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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第7章上:「鈴海」/星の光と青鳥は君と共に

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21:その時が来たら、お前は覚悟を選べるか?

商業エリアに到着した私達は二組に分かれて買い出しを行うことになった


「優梨ぃ!流石に俺だけじゃ気まずいって!」

「我慢なさい」

「永羽ちゃんと離ればなれとかやだやだ!私もそっちがいい!」

「服の趣味が違うからなぁ・・・」

「「そんなぁ!」」


けれど保護者扱いになる方々は時雨さんがいるとはいえ、こちらは実質紅葉さんのみ

優梨さんと葉桜さん

そして永羽ちゃんとミリア、エミリーとヴェルの組に混ざりたい気持ちはある

なんなら分かれず、全員で買い出しに行けばいいじゃん!とは思うのだが・・・

この組み分け、まさかの永羽ちゃん発案なのだ

彼女にも何か考えがあるのだろう。だから頭ごなしに全てを否定することはできない


「まあまあ、仲良くやろうぜ」

「私達にスカートは似合いませんよ。てか趣味はお互いズボンでしょう?」

「確かに私は衣装関係でロングスカートだったけど!どちらかと言えばスカートじゃなくてズボン派だし、二人もズボンだったけどさぁ!ここは挑戦すべきでは!?」


「私、流石にミリアが好きそうなお清楚真っ白ワンピースを着れと言われても困ります」

「ヴェルが好きそうなミニスカ、履いてそうに見えるか?」

「やっぱり自分が好きかつ似合う服を買いたいですね」

「無理して挑戦すべきとは思わないな」

「まあ、二人の趣味がこれならいいけどさぁ」

「「それに向こうの組、嫌な予感するから」」

「・・・なんで?」


ベリアが無言で私に誰を見るべきか指で示してくれる

・・・優梨さんの影にいる葉桜さんだ

この世の終わりみたいな死んだ目を浮かべている彼は、誰にも聞こえない程の小さな声で何かを言っている

ベリアとパシフィカに目配せして、こっそり「集音魔法」を耳にかけて葉桜さんの声を聞き取れるようにしてみる


「これ絶対買い物長い奴・・・気まずさが上がるが紅葉のところに混ざりてぇ・・・」

「「「あっ・・・」」」

「でも優梨が俺を連れてきたってことは選んでほしいからだしなぁ・・・あいつ照れくさいのか昔の癖なのか絶対にお願いとか言わないし・・・」


これ以上は彼のプライバシーに関わるので魔法を解いておくが・・・なんというか、ご愁傷様というやつかもしれない

優梨さんと一緒にいる彼は、彼女の買い物に付き合わされるというのは決してはじめての事ではないのだろう

だからこそあの表情になるのかもしれない

・・・優梨さん、こういっちゃあなんだけど、服の買い物長そうだしなぁ


「では、お昼になったら一度合流しましょう!後で連絡を入れますわ」

「おー・・・」

「それと、紅葉。そろそろ助っ人が来ますわ。貴方が気まずくないようにね」

「誰を呼んだんだ?」

「夜雲」

「よし!おまけのストーカーが本命だな!」

「そういうことですわね」


不穏な単語のやりとりを眺めている間に、優梨さん達は人混みの中に消えていく

そんな中、私の端末にメッセージが受信される

差出人は永羽ちゃんだ


『買ってきた服、帰ったら二人で見せ合いっこしようね。それまでは絶対様子を見に来ちゃ駄目だよ?』


中身を確認すると、衝撃的なお約束を一方的に取り付けられていた

うっ!永羽ちゃん押しが強い!でもそれがいい!


