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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第7章上:「鈴海」/星の光と青鳥は君と共に

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19:貴方が会うべき人

「あ。おい、ベリア」

「あ、ああ!なんだ!?」


まさか自分が指名されると思っていなかったらしい

ベリアは慌てて席から立ち上がり、葉桜さんの方へ向く


「ご依頼のお二人さん、9日に鈴海へ到着する予定だ。その日は予定空けとけよ」

「早いな・・・。優梨、光輝。助かるよ」

「当然のことをしたまでですわ」

「感謝するならその記憶の持ち主に。譲と冬月のお嬢様が仲いいのは知っているだろう?今、その二人は冬月のお嬢様のところにいるんだ。探す手間どころか交渉の手間も省けているからな」

「・・・ああ、そうだな」

「葉桜さん、ご依頼のお二人って誰?冬月って?」


聞き覚えがない人物をベリアが招集したというのも気になるが、その二人の正体を聞けば判明するだろう


「そうだなぁ・・・とりあえず話をする前に、お前らにここで生活している間に使用して貰う通信端末を配布しておく」

「誰―?」

「まあまあ、一咲。話には順序というものがあるのですわ。とりあえず貴方もこれを」


ヘッドホンの片耳版みたいな・・・なんというのだろうか

藍色の線で縁取られた銀色の、特徴的な形をしたそれが今の通信端末らしい

・・・おかしい。私はてっきりスマホが配布されるものかと思っていたのだが


しかも全員同じ形というわけでもないらしい

永羽ちゃんとミリアは私と同系統の、耳に装着するタイプ

エミリーとパシフィカは腕に装着するタイプ

ベリアとヴェルは首に装着するタイプの端末を配布されていた


「それはA-LIFE。簡潔に言えば今の主流通信端末。スマホの進化版みたいなものです」

「へぇ・・・でも、なんで形がバラバラなのでしょうか?」

「いい質問ですわ、永羽。貴方と一咲、そしてミリアは私達と何ら変わりのない人間の体ですが・・・後の四人は少々事情が異なりますわよね」

「そう、ね・・・」

「エミリーには人間の耳がありません。人間の耳に装着する前提で作成されたこれは彼女に装着することができませんわね」


確かにこの形状では、彼女の猫耳に装着することはできないだろう


「彼女の端末は腕輪型ですが、別にある種族対応イヤホンを接続していただければ、耳装着型と同様の機能を得ますのでご安心くださいな」


まるで人間以外にも使う前提で作成されたそれに若干の恐ろしさを感じなくもないが・・・

鈴海みたいな地域がある世界だ。差別がとか、そういうのを言われないために多種族のニーズに合わせた商品開発が当たり前の様に行われているのだろう

同じ世界で、多種族が共存できる世界

そういうところは、物語の世界も見習ってほしいところだ


「パシフィカとエミリーは飛行を前提に考えていますので「高速で横移動をしても外れない」ことを重点に選択をさせていただきましたわ」

「なるほど。お気遣いありがとうございます」

「・・・私、飛べないのですが・・・ありがとうございます」


確かに羽根があるから勘違いしがちだが、パシフィカは飛べない

けれど彼女はどうやら優梨さんにその事実を伝えていないらしい。飛ぶ前提の選択をされていた

・・・でもまあ、首につけるよりはスタイリッシュっていうのかな

彼女の格好も相まって、きちんと型にはまっているような気がするから、結果としては上々な代物だと思う


「双子は今でこそ人形の体ですが、基本的には角の影響で耳に装着できませんわよね。それに二人とも、この世界でやることが大まかとは言え定まっていたので、外的要因での故障が少ない首輪型を選ばせていただきました」

