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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第7章中:「鈴海」/福音と幸福の断片

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28:太陽神フレアルテへの謁見

「・・・」


冷静に考えろ

周囲に人はいない。妙だ

害をもたらすはずの存在が前にいるのに、それでいて制御リングは制御を効かせている

そして私を臣下と呼んだ

この女に私は精霊と名乗っていないのに、精霊だと見抜いた

そして極めつけは、私に痛みを与えてきたことだ


「・・・貴方は母・・・フレアルテ様の関係者で」

「貴方を作った太陽神そのものよ。貴方の世界ではそう呼ばれていたかしらね」

「嘘だ」

「嘘じゃないわよ。現に、私の匂いが貴方に告げているでしょう?」


暖かくて、嗅いでいるだけで心が穏やかになる香り

二ノ宮家で「おひさまのかおり」と説明されたそれと同じ代物が今、とても濃く香る

残り香のようなそれとは違う


「・・・まあ、そうですね。創始の匂いがします」

「ま、これ体臭みたいで嫌なんだけど・・・身分証明としては都合がいいのよね。で、パシフィカ。そろそろ自分が何をしたらいいかわかるわね」

「ええ」


その合図と共に、制御リングの鍵が外れる音がする

これから何をしたらいいかなんて、嫌でもわかる

羽根を開き、陽精の姿で頭を下げ、膝を立てる


「母よ。非礼をお許しください」

「別にいいわよ。私への非礼なんてどうでもいいわ。それよりも」

「それよりも」

「貴方ねぇ!私の夏彦ちゃんをマネキンにして楽しかったかしら!?」

「なつひ・・・ああ、あの方ですか。ちょうどそこにいたので」

「ちょうどそこにいたっていうのは、あの子の場合だと偶然じゃないの!必然なの!貴方の性質があの子をホイホイしたに決まっているでしょう!?」

「ほいほい・・・」


なぜ、私はただそこにいる人に協力を求めた結果、母に叱られなければならないのだろうか

私、なにかしちゃいました?


「あの子、凄腕の神ホイホイよ!?私以外の神も大量にホイホイしてるし!周囲にいた女だけじゃない!周りには神を憑けた人間も大量にホイホイホイホイ!あの子には本当に困らせられているんだから!でもそういうところが好き!」