「はわわ!はわわ!」

「なんだ一咲、気持ち悪い鳴き声しやがって・・・」

「頭でも打ち付けました?」

「そんなことないし!それより紅葉さん。助っ人に夜雲さんが投入されるみたいですけど・・・大丈夫なんです?」

「ああ。てか夜雲には何も期待してない。あいつは普段着着物だから。普通のファッションを求めることは駄目だな」

「「「それは助っ人としてどうなんだ・・・?」」」

「けれど、あいつの相棒は違う。ちょうどいい。見ればわかるよ」


紅葉さんが視線を向けた先

周囲は自然と道を開き、小声で囃し立てる

「大社の風見鶏」「今日はオフだ」「魔力制御リングつけてるよな・・・」など、完全に能力者として恐れられる声の方が少ない


代わりに大きいのは・・・


「あれ!インステマーのアリサさんじゃない!?」

「うそ!本物!?」


アリサという人物に感心を寄せる声だ

夜雲さんと一緒にいるアリサ・・・彼女って訳はないだろうな


多分アリサはハンドルネーム

本名が近い人間と言えば・・・月城有紗つきしろゆさ

夜雲さんと能力が近くて、仕事中の相棒を務めている人間

夜雲さんや紅葉さん、優梨さんと葉桜さんと同じく26歳のはずだが・・・

「まだ」現役なのか


「紅葉君!お待たせ!」

「よっす。お前なら安心だわ有紗ゆさ

「その名前で呼ばないでくれる?あ・り・さって呼んで?」


絹のようにきめ細やかな肌。私達より細くて柔らかな長髪

声だってまだ鈴の鳴るようなか細い声

愛らしいピンクを身に纏い、この場にいる誰よりも「可愛い」を演出している存在はこれまた可愛さ全開の笑顔を浮かべて、親しみやすいように私達へ手を振ってくれる

パシフィカは「これが「あいどる」・・・」嬉しそうに手を振り返していたが、私達は軽く手を振る程度

ベリアは記憶で、私は実際に会ったからこいつの正体は知っている


「やだよ。有紗ゆさが本名だろうが。それにお前、男だろ」

「えっ」

「女装現役で安心しました、有紗さん」

「事情は聞いているとは言え・・・久々に会った人に言うことがそれなの、一咲ちゃん?」

「・・・記憶があるから男だってわかってはいたが、実際に見ると勘違いするな、これ」

「完成度高いだろ?だが男だ」

「うそだぁ!?」


何も知らなかったパシフィカは、紅葉さんや夜雲さん

そして有紗さんの希望通りの反応を一人見せていた


「改めて、月城有紗!優梨ちゃんのご依頼を受けて助っ人に馳せ参じました!夜雲君の相棒だからそういう系のスカウトはお断り!よろしくね!」

「相変わらず動作の効果音に「きゃぴっ!」ってついてそうだなー」

「きゃぴはもう古語だろ・・・。誰でもいいからこいつ引き取ってくれてもいいからな。強さは折り紙付きだ」

「もー!夜雲君!僕と君は一生の相棒じゃないかー」

「一生の相棒は勘弁してほしい」


有紗さんが抗議を行う後ろで、紅葉さんが私達三人を近くに手招いてくれる

おそらく、彼と付き合う為に最低限知っておかなければいけない知識の共有だ


「・・・有紗はこう見えて、箱庭刑務所の刑務官だからな。あんま怒らせんなよ」

「箱庭って、あれですか?」

「パシフィカが想像しているのはアングスフェアリレンを閉じ込めたあれだよな。箱庭刑務所はあれの正式版だ。今も運用していたとは思っていなかったが」

「死刑囚の隔離にはちょうどいいからなぁ・・・」


「てか夜雲さん、第二部隊なのに第四部隊の仕事をしているんですか?」

「そうだな。刑務所の管理を含め、あれは第四部隊に属する伊奈帆の管轄だ。けれど、あの人だってもう四十近くて体の衰えが見え始めた。それに、能力者として限界が見え始めたんだ」

「・・・」

「伊奈帆が後任として指名したのが夜雲。伊奈帆が退任したら、あいつが次期第四部隊の司令だ」

「なるほどなるほど。出世コースというわけですね」

「そんな感じだな。魔法使いのお前には無縁な話かもしれないが、願いには限りがある。だから星紋を使うタイプの能力者は・・・年を取る度に能力が衰えていく。お前の相棒も例外じゃない」


永羽ちゃんも例外じゃない、か

願いの形が単純で明確・・・そして強いからこそ形成された剣

彼女の星紋は強い。今は全盛期と呼ばれる能力者としては一番いい時期だ


「永羽の力は、魔法とは在り方が異なるんですね」

「ま、逆に言えば「願いを更新」することができれば、紅葉みたいに衰えが見えにくい」

「そうだよな。お前、椎名の記憶の中では「星紋が使えない」はずなのに、ここにいるってことは」

「譲がいなくなった後、復活したどころか強化されてます」

「そんなのも有りなのか・・・」

「そこは魔法と同じく、可能性が無限大というわけですね」


「ああ。けれど一つ忠告しておく。一咲」

「はい」

「・・・これは俺の経験なんだが。願いが歪めば、星紋は使えなくなる」

「例えば、永羽ちゃんで言えば「切り開く願い」が曖昧になるとか、切り開く必要性を見いだせなくなったとか・・・そんなことが起こったら」

「使えなくなる可能性が高い。あいつが今、星紋に依存した戦い方をしているのなら・・・願いが変わらないように心がけるべきだな」

「・・・ご忠告、感謝します」


紅葉さんにしては妙に具体性のあるアドバイス

こればかりはしっかり受け入れていた方がいいだろう

彼女の星紋には、舞光には・・・今後も世話になる可能性が高い


「具体性があるのが恐ろしいですね。二ノ宮さんも同様のご経験を?」

「そうだよぉ。その経験があったからこそ、紅葉君のあだ名が「紅鳥」の他に「鈴海の変則者」とかあるわけだしねぇ」

「変則・・・」

「なあ、パシフィカ」

「はい」

「お前は惚れた相手の為に自分の願いを、矜持をねじ曲げられるか?その時が来たら、お前は願いを捨てる覚悟ができるか?」

「・・・」

「あいつはできた。話によると、お前はあの七人の中でも近接戦闘向きなんだろう?今度紅葉と模擬演習組んでみたらどうだ?」

「それは・・・構いませんが、二ノ宮さんはその」

「弓使いだから、自分とやり合うのは不利って言いたげなのかな、妖精ちゃん?」

「精霊です・・・。けれど、言いたいことは月城さんの言うとおりです」


それを聞いた瞬間、夜雲さんと有紗さんは二人揃って笑みをこぼす


「一応、こんなんだが・・・第二部隊は「戦闘力の強さで司令官が決まる」部隊なんだ。ちゃんとお前でも安心できる程度に強いから、安心して模擬戦組んでみろ。悪い思いはさせねぇから」

「むしろ、データを見る限り・・・今の精霊ちゃんに必要な「戦うべき相手」じゃないかなぁって思うよ。紅葉君は正則の権化の君みたいな子にはちょうどいい刺激になると思うよ」

「・・・?じゃあ、お願いしておきます?」

「おっけー。じゃあ模擬戦組んどくな〜」

「俺の意志は無視なんですかね夜雲さんや。別いいけど」


雑な感じでパシフィカは紅葉さんと模擬戦をすることになったみたいだが・・・彼女に必要な戦闘っていうのはどういうことなのだろうか

有紗さんのほうに顔を向けても、彼はにっこりと笑うだけ

・・・話してはくれないらしい


模擬戦の予定はヴェルと同様三日後。12月8日に組まれたらしい

それからは星紋の話とか何もなく、どこにでもあるような買い物を初めて行くこととなった

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