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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第7章上:「鈴海」/星の光と青鳥は君と共に

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3:演習場の魔法使い

光輝君から通信を貰った僕らは、のんびりと第五区域にある大社演習場へ向かっていた

せっかく滅多に予定が空かない久世兄妹が僕と遊ぶ予定を組んでくれたから、色々なところに出かけて遊んでいたのに・・・

でもでも、内容からして面白そうな事が待ってそうなのは確かだ


「ねえねえ、いよりん」

「なあに、五菜いづなちゃん」

「今日は大社の演習場に行くんだよね。何しに行くの?視察?また紅葉君は五鈴家に監査依頼出すの忘れてたの?」

「忘れていたことをお兄さんから指摘されていたようだから、流れで葉太様に監査依頼を出していたよ。だから、その点においては大丈夫だと思うな」

「それはそれでどうなんだ・・・?」


「だねぇ。それで、いよりん。視察じゃないなら私はなんで大社の演習場に?部外者だよ?」

「んー。なんかね、今日の演習場は皆が暴れ回って手がつけられない状態になっているみたいなんだよ」

「・・・大社の、第二部隊職員が?」

「うん!今日は夜雲と浩一さんがいるからね!特に酷いと思うな!あ、見えてきたよ!」

「お兄ちゃん、私は滅茶苦茶厄介なお願い引き受けたかも・・・五体満足できるかな」

伊依いよりさんだから大丈夫だと思ったのに・・・やはり信じられるのは和夜だけらしいな・・・クソ大社め・・・」


五菜ちゃんと彼女の護衛を務める智久ともひさ君は小さくため息を吐く

しかし、その光景を見た瞬間・・・僕は勿論だけども、二人は目を丸くする


「・・・いよりん。今日は大社の「風見鶏」と「雷鳥」が参戦してるんだよね。それにあの子、大社の羽持ちを複数相手にちゃんとやりあってる」

「戦闘特化の地井夜雲と八坂浩一が手を組んだ状態でやりあえる人間なんて、青鳥ぐらいしかいないだろ。あの子何者だ?」


暴風と雷撃を「なにか」で受け流し、その場から動かず・・・何かを守るように戦っている


「・・・あの子、魔法使いだよ。いよりん」


ローブと三つ編みを風に揺らす彼女は間違いなく魔法使い。それも、凄腕の

こんな存在がまだ見つかっていなかった事の方が驚きで、今までどこに隠れていたのか聞きたいぐらいだ


「・・・譲君」

「あ、確かに立ち姿とか似てるかも」


足を気持ち大きく広げ、片足は若干後ろに

杖は地面に突き刺し、斜め前へ。足下で三角形を描くようにそれを支える

彼の場合は重量感のある旗があったから、そこまで違和感のない立ち姿ではあるが・・・

普通の杖を持つ魔女っ子さんだと、割と特徴的な姿になる

あの長杖を使う魔法使いは、基本的に杖を浮かせて持っているのだから


譲君の立ち姿を真似て、不格好になる子は多かった

けれど、彼女は何となくだが「似ている」と言える代物だった


「もしかして、大社の子?」

「ううん。あの魔女っ子は大社の子じゃない。多分、光輝君は彼女と、夜雲・浩一ペアの交戦を止めるために、僕と五菜ちゃんをここに呼び寄せたんだと思うけど・・・」

「なあ、卯月さん。魔女っ子の背後、なにか落ちてないか?」

「落ちてる?」

「・・・土埃のせいでよく見えないけど、デカい鞄かな?」


智久君の言うとおり、雷撃と暴風を魔法で受け流し、鞄?を守るように立ち続けている

普通の魔法使いなら、魔力の消費を少しでも少なくするために攻撃は回避して受けながすというのが基本戦法だが・・・彼女はそうしない

守るべきものがあるのだろうか


「をちすぬひ、とくちうせれうすひいるみそあ!」


彼女は聞き覚えのない言語で何かを訴えているようだ

必死に、何度も。何度も同じ言葉を繰り返して・・・

彼女は何を訴えている?

