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賢者様、貴方をパーティーから追放させてください!  作者: 鳥路
第6章:霊峰「オードガリア」/貴方に寄り添う舞鳥の祈り

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7:真夜中のお話

「師匠、今日の晩ご飯何?」

「ふっふっふ。今夜は君達大好き」

「カレー!?」

「おうどん」

「確かに食べやすくて好きだったけどさぁ!なんかもうちょっと、野営らしいのないの!?」

「一咲ぁ・・・あんま我が儘言うなよ」

「そうよ。シイナさんのおうどん美味しいのよ」

「なんで君達はナチュラルにうどんすすってんの?」


この世界にはないお箸を器用に使いこなしてうどんをすするベリアとミリア

多分これが初めてではない

何度も箸とうどんを提供しているな、師匠


「シイナさん。今日はとろろとかいうのでお願いします」

「はいはい。まだあるから慌てないでね」

「わー!」


エミリーはフォークで食べているらしい。なんか、うん。安心したな

そもそも箸を短期間で使いこなしている二人がおかしいのだ

・・・現代育ちの私だって、まだ上手く思い出していないのに


「ちゅるちゅる」

「ちゅるちゅるり」

「ちゅーる、ちゅーる」

「「!?」」


聞き取った瞬間、思わずそれに顔を向けてしまう

幻聴かと思ったが、永羽ちゃんも聞き取っているようだし幻聴ではないらしい


「ねえ、永羽ちゃん。聞いた?」

「聞い・・・あ」


頭の中で声がする

声の持ち主はおたまを握り締めたまま、口元に指を当てて伝えたいことを通信魔法で伝えてくれた


『二人とも。猫用チュールを連想するのは駄目。あの子の特徴だからね。笑ったり、からかうのは絶対にいけないよ』

『やっぱあれエミリーだったんですね・・・』

『そうだよ』

『あの、椎名さん。先程、エミリーのお椀に何かしていましたが』

『冷やしてた』

『こんな、寒い中?』

『彼女猫舌なんだ。熱々のおうどんは食べられないから、少し冷ましてあげないと』

『至れり尽くせりだぁ』

『至れり尽くせりですねぇ』


満足そうにちゅーるちゅーるしているエミリーを見る限り、適温状態で渡されているらしい

至れり尽くせりな師匠食堂は私たちにもうどんを用意した後、自分達は食事をせず、皆が食べる天ぷらをひたすら時雨さんと揚げ続けていた


「師匠達はごはんいいんですか?」

「「後で食べるよ」」

「そうですか」


まるで子供にしっかりご飯を食べさせてからのんびり食事を摂る親みたいですね、なんてからかえば時雨さんか師匠、どちらかが天ぷら鍋をひっくり返して悲惨なことになる未来が見えたのでやめておいた


「一咲ちゃん、お疲れだよね。ふうふうしてあげようか」

「ふぁっ!?」

「え、あ・・・嫌だった?」

「嫌じゃないむしろご褒美」

「そっか。じゃあ、ふうふうするね。あれ?」


「どうしたの、永羽ちゃんや」

「いや、一咲ちゃん。この姿でもフォークで食べるんだね。もしかして使えない?」

「そっ、そんな訳ないじゃん。私バリバリの日本人で現代人。お箸なんて余裕なんですけど!これは師匠が間違えて渡してきたんだ。私を甘やかすのが大好きだからね、うちの師匠は!師匠!私普通にお箸で食べられる子だから!これ返品!」


師匠は無表情で私の顔を眺めた後、差し出したフォークを押し返しながら目を伏せる


「・・・それしか使わせない。そういうことにしておいて」

「・・・」

「一咲ちゃん」

「あー。残念だなー。私の華麗な箸使いを見せられなくて超残念!これも師匠の指示だから仕方ないなぁー!しょうがない!フォークでうどん食べよ、永羽ちゃん」

「う、うん」


・・・というのは体裁。本当は箸を使わなくて安心している

私の変な意地を、見栄を張ったツケを師匠が全部回収してくれたのは本当に助かる


「ししょー」

「なんだい?」

「・・・ありがと」

「え、君意地悪されて喜ぶの?」

「んなわけ、あ」

「そういうことにしたんだから、お礼を言うのはおかしいでしょ。ほら、冷めないうちに食べなさい」

「・・・うん」


それから私は永羽ちゃんにふうふうしてもらいながらうどんを食べさせてもらい、逆に私が永羽ちゃんに食べさせるなど、食べさせ合いながら食事の時間を過ごす


「ふうふう・・・はい、一咲ちゃん。あーん」

「んあー」

「お前ら普通に食えないの?」

「食べさせ合いだなんて、うら・・・行儀悪いわよ」

「ちゅーる。ちゅーる」

「食卓を現在進行形で荒らしている君らに言われたくないよ。おかわり何回目だよ」

「ええっと、五回目だな。普通だろ」

「普通じゃないね」

「私は七回目ね。シイナさん、八回目のおかわりを」

「まだ食べるのかい!?」

「ちゅーる。ちゅーる・・・ちゅるっ!」


パシフィカとヴェルはいないが、それでも賑やかな食卓がテント内で繰り広げられる

落ち着いたのは、ここから三時間後のことだった


・・


三時間後

私以外が就寝したことを確認してから、一度テントから抜け出す

彼ならまだ起きているだろうから


「師匠」

「ん?ああ、眠れないのかい?寝かそうか?」

「物理的に?」

「睡眠魔法ぐらい使えるさ」

「そりゃそっか」


師匠とわざわざ二人きりになったんだ。気兼ねなく質問をしておきたい

特に急ぎで話しておかないといけないことは、一つだけか

あの件は、私やベリアでは対応できない


「それで、どうしたの?」

「ミリアが星見っぽい現象を引き起こしたみたいなんだけども」

「・・・彼女、設定盛り過ぎじゃない?」

「師匠もそう思います?」

「うん。彼女、一応モブだからね。ここまで設定過剰なのは流石におかしいよ」


物語上でも序盤と回想にしか出てこなくて、最期すらどうなったか不明

よくてサブキャラ。最悪モブといっても過言ではない物語上の「ミリア・ウェルド」という女の子に与えられた役目としては過剰すぎる

まさか星見の話題からこういう話題に流れていくとは思っていなかったな


「・・・貴方たちの影響を受けているからではないですか?」

「鴇宮さん」

「でた、曾お婆ちゃん」

「こんばんは、魔法使いさん、ひ孫ちゃん。私もお話に混ぜていただいても?」

「勿論です。それで、影響というのは」

「ええ。この考えに至った理由は他にもあるのですが・・・結論から述べると「この世界はひ孫ちゃんと永羽さんの影響をモロに受けている」というのが私の推論です」

「気になりますね。詳細を聞かせていただいても?」


師匠の目が仕事モードに切り替わる

曾お婆ちゃんの持ってきた話題は、師匠の興味を惹く話題だったようだ

・・・話の続き、これが終わったら忘れないように聞かないとな

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