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魔術世界の非魔術師  作者: まこと
黒衣の剣聖と銀月の射手
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初めての依頼

「【アクア・バレット】!!」


その声と共に高速で打ち出された小石大の水の塊がワイルドドッグを撃ち抜く。


 体を貫通されたワイルドドッグはそのまま起き上がることなく戦闘は終了した。


「少し進んだら一端休憩しましょ」


倒した魔物からの素材のはぎとりが終わると、アニスが言った。




此処はバルダ山の麓の森。薬草を採取しに来たレナたちであったが、森に入って早々魔物に襲われ、つい先ほど撃退し終わったところだ。


 少し歩いた先にあった広場で腰をおろし、休憩する。


「お嬢達、魔力は大丈夫ですか? 大分飛ばしてたみたいですが……」


ジョシュアがレナとアニスに尋ねる。元々魔力が少ない2人を気遣っての発言だ。


「大丈夫です。 いつもより威力が高いのは武器のおかげですから、魔力の消費量が増えたわけではありません」


「精霊鉱で造られてるだけのことはあるわよね。 イメージの補助もしてくれるみたいだし」


と2人共問題ないことを示す。


 魔術の発動にはイメージが重要だ。そのイメージをより強くさせるために、術名がつけられた既存の魔術が広く使用されている。そして使用する際には術名を口にすることによってよりイメージをはっきりとしたものにするのが普通である。イメージが曖昧だと、その分威力が下がり、消費する魔力も大きくなる。


精霊鉱はそのイメージを補うことで威力や魔力の消費効率を上昇させる。また、大気中の魔素(マナ)を貯め込む性質があり、その魔素で魔力の一部を肩代わりしてくれることも大きい。


「それはまたいい物を貰いましたね。 俺たちは業物って言ってもただの剣ですからねぇ……」


と溜息をつきながらジョシュアが言う。


 魔術という強大な力が存在するこの世界において、剣などの武器は一部の例外を除き、牽制する為のものとしか思われていない。後は魔力切れの際の護身用といったところだ。

マナイーターのように魔術が効かないならともかく、自分より身体能力が高い相手とわざわざ接近戦をするのはリスクが大きすぎるからだ。


 そのため、戦闘は魔術を遠くから放ち終了。万が一接近された時は武器で牽制しながら魔術でとどめをさす場合が多い。魔術を一切使わず、剣だけで仕留めるアッシュの戦い方はかなり特殊である。




「さて、十分休憩したことだしそろそろ薬草採取を始めましょ」


しばらく会話を続け、魔力も回復したのを見計らい、アニスが言った。


 それに促されて全員立ち上がり、森の奥へと進む。目的の薬草はもっと奥に行かないと生えていない。


 彼女たちは魔物を警戒をしながら歩き始めた。



*****



「これで目標数に到達ですね」


カーラが薬草を採取しながら仲間に話しかける。


時刻はもう昼を回っている。街にたどり着くのは夕方になるだろう。


「じゃあさっさと帰りましょ。 初めての依頼で疲れたわ……」


とアニスが肩をもみながら言う。


 休憩の後、2度ほど魔物と戦い、薬草採取のために歩き回ったため、体力のないレナとアニスはくたくただ。


「そうですね、急いで帰りましょうか」


アニスの付き人であるソフィアが微笑みながら賛同する。


 ルーフェリアでは全ての貴族が持つ付き人であるが、彼らは主人の身の回りの世話から護衛までを行うのでそれなりに鍛えられている。もちろん本職の兵士に敵う程ではないが、この程度でくたびれるほどやわでもない。




 もう一度採取した薬草を数え直し、問題ないことを確認すると荷物を持ちなおす。


そして街に向けて出発しようとした瞬間……


「グギャガアアアァァァァァァァ!!!!?」


まるで雷が落ちたかの轟音が響いた。


何事かと周囲を警戒するが特に変わった様子はない。


それでも警戒を続けていると、ふっ、と自分たちの頭上に影が差す。


 驚いて上を見上げた彼女たちの眼に映ったものは……




 全身から血を流しながらこちらを見下ろす黒龍の姿だった……


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