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魔術世界の非魔術師  作者: まこと
ソリアの女王と剣聖の四黒姫
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セラ 風精霊の想い

更新が滞ってしまいすみません。

テストで時間が取れず、時間が取れるようになったら筆が進まず……

 私の太股を枕にし、熟睡しているアッシュの髪を優しく撫でる。


 アッシュは自室に入るとすぐに装備を外し、力尽きるように眠ってしまった。


(それも無理ないんだけどね……)


 ソリアに着くまでアッシュは夜営に慣れていない亡国組をサポートする為に彼らの番の時にはこっそり起きていたし、街に泊まったりしたときには密かに追手の始末をしていたせいで碌に寝ていないのだから。


 そういえばやけに追手がぬるかったってアッシュが言ってたなぁ。それで余計に警戒したみたいだけど……


 亡命組の能力が低いのは仕方ない。護衛はそれなりの腕だけど、ルーフェリアにはギルドが無く、他国との国交が乏しいせいで旅をする人もほとんどいないから不慣れなのは当然かも。


 残りの4人も主である2人は元々能力の低さのせいで国から逃げて来たのだし、アッシュ曰くあの国では魔力が少ない人に優秀な人員はつかないらしい。


 当時アッシュの付き人をしていたライルはアッシュの魔力の多さも有り、ルーフェリアでもかなり優秀な人物だったそうだ。それに対して黒髪で初めから期待されていなかったレナちゃんには同じく魔力が少ないカーラがあてがわれている。


 まあ、レナちゃんは魔力と関係ない各種技術や知識はかなりの物だと思うけど。旅の道中聞いてみたら少しでも身を守るために頑張ったそうだ。


(けど、これでアッシュが長年抱えていた重荷が下りたかな……)


 アッシュと初めて出会い契約した日からずっと、アッシュはルーフェリアにいる妹の事を気に掛けていた。アッシュがカーラルタへ定期的に依頼を受けに行くのもレナちゃんの事が心配だったのが大きい。


 それでもルーフェリアの国力や外交問題を考えて手を出す事はできなかったけど……


 そしてそのために代替行為としてリルの妹であるリリアちゃんやミア達を救っていたことからレナちゃんがどれだけ大切なのか良く分かる。


 これはアッシュがまだアインスレイ・クロス・グランドールだった頃、レナちゃんが心の支えだったのに関係している。


 アッシュにとってレナちゃんは産まれた時から守るべき対象に入っていたらしいし、周囲から失望された後は数少ない変わらない存在だった。


 だから余計愛おしく、守るべき存在になったんだと思う。


 魔力が少ないせいでレナちゃんは冷遇されていた。けど、だからこそ魔術が使えないせいで周囲に弱みを見せる事が出来なくなったアッシュの唯一気を抜ける存在だった。


 それでもレナちゃんの前で弱音を吐いたりはしなかったらしい。


 アッシュは私以外の他人に弱いところを見せたがらない。常に強くあろうとする。それは彼が身内と認定している剣聖の四黒姫(カルテット・ノワール)に対してもだ。


 24時間常に一緒にいて、出会ってから数年は母代わり、姉代わりの存在だった私にすら出会ってから1年は弱音を吐かなかった。


 それはたぶん、弱みを見せられない環境にいたからだし、家族が掌を返したからだし、信じていた人に裏切られたからだと思う。


 今でもアッシュが弱いところを見せるのは2人きりになった時だけだ。


 その事に嬉しくなる気持ちも有るけど心配でもある。


 いつかアッシュが潰れてしまうんじゃないか、そんな不安が常に脳裏をよぎってしまう。


 せめてもう1人、アッシュが弱音を漏らせる人がいてくれればと思ってしまう。


「幸いなのは私がいなくなる事はまず無いってことかな…… ずっと一緒にいるからね、アッシュ」


 アッシュの頭を優しく撫でる。男にしては柔らかい銀髪がくせになる触り心地だ。


 精霊である私には寿命は無いし、契約しているため一定距離から先には離れられない。


 けれど、それで構わないと今では思う。最初は半ば興味本位で結んだ契約だったけど今では大切な存在になっているのだから……


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