる理屈の用意は、必要だろうけどね。


「怖いのは、野放しにして奴らに支配された未来でしょう?戦うことは怖くないよ。殺すだって、躊躇はしない」

「…そう。大変ね、勇者一行も」

「どうしたの、リラ?具合が悪い?」

「勇者と賢者…その二人の行く末を想像したらちょっとね」

「本当、昔から想像力が豊かねぇ」


エミリーはそう言うけれど、彼女はおそらく心を多少読んでいるはずだ。

夢魔は餌を得るために人をたらし込む必要がある。

だから姿はその人物にとっての「理想」であり、言動もまた「理想」

効率的に食事へありつくための戦略だ。


混血だから力量は未知数だが、これまで読心を使用して効率的に食事を行っていたはずだ。

せっかくだ。私も「読心魔法」を使って、心を読んでやろう…。

さてさて、この女。何を考えて…。


(…どうしてわからんの?)

(いままで、こんなことはなかったんやけど)

(エミリーの話やと、賢者なんよね。アホっぽいけど…)


こいつ今私のことをアホっぽいって言ったな?顔か?顔からアホさがにじみ出ているのか?

これでも賢者ぞ?賢い者ぞ?

しっかし、リラ…作中でも死んでいるから出てくることがなかったし、回想は「理想のお姉さん」みたいなキャラを作っていたから知らなかったが…方言キャラだったとは。

そういうギャップ。とても良いと思います。


(けれどあれでも賢者。実力は確かなもの…なんよね?)

(やっぱり混血とは言え魔族ってところやろうか…。勇者の代わりに私を殺しに来たんかなぁ…)

(ヤダぁ…殺意高めやし、容赦なく攻撃魔法ぶっ放してきそうやし…早く帰ってくれんかな…)


うん。心を読むというのは何というか、イラッとするな!

必要な事態以外ではもう絶対に使わないようにしよう。そう心に決めつつ、彼女の要望通り早く帰るために情報を引き出しておこう。


「リラさん。再会が喜ばしい気持ちもわかるけれど、そろそろ本題に入りましょう。相当面倒な事態だから、エミリーを呼んだのは確かなんですよね」

「え、ええ…そうね。ねえ、エミリー。貴方、悪魔に関してはどれほどの知識がある?」

「少々かじった程度かな。専門ではないから、なんとも言えないし…」

「実はね、ここ最近。悪魔の被害が報告されているの。人死にも出ているわ」

「この都市に、悪魔が…」

「隠れるのにはちょうどいい場所だから、仕方がないかもしれないわね。けれど、黙って見過ごすことはできない。だから、腕の立つ冒険者に依頼をかけているけれど…」

「なかなか、引き受けてくれないの?」

「そうね。相手が悪魔だから…」


悪魔は基本的に魔法では倒せない。

浄化魔法で弱らせることはできるが、トドメは聖剣を持つ勇者だけしかできない。

誰も引き受けないのは仕方がない話。

倒す手段を持ち合わせていない一般人は、悪魔を封印する程度しか成せないから。


…私たちが立ち入らなくても、ミリアなら引き受けてくれそう。

だけれども、彼女一人で純血の悪魔一体はきついだろう。

そしてリラもまた、彼女が相手取るには厄介な相手だ。

ミリアはなんだかんだで情が厚い。

それは彼女の長所であり、最大の短所ともいえる。

…エミリーの家族に、ミリアが手をかけられるわけがない。

それにミリアは回復魔法以外使えない。戦力としては除外した方がいいだろう。


「一応魔族は浄化魔法で足止め程度は可能だね。エミリー、一応確認しておくけど、浄化魔法は使えるっけ?」

「初級だけですね。けれど、順調に旅が進めばミリアが到着します。彼女は上級浄化魔法が使用できるので…」

「うっそ。ミリア、浄化魔法覚えたの?」

「ええ。回復魔法だけじゃ、このままじゃだめだからと…私もミリアに初級の浄化魔法を教えて貰いました」

「ふむ。皆、変わり始めたか」


物語が変化を得たように、登場人物たちにも変化が訪れたらしい。

物語上では回復魔法だけしか使えなかったミリアが支援魔法を覚えた。しかも浄化魔法も含めて。

これは、少し使えるかもな。


「エミリー、ミリアたちの到着予定は?」

「一ヶ月後ですね。ミドガルだけでなく、道中の小さな村に寄るとも言っていたので」

「リラさん。危険を承知でお願いしたいのですが…お客さんを始め、他の住民からも悪魔に関する情報を集められますか?」

「噂話程度になるわね」

「それでも構いません。攻撃手段や、被害状況のこと、被害者の特徴。目撃情報も含め、できるだけ情報を集めてほしいんです」

「…倒せるの?」

「今は勇者がここにいる。倒せる可能性が高い」


やはり、アリアへ向けられる期待と悪魔討伐の外堀を私が埋めているような気がするが、彼女たちに今、必要な事は安心感。

倒せる存在がいる、頼れる存在がいる。それは人々に安心感を与えてくれるだろう。。


同時に、大変申し訳ないのだがアリアの方に注意を引ける。

現在進行形でアリアの元には舞園と水さんがいる。

あの二人なら、悪魔一匹程度なんて事なく相手取るだろう。

…相性次第だけれども。


「その為には連携が大事…か。いいわ。情報収集はヴァジュウェギュシェミュミョが受け持つ。ひとまず一週間、時間を頂戴」

「もちろん。それじゃあ私は帰るよ。愛しのアリアが待っているからね!」

「付き合わせてごめんなさい、ノワ」

「いいって。同級生のよしみだろ?」

「…そんなことを言うとは、随分変わりましたね」


後でたんまり報酬は請求するけれど!

本心をひた隠しにしつつ、私はヴァ…なんたらを後にする。

それから軽く街を歩き、日が暮れる頃にアリアたちがいるはずの路地へ足を向かわせた。

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