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元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~  作者: 鳥助


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55.とうとう来たか

『シグナ・ヴォルグの愛情度ランクアップイベントを開始しますか? ▼はい   いいえ』


 ――来た。


 とうとう、シグナさんともランクアップイベントだ。もちろん、これを狙ってここまで来たんだから、迷う理由はない。私は即座に「はい」を選択する。


 さて、今回はどんな内容だろう。ルメルの時はちょっとした事件。セリスさんの時は、将来や目標の話だった。


 じゃあ、シグナさんは……?


 わくわくしながら待っていると、シグナさんがこちらを見た。鋭い視線。空気が一瞬、ぴんと張りつめる。圧があるのに、嫌じゃない。むしろ、強者感があって心地いい。


「……リオは、本当に私と一緒にいたいんだな」


 おや? 確認、かな? それとも試してる?


 選択肢は表示されない。なら、素直に答えて問題なさそうだ。


「うん。一緒にいると楽しいからね」

「……そうか」


 正直な気持ちを口にすると、シグナさんは一瞬だけ目を見開き、それから照れたように視線を落とした。


 この人、圧倒的に強そうなのに。ちょっとした仕草が、どうしようもなく可愛い。


 大人の女性で、しかも強者で、それでいて可愛い。このギャップは反則だと思う。うん、間違いない。


「……でも、ここだと落ち着かないな」

「確かに。じゃあ、別の場所で会った方がいい?」


 周囲を見回すと、やっぱり視線が集まっている。シグナさんは目立つし、注目され慣れてはいるんだろうけど、話をするには落ち着かない。


「でも、別の場所って……どこがいいかな?」


 そう聞くと、シグナさんは少し考え込む。


「……もし会うなら、人の目がないところがいい」

「人の目がないところ、かぁ……じゃあ、シグナさんの家とか?」

「なっ……!」


 一瞬で顔が赤くなる。


「い、いや! 流石にそれは……子供を連れ込むわけにはいかないだろう」

「そっか。あ、でも家っていうか……」

「それに、私は今、宿屋住みだ」


 ……おや?


 Aランク冒険者で、宿屋住み。実力も実績も十分なはずなのに、自分の家を持っていないというのは、少し引っかかる。


 でも、今はそれを気にしている場合じゃない。とにかく、このイベントを進ませなきゃいけない。


「じゃあ、どこで会えばいいの?」

「……リオさえよければ、ダンジョンに行かないか?」


 おっ、ダンジョン?


「あそこなら人の目を気にせずに一緒にいられる。それに、冒険者について私が色々教えられる」


 確かに、ダンジョンなら人の目を気にすることなく一緒にいられる。それだけじゃなく、シグナさんが冒険者について色々と教えてくれそうだ。


 ……うん、それはとても楽しそうだ。シグナさんが私に冒険者についてのあれこれを教える気でいたのは幸いだ。私も冒険者には興味があったから、やってみたい気持ちはある。


 だけど、それには越えなければいけない問題がある。


「どう? リオさえ良ければ、ダンジョンで話さないか?」

「うん、私もそれがいいと思う。……でも、まだ両親の了承をもらってなくて」

「……そうなのか?」


 そう。私はまだ、冒険者登録を両親に許されていない。理由はいろいろ並べられたけれど、結局のところ一番は――見習いにもなっていない年齢で登録するのは、まだ早すぎる、という判断だ。


 でも、冒険者登録自体は十歳から可能だし、実際にその年齢でダンジョンに通っている子もいる。制度的にも、前例的にも、私が登録できない理由はない。


 問題は、過保護な両親だ。


 出来るだけ危険から遠ざけたい。小さいうちは、手の届く場所に置いておきたい。


 その気持ちは分からなくもない。けれど、いつまでも守られてばかりの年齢じゃないはずだ。自分で考え、判断し、選ぶ力は、もう十分にある。


 ……そろそろ、親離れと子離れの時期なんじゃないかな。


 そして、このイベントの意図は、きっとそこにある。家族の庇護から一歩外に出て、他人との交流を深めるフェーズへ進ませる。そのきっかけを作るためのイベント。


 恋愛イベントである以上、家族の輪の中に閉じこもったままじゃ進展しない。誰かと深い関係を築くには、まず自分の足で外に出る必要がある。


 今まで、なぁなぁにしてきた親離れ、子離れ。このイベントは、それを真正面から促すためのものなんだと思う。


 そうすれば、きっと人との関係は、次の段階へ進んでいく。私もいつまでも親の言うことだけを聞くのはやめて、自らで考えて行動するべきだよね。


「シグナさん、ちょっと待ってて。必ず両親を説得してみせるから」

「……大丈夫? もし、無理なら」

「ううん。これからシグナさんと一緒にいたいから、そのためには冒険者登録をしておいたほうが都合がいいと思う。だから、必ず了承を得てくる」


 了承を得なくても冒険者登録は出来る。こっそりとやって、こっそりと活動すれば良いだけの話だ。


 だけど、それは大人として前世を過ごしていた私には、ありえない選択だ。もし、やるとすればちゃんと了承を得る。後ろめたいことはしない。そうじゃないと、楽しめないから。


 だったら、ガチで両親を説得していこう。今回は絶対に了承を得てみせるんだから!

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