「は、はあ・・・」

「けど私、他の神から接触禁止令をだされちゃって」

「それ、重度のやべーストーカーにお出しされる令状ですよね」


私知ってます。この世界歴浅くても知ってます

だって椎名さん相手に「職務時以外の接近禁止令」を出された変態を二人ほど知っているからです

それを聞かされた後、千早さんに法律を軽く教えていただきましたからね

私、わかるんです


「まあそれは置いておいて」

「置いておけませんよ・・・」


心の底から信じていた母・・・神がホイホイ人間をストーカーして接触禁止令を出されているだなんて、ソレア様含めスメイラワースに住まう同胞には聞かせられない

自分達を作り上げた象徴たる太陽・・・母フレアルテが表に出して恥ずかしい存在だったなんて・・・

まあ、逆に腑に落ちた部分もあるわけだから・・・色々と複雑ではありますね

ソレア様が露出狂なのも、この女の影響を受けていると思えば妥当なものだ

変態は変態しか生まれない

・・・私はその中の、突然変異個体だと思っていたい


「で、なぜ私はその程度で怒られているのでしょうか」

「夏彦ちゃんと遊ぶならちゃんと私に報連相しなさいよ」

「連絡先知らないんですけど。てかいりません。連絡したら、何が起きたんですか?」

「嫌ね。近づけないなら撮影をするまでよ。リボンをつけた夏彦ちゃんなんてレアだから、是非とも撮影をさせてほしかったのよ!そんな機会を貴方は・・・っ!」

「どうしようもなくて安心しました」


母のお気に入りに手を出したからとか、割と理不尽な理由で怒られたかった

なんですか、撮影機会を逃したから説教だなんて


「どうしようもないとはなんなのよ」

「事実どうしようもないでしょう。こんなのが最高神だなんて、恥ずかしいにも程がある」

「貴方はそんな恥ずかしい存在から生まれたのよ」

「ない胸を主張しながら誇らないでください。その事実を受け入れたくはありません」

「誰が貧乳よ!」

「そこまでの暴言は言っていませんよ」


ただでさえ原作者ときみやしおんも変人なのに、設定上の創造主まで変人なんてどうしようもありません


「・・・仕方ありませんね。私の記憶を読み取ることはできますか?」

「できる」

「ではそれで勘弁してください。私の目はきちんと彼を映していました。貴方が望むものが得られるかと思います」

「やった」

「し〜か〜し!条件があります」


無条件で記憶を読み取ろうとしてくる母を制止するため、条件をつけておく

神とはいえ、こんなどうでもいい願い

聞き入れてくれるとは流石に思わないが、ダメ元で条件をつけてみた


「何でも言って頂戴?世界の壊滅からこの世界への渡航権までなんでも用意してあげるわ」

「貴方はなんでも知っているのですよね」

「ええ。貴方が置かれている状況も、変わってしまったそれもね」

「では、願いは一つだけですね」

「貴方は聖夜に何を祈るのかしら」

「願いはただ一つ。・・・・」

「あ、貴方。正気!?」

「いつだって私は正気ですよ。さ、何でも叶えてくれるんですよね?寄越してください。貴方の神器を」

「ぐぬぬ・・・夏彦ちゃんの可愛い姿の為なら仕方なし」


仕方なくないだろう。神器だぞ

神が持つ武具を寄越せと言っているんだぞ・・・

それをたかが人間の男との買い物記憶だけで得られるなんて世も末じゃないか


「交渉成立ね。はい。神剣ヘリオス。私、剣が苦手だからここ数千年使用してないの。これなら持って行っていいわ。加工もOK。返却不要。ただスメイラワースに寄贈だけはだめ。貴方が生き続ける限りそれは貴方の手に収めて。そして死に間際になったら再び私を呼びなさい。取りに来てあげるから」

