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元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~  作者: 鳥助


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44.シグナさんに会いに行く

「ふー、今日も日常クエスト完了っと!」


 ウィンドウを操作し、日常クエストの項目を確認する。報酬欄に表示されたガチャ回数が一つ増えているのを見て、小さく満足げに頷いた。


「じゃあ、残りは自由時間なんだけど……。何をするかな?」


 ベッドに腰かけ、宙に浮かぶウィンドウをじっと見つめる。


「そうだ! シグナさんは帰ってきているかな?」


 せっかく地図機能なんて便利なものを付けてくれたんだ。使わない手はない。地図の項目を開き、人物検索でシグナさんの名前を入力すると、すぐに反応が返ってきた。


「あっ! 今、冒険者ギルドにいる!」


 ダンジョンから、ちょうど戻ってきたところみたいだ。私は少しだけ迷ってから、好奇心に負けて目のアイコンをタップする。


 瞬間、冒険者ギルドの光景が映し出された。相変わらず人でごった返し、依頼の報告や酒場への誘い、怒号と笑い声が入り混じる、騒がしい空間。


 けれど。


 その喧騒の中心に、ひときわ異質な静けさがあった。シグナさんは、そこに立っていた。


 長身で、無駄のない筋肉に包まれた体躯。鍛え抜かれた肉体が発する圧がある。背筋は自然体のまま真っ直ぐで、力を誇示しているわけでもないのに、周囲の冒険者たちは無意識に距離を取っていた。


 誰かがぶつかりそうになれば、直前で進路を変える。視線を向けては、すぐに逸らす。


 まるで、近づいてはいけない猛獣を前にしているかのように。


 シグナさん本人は気にも留めていない様子で、カウンターの前に立ち、淡々と報告を済ませている。その仕草一つ一つが落ち着いていて、焦りも油断もない。


 強者だ。戦場をくぐり抜けてきた者だけが纏う、重みのある空気。そこにいるだけで、場の格が一段上がる。そんな、圧倒的な存在感だった。


「やっぱり、シグナさんは痺れるくらいにかっこいいなぁ。しかも、ダンジョン帰りだからか、鋭さが増しているような気がする」


 戦闘をした後にこんなに雰囲気が変わるなんて思ってもみなかった。怖さは高まっているんだけど、それがいい!


「はい、シグナ。これで精算が完了よ。お疲れ様」

「……あぁ」


 すると、ウィンドウの向こうから声が聞こえてきた。お世話になったお姉さんがにこやかに対応し、シグナは無表情で頷く。


「そうそう、シグナにお客さんが来ていたわよ」

「……私に?」

「誰だと思う?」

「国の奴らか?」


 お姉さんの問いかけに、シグナの目がもっと鋭くなった。その圧に体が震えてしまうが、それがまたいい。


「違うわよ。ほら、覚えている? 職業体験に来ていた、リオちゃん」

「……あぁ」

「あの子がシグナに会いたいって来てたのよ。シグナに懐いているみたいで、可愛いわよね」

「……」


 お姉さんの言葉にシグナは無表情を貫いた。むむむっ、表情が変わらないから何を考えているのか分からない。


 はっ! もしかして、ここからでも心のウィンドウが開けるんじゃないだろうか? 物は試しだ。早速、実践だ!


『あの子が私に会いに来た? まさか、そんなことがあるのか? 人を寄せ付けない私に?』


 表示出来た! 心のウィンドウ、便利過ぎじゃね!?


 それにしても、シグナさんは困惑しているようだ。どうやら、過小評価をしているみたいだが、それだけシグナさんが魅力的だっていうことなんだと伝えたい。


『何か目的があるのか? ……もしかして、お金か?』


「私がお金を欲しているように見えていた!?」


 お金は欲しいが、それでシグナさんに近づいたわけじゃないんだー! くっ、憧れの気持ちが伝わらないのって案外辛いものだ!


『だったら、今度お小遣いを上げなくて……。それしか、能がない私だから……』


「いやいや、そこまで卑下しないで! シグナさんは魅力的だよ!」


 なんか、構ってくれない父親が子供の気を引こうとしてお金を上げる感じになっとるわ!


「だから、しばらくは冒険者ギルド内で待っていたら、その内会えるかもよ」

「……」

「まーた、自分は怖いからって卑下しているんじゃないでしょうね。あの子にはシグナがかっこよく映っているのよ」

「……本当か?」

「そうよ。あの子の目はシグナを尊敬の目で見ていたわ。だから、少しは自信を持ちなさい」


 お姉さんがシグナさんを励ますと、少しだけシグナさんの気配が柔らかくなったような気がした。


『私がかっこよく映っている? ……そうだったら、嬉しい』


 すると、シグナのしっぽが少しだけ揺れた。あんなに微動だにしないしっぽが揺れた!? ここは萌えポイントですよ、奥さん!


『私もリオと話してみたい。小さくて可愛いし、それに……私のことを気にかけてくれる貴重な子』


 ふふふ、そうだろう。私は小さくて可愛いんだ、もっとそんな風に思ってくれてもいいんだぞぉ?


「……待ってみる」

「えぇ、そうしなさい。きっと、リオちゃんが会いに来てくれるから」


 そう言うと、シグナさんはカウンターを離れた。そして、誰もいない席に座り、腕組をして黙って待ち始めた。


 待っていてくれるんだったら、会いに行かなくちゃ!


「よっしゃ! 待っていて、シグナさん!」


 私は部屋を飛び出して、冒険者ギルドへと向かった。

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― 新着の感想 ―
ティンタクル「ポイントで媚薬を入手して準備しないと!」 〇貴族「せっかくバックがあるんだから美味しい保存食の方が実用もあって良いだろ?」 ティンタクル「リオはタチだからどうにか猫にしないと行けないでし…
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