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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第7章上:「鈴海」/星の光と青鳥は君と共に

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12:滞在先を決めよう

事情を軽く説明した後、紅葉さんは頭を軽く捻る


「・・・つまりこの世界でのお前は死んだけど、別世界に新しく転生して・・・それから譲とかの介入があって紆余曲折云々かんぬんで再び友江一咲の姿になって、この世界に戻ってきた?」

「そんな感じです」


「で、ついでに俺に浄化能力を使用してほしいものがある」

「うんうん」

「とりあえず、よくわかんないことばっかりだけど、大体はわかった。でもなんで五年分成長してんだよ」

「師匠の趣味じゃないですかねぇ・・・」

「・・・時雨以外の女にちゃんと興味あったんだな」

「親友からもその評価っておかしくないですか?冗談ですよ」


この姿は五年後の永羽ちゃんが全盛期に相当するから

私はおまけだ。それ以外の理由はないはず


「だよなぁ。譲が時雨以外の女に興味あるわけねぇもん」

「手のひらクルックルだなあんた」


物知り顔で頷いているけど、適当に頷いているだけの紅葉さんに蹴りを入れておく


「で、お前は譲から卒業試験を与えられて、それをこなすために譲の元に行きたいんだな」

「そうなりますね」

「譲の墓行けばいいじゃん。五鈴家しか入れない土地だけど、俺なら入れてやれるし」

「マジかよ天才じゃんって言いたいところですが、師匠の霊体?は第零区域でお待ちなんで。墓に行っても意味ないです」

「そうか・・・」

「だから私達は第零区域に入りたい。その為の手段ってご存じですか?」

「ご存じも何も、出産間近で無理したらいけないのに、その調査を行っていた女がこの扉にいる」


この扉の先にあるのは、先程千早さんが担ぎ込まれた分娩室

・・・千早さんなにやってんだよ


「だから、千早が落ち着いたらその話をしたらいい。ノリノリで協力してくれるはずだし・・・なんなら付いていこうとするから」

「体の事を考えて、話すのは半年後ぐらいがいいですかね」

「そうなるな」


現状、一番必要な存在の協力は半年後かぁ・・・

まあ、長期戦になることは間違いなかったし受け入れるほかない


問題はその間の滞在先だ

物語世界のようにお金とか勇者の権威で色々できる訳ではない

ここは現代社会。物語の常識なんて一切通用しない世界

かつての常識だった世界は今、私にとって異質な世界

前世の経験。そして慣れ

それらは私の中に蓄積されているけれど、この世界で過ごしていた時間と同じ分・・・向こうの世界で過ごしている

正直、違和感が凄い・・・


けれどしばらくここで暮らしていかないと言うのなら、それに従うほかない

今の私達に提示されている選択肢は、限りのあるものなのだから


「とりあえず、滞在先はどうする?お前は友江家に行くんだろうけど、他にも六人いるんだろう?」

「そうですね。大社の宿舎とか借りられますか?」

「無理だな。宿舎は正規職員専用だ。一時滞在ができる拠点はあるけれど、一週間程度だから、流石に無理だ。拠点だけはそれぞれ探して貰わないといけない。ホームステイみたいなもんだな」


生前も留学とかしたことないし、今でも留学こそしたが寮で暮らしていた

まさか向こうの世界ではなく、この世界で、異世界でホームステイを経験する羽目になるとはなぁ

人生何があるかわからないものだ


「紅葉さんのところは?」

「俺は構わないし、千早もいいって言うはずだ。ほら、あいつ研究職だし。別世界の人間に触れられる機会はそうそうないからな。ま、千早が帰ってくるまでは一時滞在拠点にいて貰おうかね・・・・流石に俺と一緒は嫌だろう?」

「ですね。この世界に飛ばされた七人は私含めて全員女です。「家族が増えた瞬間に、他の女に手を出した疑惑のあるお前は家族じゃないと追放された件」になるのは可哀想なので、絶対回避させていただきます」