「あ、ありがとうございます・・・」

「それと記憶ごちそうさま!あ、ここで会ったことは他言無用よ!プライベートだから!」

「わ、わかりました・・・」


そそくさと立ち去る太陽神の背を見送った後、手に握られたそれを一瞥する


「・・・とんでもないアイテムを貰ってしまった」


とりあえず、こんな厳つい代物を持っていては目立つ

マジックポケットにそれを無言で収納し、普段通りの生活に戻ろうとすると・・・


「あわわわ・・・」

「・・・エミリー」


一部始終を見ていたらしいエミリーが、青ざめた顔で私を見上げていた


・・



ミリアの元へ帰る前に、私は先程の一部始終に関する詳細をエミリーに話しておく


「と、いうわけでして」

「先程の変人さんは神様だったんですか・・・本当に不思議なことばかり起きますね」

「ですね」

「しかしパシフィカ・・・私が言うのも何なのですが、とんでもないものを手に入れましたね、貴方」

「そうですね。想定外でしたよ本当に」


「貴方の目論見では、どういうものを受け取る予定だったのですか?」

「そうですね。護身のお守りとか。最低でもミリアとベリアに一つずつ」


神器の要求は流石に拒絶されると踏んでいたので、お守りを貰える想定をしていた

しかし私の予想は外れ・・・神器を貰っちゃったというわけだ


「ぱっと見た限り、神器の名にふさわしい力を持ったものだと思います」

「こんなものを貰っても、流石に反応に困るというか、愛剣もあるのに使いどころがないというか・・・」

「永羽も聖剣と舞光に挟まれていたときはそんなことを考えていたかもしれませんよ」

「あ、そっか。永羽にはその時代がありましたね」

「それに、二つの剣を巧みに扱う・・・杖という違いこそありますが、一咲も同様の経験をしています」


一咲は一咲で、ナティアにて二つの杖を使用した戦闘を行っているようだ


「つ、つまりですね。私が言いたいのは・・・一つにこだわらなければ、色々な戦い方ができるのではないですか?ということです。二刀流とか!」

「またヴェルに怒られそうな・・・」

「向こうは能力面でまた強くなっているので気にするべきではないかと」

「それもそうですね。ありがとうございます、エミリー。少し視野が広がりました」

「いえいえ。私にできることは少ないですが、できることは全力でさせてくださいね。では、お互いにプレゼントを買い終えているのならミリアの元へ戻りましょうか」

「ええ。あ、エミリーは既にプレゼントを買い終えているのですか?」

「勿論です。貴方もですか?」

「ええ。もう買い終えています。後が楽しみですね」

「そうですね」


後の予定へ心を弾ませつつ、私達はミリアの元へと足を進める

合流後、しばらく適当に店を回っていたのだが・・・途中でミリアが「買いたいものが決まった」と店の方へ向かい、買い物を済ませてくる


それから三人で相談して、二ノ宮夫妻にお世話になっているお礼を購入することにした


しばらくすると合流時間となり、伊依さんからヴェルを預かり・・・野々原さんと合流し、最後には別の場所で紅葉さんの代役を務めていた地井さんと合流する

大量の荷物を持った彼から「紅葉と千早へ」と預かってきた荷物を、私とミリアが預かることになる

責任を持って渡さなければいけない代物をマジックポケットに収納した後・・・私達は帰りの船に乗り込んだ

おまけ:おまけ抜きで累計100万文字だよ、永羽さん、一咲さん。


永羽「ついたよ一咲ちゃん。ここが100万文字の峠だよ」

一咲「ほぼノンストップで一年かぁ・・・長かったね」

夏彦「遂にここへたどり着く者が来てしまったか・・・」

一咲「おまだれ」

夏彦「一話前に出てきただろう・・・」

永羽「私達、貴方に会っていませんので・・・」

夏彦「 」


・・


一咲「なるほどねぇ。巽さん、偉大なる先輩枠でここに来ちゃったんだ」

夏彦「ああ。なんだかんだで100万文字達成は俺以来らしい。そういうわけだからこのお前に引っ張られた感じだな。おそらく二年ぶりだぞ?」

永羽「なんか凄いところに来ちゃったんですね」

夏彦「そうなるな。間が何回か開いて、それこそ二年かけて達成した俺たちと比べて、君達はおおよそ一年での達成になる。奴がここまで積み重ねができる人間に育ったと思うと涙が出るな」

一咲・永羽(ずっとここで仲間が増えるのを待っていた人間の言葉は重いな・・・)

夏彦「しかし君達は止まる気なんてものはない。なんならここだって折り返しだろう?」

一咲「ええ。私達はまだまだ先に進みますよ」

永羽「ここは通過点にしか過ぎません」

夏彦「そうか。じゃあ先に進んで、君達が「次」を開いてくれ」

夏彦「恩返しの、その先へ」


・・


大台と言えば大台。一周年と300話達成前に通過点「100万文字」を達成しました。

前回100万文字を超えたのは「恩返し」になるのですが、そこは追加に追加を重ねて約200話。やっとこさ100万文字を達成したというある意味「追加劇」で駆け抜けた100万文字になります。

こうしてリアルタイムで投稿をし続けて、一年以内にここへ到達できたのは賢者様が初となります。

これも賢者様ご一行を見守り続けてくださった皆様の支えがあったからこその話です

本当に、ありがとうございます

本作は鈴海編を終えたら折り返し。恩返しのその先へ・・・個人的最終目標であり、完結までの想定文字数「200万文字」に向けて、これからも無理なく駆けていくことになります

どうかこれからも、賢者様ご一行を・・・そして本作をよろしくお願いしていただければ幸いです。

それではまた、数話後に


2024年6月7日 鳥路

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