第一話 Prologue
これは俺の、
いや、俺たちの、
挫折の物語だ。
王(King)は不死鳥(Phoenix)を操り
不死鳥(Phoenix)は龍(Dragon)とともに舞い
龍(Dragon)は悪魔(Ishtar)の盾となり
悪魔(Ishtar)は騎士(Knight)に滅ぼさる
騎士(Knight)は迷宮(Labyrinth)に彷徨い
迷宮(Labyrinth)は魔獣(Gryphone)に支配され
魔獣(Gryphone)は王冠(Crown)を守り
王冠(Crown)は魔力(Manna)を与うる
魔力(Manna)は聖獣(Unicorn)にもたらされ
聖獣(Unicorn)は精霊(Element)と交わり
精霊(Element)は王女(Queen)に口づけし
王女(Queen)は王(King)に娶らるる
重二の大いなる月(Luna)は
歴史(Almanac)より早く生まれ
無限なる神(Creator)とともに始まり
いと小さきもの(Human)に語り継ぐ
汝らいと小さきもの(Human)よ
無限なる神(Creator)の似姿なるものよ
いざや歴史(Almanac)を創れ
重二の大いなる月(Luna)を支配せよ
(カイナック修道僧アゼン著「世界の暦」より抜粋)
この章はカイナック歴1862年クラウンの月から始まる。同1853年に終結した一般に前大戦と呼ばれる魔物との戦いに4人の英雄が勝利しておよそ9年後のことだ。それでもゆっくりと、そして確実に世界は滅びへと進んでいるが、そのことに気がついている者はほとんどいない……。




