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魔術世界の非魔術師  作者: まこと
黒衣の剣聖と銀月の射手
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初めてのギルド

 朝、私達が起きた時にはもうアッシュさんは出掛けていました。ジョゼフさんによると名付きの龍を討伐に行ったそうです。そんな話を聞きながら、私やアニスも驚くほど豪華で美味しい食事をいただき、私達は話し合いの通りギルドに行くことにしました。



*****


 扉を開けると凄い活気に包まれていました。これがギルドなんですね。簡単な食事やお酒がいただけるスペースがあり、朝食を摂っている冒険者の姿が見受けられます。


「すいません、新しく登録をしたいんですが……」


「はい、新規登録ですね? 一人銀貨3枚になります」


受付にいる女性に用件を言うと、そう返ってきたので6人分である18枚を払います。


「はい、6人分ですね、確かにいただきました。 ではこちらの用紙に名前、使える属性、得意な武器、専門技能を記入してください。 代筆は一枚につき銅貨10枚です」


「専門技能って何? 具体的にはどういうのを指すの?」


とアニスが質問します。


「専門技能とは、特別な修練をすることで身に付く技能、または特別な才能が必要な技能の事です。 具体的には前者ですと文字の読み書き、鍛冶、調合、縫製、料理、古代語解読ですね。 後者は治癒術、呪術、錬金術、付与術等が挙げられます」


「なるほど、分かったわ。 ありがと」


「あの、得意な武器が無いんですけれどその場合はどうすればいいですか?」


と、私も質問します。


「それでしたら空欄で構いません。 もともと戦い方を大まかに把握し、依頼をお願いする際の基準にするだけのものです。 基準にすると言っても、どの依頼を受けたらいいか分からない方のために依頼を奨める時や、パーティーメンバー募集の選考基準に適しているかの確認にしか使いませんから」


質問も終わり、全員記入を始めます。


名前:レナ・クーフェ

属性:光・水・風・地

武器:

専門技能:読み書き 治癒術


名前:アニス・クーフェ

属性:闇・火・地

武器:

専門技能:読み書き


名前:カーラ・ロリア

属性:水・風・地

武器:短剣

専門技能:読み書き 料理


名前:ソフィア・ランド

属性:火・水・風

武器:短剣

専門技能:読み書き 料理


名前:ジョシュア・ランド

属性:水・風

武器:片手剣

専門技能:読み書き


名前:アンク・レイ

属性:火・風・地

武器:片手剣

専門技能:読み書き


「はい、問題ありません。 ギルドカードの発行に一時間かかりますのでしばらくお待ちください」


そう言って奥に行こうとする受付のお姉さんを、私は慌てて引き留めました。


「あ、ちょっと待ってください! 実は紹介状をもらってきたんです」


そういって昨日アッシュさんからもらった3枚の紙の内の1枚であるギルドへの紹介状を渡します。危うく忘れてしまうところでした。


「ッ!!? しょ、少々お待ちください」


渡して紹介人の名前を見た途端、顔色を変えて慌てて奥に引っ込む受付のお姉さん。やはりSランク冒険者の紹介状を出すのはまずかったでしょうか?


 そんな事を考えていると“関係者以外立ち入り禁止”と書かれた扉の奥へと案内されました。どうやら特別な人用の応接室のようです。


「おう、あんたらがアッシュの紹介状を持ってきたやつらか。 俺はドルト・ノート、この街のギルドマスターだ。 よろしく頼む」


と部屋にいた男性が話しかけてきました。


「初めまして、レナ・クーフェです。 よろしくお願いします」


そのまま席に促され、しばらく談笑していると職員の方が全員分のギルドカードを持ってきました。


「ほう、お嬢ちゃんは治癒術を使えるのか。 珍しいな、今後頼りにさせてもらうかもしれん。 その時はよろしく頼む」


とドルトさん。


 治癒術は光属性を使えることが前提で、その中でも使える人は100人に1人です。光属性が使える人自体100人に1人しかいないので、実質1万人に1人か使い手がいません。訓練次第では高価な治療薬であるポーションと同等の力を発揮するので、いざという時は頼りたいのでしょう。


「はあ、分かりました。 ですが、私は魔力が少ないので大した力になれないと思います」


「それでも、治癒術の有無は大きい。 そのことをよく理解した方がいい。 トラブルの元になりかねんからな」


確かにその忠告には従った方がいいでしょう。あまり力は使わないようにしないといけませんね。


 話の流れが一度途切れ、微かな沈黙が流れた後、職員の方が話し始めました。


「さて、それではギルドについて説明させていただきます。

先ず依頼の受け方ですが、掲示板に張ってある依頼書の中から受けたい物を取って受付にお出しください。 依頼書にはランクも書かれてあり、Bランクまでは自身のランクより一段高いランクのものまで受けられます。 それ以上のランクは自身と同ランクまでしか受けられません。 また、依頼にはそれぞれ期限が設けられており、その間に達成できないと依頼失敗、違約金を払うことになります。

次にランクの挙げ方についてですが、B+までは依頼を達成するごとに加算されるギルドポイントを一定以上まで貯めるとランクアップになります。 ギルドポイントは各依頼ごとに設定されており、難易度の高い依頼ほど高くなります。 また、自身より低いランクの依頼を達成してもギルドポイントは加算されません。 パーティーで依頼を達成された場合全員に2分の1ずつ加算されます。 パーティーは最大8人で組め、依頼を受けるときに仮パーティーとして毎回受付で申請するか、固定パーティーとして以降解散申請するまでずっとパーティーを組んだ状態でいるかの2種類あります。 それと、Aランク以上へのランクアップについては、ギルドポイントをためた後に試験を受け、合格する必要があります。

何か質問はありますか?」


私達は全員首を振りました。


「ふむ、話は以上だな。 君らの今後の活躍に期待している」


そう言って豪快に笑うドルトさんに何とも言えない表情になりながらその場から立ち去り、私たちは早速依頼を受けてみることにしました。


「これなんてどう? 薬草採取の依頼。 生えている場所はバルダ山の麓。 ジョゼフさんの話だと徒歩1時間だっけ?」


「そうですね。 報酬もそれなりだし初依頼だからこれぐらいでちょうどいいと思います、お嬢」


アニスの提案に乗り気なジョシュアさん。


 私を含め、他の人達も異存はなく、初めての依頼はこれに決定しました。




 ギルドで依頼を受けた私たちは次いでとあるお店に向けて歩き出しました。

昨日アッシュさんが渡した紙の内の一枚、その地図に書かれたお店に向けて……


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