「生々しいタイトルやめろ!」


ふむ。千早さんのお眼鏡に叶うとしたら・・・別世界の人間

五人の中の一人は間違いなく受け入れて貰えそうだ


「それから、俺から条件をつけていいのなら・・・暴走しそうな千早を止められて、子供の相手ができる奴がいいな」

「子供の相手もですか?」

「ああ。これから大社側も忙しくなるだろうからなぁ・・・居候を認める代わりにシッターが欲しいってところ。今までみたいに付きっきりって訳にもいかなくなるだろうから」


紅葉さんの要望を満たせそうなのは二人

教会で暮らし、お姉さんポジションを確立していたミリアなら赤子の世話ぐらい片手で捻るようなものだろう

それにパシフィカをつけておけば、ミリアも安心。千早さんも制御できる条件を達成できる


それに、パシフィカはこの世界にはいない精霊だ

現代という環境で研究職をしている千早さんから何かしら役に立つ情報を用意して貰える可能性もあるし、彼女が千早さんの側にいるのはきっといい成果を生み出せるはずだ


「紹介できそうなのが二人います」

「誰?さっき、お前以外の六人は大社に到着したらしいからデータ貰ったんだよ」

「マジで?」


紅葉さんから画面を見せて貰うと、そこには確かに六人のデータが記載されていた

全員無事に大社へ辿り着いてくれたらしい


「ミリアとパシフィカ。二人なら、紅葉さんの要望を叶えられるかと」

「そっか。じゃあ、この二人は先に声をかけて貰うかね・・・」

「それから、これも千早さんが落ち着いたときに話してほしいんですけど、パシフィカって精霊なんですよ」

「それがどうした?」

「・・・この世界では絶滅した精霊に関する情報、千早さんなら集められないかなと」

「・・・なるほどなぁ。一応、話はするけどそれがぱし?とかに当てはまる話だってことは黙っておく。何があるかわからないからな」

「そこは紅葉さんやパシフィカ当人の判断にお任せしますんで」

「了解」


紅葉さんはささっと光輝さんに連絡を送り、二人の預かり人に立候補してくれたらしい

仕事が早くて助かる


「それから、私の他にもう一人だけなら両親も許してくれると思うので・・・後の三人の預かり先を決めたいところなのですが」

「光輝優梨が一人なら受け入れてくれるって話だが、消去法で永羽になるんじゃないか?流石に残りの二人はあの二人とやっていけんだろ」


「・・・あの二人、一緒に暮らしているんです?」

「元々仲いいからなぁ、あの二人」

「付き合っているとか」

「聞かないな。両方譲ガチ勢だし。落ち着くまで自分の事を考える暇とか作らなさそう」


光輝さんとやりとりを続け、永羽ちゃんが優梨光輝コンビのところに送り込まれてしまった

ま、まあ・・・残りはエミリーとベリアとヴェルだし、あの二人とは上手くやれる気配がしない。ベリア以外

永羽ちゃんは生前もあの二人とは仲がよかったし、上手くやれるだろう


「残りは三人なんですけど、ヴェルは私が引き取ります・・・一応、隷属している下僕なんで・・・」

「お前、人間の隷属始めたの・・・?人権侵害だぞ・・・?」

「この世界ではそうだろうけど、向こうの世界ではセーフ!」


あのルールにうるさいエミリーが何も言わないし、多分大丈夫なはずだ

対象が悪魔だからっていうのもありそうだけどね・・・


「でも残り二人かぁ・・・流石に厳しいかな。他の人は何か声をかけてくれたりとかしてくれていませんかね?」

「パシフィカとベリアだっけ?あいつらを拾ったのが湊川のお坊ちゃんでさ、声をかけて貰ったんだけど「協力したいけど、家が家だから無理」って言われたってさ。その代わり、魔物退治のバイトは斡旋して貰った」

「それは助かりますね・・・金大事」


「ああ。金の問題は大社でもどうにかするが住むところ・・・。どうしようもないし・・・残りの面々、生活力あるなら譲の部屋に置くか?」

「・・・師匠の部屋?」

「ああ。大社の社員寮にあった譲の部屋。荷物を誰が引き取るかで揉めて・・・当時のまま放置しているんだ」

「掃除は?」

「優梨が業者入れてる。俺の方から職員に通達する。一時的とはいえ、文句を言う人間が出るかもしれないが・・・その時は「こいつの情報」を開示させてほしい」


紅葉さんが表示したのはベリアの情報

・・・ちゃんと彼女が師匠の記憶を全て読み取らせて貰った「師匠が信用している人物」という補足までご丁寧に用意されている


「こいつがいるなら文句は言われないはずだ」

「でしょうね」


なんせガチ勢共が崇拝している人間が「記憶を読み取っていい」と判断した「信用できる存在」

ベリアなら上手くやってくれるだろう


「それに、あの部屋・・・陽雪の話だと譲が用意した隠し部屋の仕掛けがあるらしくて。部屋を明け渡せないのもそれが理由なんだ」

「隠し部屋」

「譲の記憶があるそいつなら・・・隠し部屋の入口は勿論だが、キーコードもわかるんじゃないかという打算もある」

「なるほど。じゃあベリアは適任ですし、それに同行するのがエミリー・・・それも妥当ですね。ベリアは魔法を使えませんし、魔法を使える存在が解錠役として必要ですから」

「・・・」

「どうしました?」

「あ、いや。お前がいいのならその方向で進めておく。とりあえず、話し合いの結果は俺から連絡を入れておく。ついでに、陽雪が今からお前を迎えにいくってさ」

「陽雪さんが?」

「ああ。六人が早くお前に会いたいそうだ。早く行ってやれ」

「わかりました!」


「とりあえず今日は七人揃って大社で休め。俺たちはその間、お前らがここで過ごせるように手続きとかしておくから!」

「助かります!」


それから数分後、迎えに来てくれた陽雪さんと合流した私は、紅葉さんに見送られつつ病院を後にして、大社へ移動を始めた

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