確かにあの首輪型ならそう簡単に落ちることはないだろう


ベリアはこれから道具作り三昧になる

腕輪型だと熱や水にやられたりする可能性もある

首ならその心配も少ないだろう


それに戦闘面では殴る蹴るが主流のヴェル

腕輪型なんてつけてみろ。初日で壊す。絶対に。私の全財産をかけてもいいね


「首輪が増えた・・・」

「・・・何かしっくりくるのが我ながら憎らしい」

「初期設定と番号登録は俺がしておいた。操作は自力で覚えるか、不安なら大社の通信課がやってる「A-LIFE初心者講座」にでも参加して覚えろ」

「そんなことまでしているんですか、この組織」

「建物がデカいだけありますねぇ」

「確かに、大きいわよね。大聖堂みたい・・・」

「「「その話題はちょっと・・・」」」

「た、確かに酷いことが起こっていたみたいだけど、例えるなら・・・!私達の世界では大聖堂みたいな立ち位置にあるわよねって話よ!」


確かに、大聖堂とこちらの大社

やっていることは魔物の退治だったりと色々と仕事内容が被っている部分があるのかもしれない

だからこそミリアは「向こうの世界で言えば」な例えを出してくれたのだが・・・

大聖堂ルートに同行した四人の反応はあまりいいものじゃなかった

エミリーに至っては眉間に皺を寄せているほど

何があったのか、何が起きていたのかは一通り聞いていたので・・・まあ、四人の反応が酷いのも理解できない話ではない


「で、なんでここに来る人間が何者なのか話をする前にこれを配ったの?」

「そのA-LIFEを製造している会社が冬月財閥の傘下。ベリア、こいつらにわかるようにお前が説明してやれ。その記憶の持ち主が、冬月財閥の、誰とどんな関係にあるのかな」


葉桜さんから指名された彼女は「自分が話すのが面倒くさいからあたしに投げたな・・・」とぼやきつつ、求められた話をしてくれる


「あいつが十四歳の時、椎名の次期跡取りとして参加することになった船上パーティーがあるんだ。でも、その時に・・・ちょっとした事件が起きてな」

「その事件で、冬月財閥の誰かと縁ができたの?」

「そうだな、一咲。あいつがその時に遭遇したのは冬月彼方ふゆつきかなた。冬月家の一人娘で財閥の総帥。この端末も、そいつが用意してくれたんだろう?」

「そういうことだな」

「・・・椎名さん、そんな偉い人と関わりがあるんですか?」

「あいつだって、一応「名家の子息」ってカテゴリーだからな」

「けど、それだけの縁でしょう?」

「違うんだなぁこれが。お前、ナティアであいつに紅茶を振る舞われていただろう」

「うん」


戦いの前に、師匠が入れてくれた紅茶

プロクルノクティスだったかな・・・師匠の友達の執事さんが作ってくれたものらしいが

まさかその友達が冬月さんなのだろうか


「その紅茶を手配したのが冬月。共通の趣味があるから細く長く付き合いがあって、魔法が必要な場面でも手を貸していたりしているようだ。今回も、大方あいつの名前を出して「あいつの二番弟子のサポートをしてほしい」って体で協力を取り付けたな?」

「・・・そこまで気がついているのか。それとも見たのか?」

「いいや。予想だよ。図星とは思っていなかったけどな」

「そういうことで、司令の名をお借りし・・・冬月家のサポートを取り付けましたの。貴方が呼び寄せたかった二人は今、冬月財閥の秘書と技術者として雇われていますので、こちらもすぐに派遣してくれるとご回答を頂きましたわ」

「そうか。朝比奈はいると思っていたが・・・一ノ瀬まで釣れたか」


「ベリア、その二人はどういう人?」

「朝比奈巴衛は今、あたしたちが作った依代人形の作成者だ。今のうちに構造とか確認して修理できるようにしておきたいから、呼んで貰った」


「じゃあ、一ノ瀬さんは?」

「一ノ瀬朔也は永羽と一咲に会わせるべき人だと思って、いるならと呼んで貰った」


永羽ちゃんと私は顔を見合わせる

その名前に関しては、全く聞き覚えがないからだ

でも朔也という名前に関してはどこかで聞いた記憶がある・・・どこでだったかな

師匠の知り合い?大社の人?それなら鈴海にいるべきだ

この人と私達を会わせたい。ベリアの意図がよくわからないでいると

・・・後ろで、息を呑む音がする


『・・・朔也、この時代にいるのか』

「ああ。お前なら反応してくれると思ったぞ。舞園。お前なら、この二人に会わせたい理由がわかるよな?」


全員がきょとんとする中、一人だけ反応を示したのが舞園

彼は口を結び、嬉しさと複雑さを噛みしめながら・・・彼女の問いに頷いた

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