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魔術世界の非魔術師  作者: まこと
黒衣の剣聖と銀月の射手
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今後の話

「初めまして、リルカーナ・ウェイウッドです! リルって呼んでね! 種族はエルフ!アッシュとは一言では言い表せない関係です!!」


「ああ、確かにお前にかけられた迷惑は一言では言い表せないな…… 一番酷かったのは何だろうな? ワイヴァーンの群れ押しつけられたことか? ハイオーガの千体斬りか?」


アッシュさんと一緒に入ってきた女の人が開口一番そんなことを言ってきました。


ですが、アッシュさんが溜息をついてそう言うと、すいません、ごめんなさい……と謝っています。アッシュさんが仰ったことはホントにあったことなんでしょうか!?


「リルの馬鹿な発言はいつもの事だからどうでもいいとして…… さっさと本題に入るぞ」


そう言ってアッシュさんが話を促します。


「なら先ず私たちについての説明からしましょうか。 私た「ああ、そんなのはどうでもいい」ちは……って、えぇ!?」


ジョゼフさんの話の後考えた作り話をアニスが話そうとしたら、話す間もなく一刀両断されました。


これには私も含めルーフェリア組は一様に驚愕します。アニスはムッとしていますが……


「そんな話聞かされるより、お前らが今後どうするかが重要だろ? で、どうすんだ?」


「あ……えっと、その……ギ、ギルドに登録しようと思ってます」


亡命する際、時間が無かったため、国外で生活するあての確保まではできませんでした。もちろん、お金になりそうな物や、いくつかの魔導具を持ってきていますが、それらを手放し、お金にするのは、前者は足元を見られそうですし、後者を売るのは危険すぎます。


それならば、実力さえあればなれる冒険者として生活費を稼ぎ、いざという時まで持ってきたものは売らないようにして保険として持っておこう、という話になったのです。


「ふむ、妥当な考えだが…… リル、どう思う?」


「うーん、基本的に悪くは無いと思うんだけど…… 実力がな~ 見た感じ実戦経験少なそうだし。 男2人はまだましだけど後は大丈夫かな? 特に貴族っぽい2人」


「ルーフェリアは頭でっかちが多いからな。 6人で生活できるランクとなるとCは欲しいか。 ……大分かかりそうだな。 やっていけるのか?」


「ちょっと、私たちが必死に考えたことにだめだし!? アッシュはなんかすごい冒険者って聞いたからまあ意見ぐらい聞くけど、そっちのエル「リル!!」……リルはそんなにすごいの?」


アッシュさんとリルさんの発言にムッとしていたアニスが噛み付きます。さすがに命を助けられ、実力の一端を見せられ、ジョゼフさんの話を聞いたためかアッシュさんには弱かったですけど。


するとアニスの言葉にアッシュさんがくっくっと笑いました。


「リルは『銀月の射手(アルテミス)』の二つ名を持つSランク冒険者だぞ。 だからこそ仕事の話のついでに、意見を聞けるよう連れてきたんだが……」


リルさんもSランク冒険者だったんですか!? じゃあこの人も小国だったら滅ぼせる実力を持っているんですね。とてもそうには見えませんが……


なんてことを考えていると、リルさんがジト目でこちらを見てきます。


居心地が悪いので空気を変えるために仕事について聞いてみることにしました。


「アッシュさん、仕事って何をするんですか?」


「ああ、名付きの龍退治。 明日から行くんだが早くて日帰り、遅くても明後日には終わるかな?」


……聞かなければよかったです。


名付きの龍となれば災害クラスの脅威ですよ!? それを何でも無いかのように言うなんて……


「まあ、そういうわけだからお前らにとって一番大変そうな明日はあんまり面倒を見てやれないな。 一度助けたんだから無責任にならないようある程度の面倒は見てやりたいんだが…… あとギルド登録は街の出入りに便利だからしておいた方がいいとは思うがそれで生活するとなると苦労するぞ? 兵士2人以外Fランクの依頼でもソロだと厳しそうだしな」


そう言うとアッシュさんは3枚の紙を渡してきました。


「とりあえず、俺からの心配りだ。 せいぜい有効に活用してくれ。 リル、俺の部屋で打ち合わせするぞ」


それにリルさんが分かった、と返事をし、2人は部屋を出ていきました。


どうしてここまでしてくれるのか疑問を抱きつつ私たちは明日に備え、寝ることにしました……


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