・・・もう少しだけ近くに行きたい

けれどこれ以上は・・・二人の攻撃射程に入り込んでしまう


「何を言っているかわからないし、戦闘力も高い。野放しにするのは・・・」

「浩一さん。合体技します?それであそこで気絶してる女共々、処理しておく方が今後、楽だと思いますけどね」


気絶している女。荷物だと思ったのは、どうやら女の子らしい

こんな状況ではまともに治療もしていないだろう

・・・荷物に擬態できるほど動かないのは、おかしい証拠だ

早く治療するに越したことはない


「五菜ちゃん。智久君。一回でいい。あの二人相手に隙を作れる?」

「その後は、とりあえず止まるよう指示したらいいんだよね」

「・・・けど、あの魔女っ子が攻撃してくる可能性もあるぞ。その時は」

「その時は、陽雪君がいるから大丈夫だよ」


光輝君の情報だと、ここには陽雪君もいる

戦えない彼は「守る仕事がある瞬間」まで、どこかに潜んでいるはずだから

来たるべき瞬間がやってきたら、彼はきちんと機能してくれるはずだ


「いよりんは、気絶している子を治療しに行くの?」

「うん。それが回復を星にした人間の仕事だもの」


自分の星紋である包帯「祈癒いゆ」を纏わせ、二人が夜雲君と浩一君の元へ向かうのに合わせて、僕は魔女っ子さんの元へ向かう

二人は五鈴家の人間ではあるが一般人

しかし戦闘力は申し分ない

五年前「あの場所」を生き抜いたのだ。成長した彼女達はあの時以上に研鑽を重ね、能力に磨きがかかっている


相性問題はあるけれども、それは大社の中でも指折りと謳われる能力者・・・「羽持ち」と交戦できる程度に

能力が吹き荒れる空間で「隙」を見つけ出し、移動した彼女達

五菜ちゃんは夜雲君の能力発動に必要な扇を、自身の星紋を大きく振り上げて振り落とす


「久世のお嬢さん、流石にこれは「なぜ」って聞きたくなるんだけど?」

「ごめんね、風見鶏さん。通信履歴の確認といよりんの話、聞いてあげてねっ!」


智久君は姿を消して浩一君に近づき、彼の首元にそっと星紋を添えるだけ

夜雲君のように媒体がない浩一君を止める手段というのは基本的に存在しない

彼を止めるためには・・・止める材料を用意したらいい


「・・・君は、久世の護衛かな。こんなに若かったとは」

「兄です。まさかあの雷鳥と能力を交えることになるとは・・・少しだけ、能力の発動を止めていただきますでしょうか」

「わかった。けれど、伊依君に危険があると見なせばその限りではない。今でこそ受けながしをしているが、俺たちだって彼女から攻撃を受けている。危険と思えば・・・」

「わかっています」


五菜ちゃんは大剣型の星紋を夜雲君に

智久君は大鎌型の星紋を浩一君に

それぞれいつでも首が狩れる状態にまで持って行ってくれる

そして僕は魔女っ子さんの元へ

彼女は新手が現れると思っていなかったのだろう

僕の方を凝視して、魔法を行使しようとする


「僕の言葉、わかる?」

「にぬん、うゃとうれはきをきるみそあ」

「わからないねぇ・・・あれ?」

『伊依ぃ!伊依ぃ!私の言葉、通じていますか?!聞こえていますか!?』


うっすらと、その少女の側に見覚えのある球体

僕の名前を必死に呼ぶ彼は、僕は誰だか知っている

なぜ、天寿を全うしたはずの彼がこんなところで幽霊をしているのだろうか


「・・・ピニャケル?」

『はい!はい!私が翻訳します!彼女は「何を、言っているのかわかりません」と言っています!』


都合がいい。彼が翻訳をしてくれるというのなら、それに乗っかろう

なぜ、どうしてという疑問は後で話すとしよう


「僕に敵対する意志はないと伝えてくれるかな?」

『エミリー。伊依に敵対の意志はありません。それに伊依は凄腕の回復能力者です。あの包帯も回復効果のある代物ですから、ヴェルの異変を察知して駆け付けてくれたのだと思います』

「・・・すあずとううはどせき?」

『ええ。信じていいんです。信じてください。貴方も、杖を降ろして』

「をきるみせち」


・・・わかりました。かな

ゆっくりであれば、何となく言っていることが理解できるようになってきた


「・・・うらる?」

「名前、呼んでいるのかな。どうしたの?」

「・・・ヴォレ、ちせこと」


これは、翻訳抜きでもわかる

彼女の不安げな顔、今にでも泣きそうな顔を見たら・・・

言葉が通じなくても、彼女が「たすけて」と言っていることぐらい、ちゃんとわかる


「大丈夫。何があっても治すよ」


包帯を横たわる少女に向けて、治療を開始する


「時間がかかるから、その間に事情を聞かせてほしいな。ねえ、ピニャケル。どうして君達は夜雲君と浩一君と交戦するに至ったの?それに、なんで譲君の側にいるはずの君がこんなところにいるの?」

『話せば長いのですが・・・』


そう言って、ピニャケルはぽつりぽつりと話してくれる

魔女っ子さん・・・エミリー・エトワンス

気絶している女の子・・・ヴェル・ベリアル

そしてピニャケルの三人がここに来た話を

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