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豹変少女  作者: 石本公也
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彼女の豹変への対策。15ページ

「別にいいよ。私は。優香はどう?」

「私も別に構わないよ。えっと、健君が加わっても」

「……マジでか」

 昼休みのことで建は連れて行かないほうがいいと言う結論を出した俺だが、授業と授業の合間の五分休みに、そして放課後に泣きながらせがんでくる建に、俺は昼休みに出した結論は忘れることにして、橘さんと白羽のところに「建も加わる事になったがいいか?」と聞きに来たところだった。

 そしてその返事がこれである。流石に二つ返事でOKが出るなんて思いもしなかった俺は、1ー3の教室の前であんぐりと口を開けてしまった。

 この二人は心が広いのか?橘さんのこともあるだろうに。

「木陰、この二人は心が広いなぁ」

見たくもない満面の笑みで、健が振り返る。そうだなと軽く相図を返して、俺は白羽の方を向いた。

「本当に良いのか?」

「うん。人数が多い方が楽しいしね」

見る価値のある満面の笑みで、白羽は答える。うーん、二人が良いって言うなら別に、大丈夫か。

 俺はそう思う事にして、今度は、遊びにいく場所はボウリング場を予定しているんだが……と、二人に言った。別に当日に言ったっていいのだが、どうせなら今聞いてしまおう。

「ボウリングかぁ、私はやった事は無いけれど、楽しそうだね」

 橘さんは笑いながらそう言った。

「へぇー、この近くにそんな施設あったんだ」

 白羽も乗り気のようだ。俺も実際、あまりボウリングをした事がない。となると、初心者三人になるのかな?健はこんな施設を知っていたんだから、何回かやった事があるのだろう。

「じゃあ、日曜日って言ってたよね?日曜日の何時頃に?」

そう言えば、と言う様に、白羽が俺に尋ねて来た。

「ああそうか。そう言えばまだ決めてなかったな。九時……いや、十時くらいでどうだ?」

その問いに俺は、軽口で提案する。別に、一日中暇ならどの時間でも良いだろう。用事が入ったりしたら変更すればいい。

「分かった。十時ね。それで、どこに集合する?」

「そうだなぁ、そういやまだ決めてなかったな。明日辺りに報告って事でどうだ?」

「ねぇ」

俺と白羽が明日の事について話し合っていると、橘さんが手を上げた。

いやいや授業中じゃ無いんだから。と思いつつ、視線を橘さんに向ける。

「そう言う事って普通、連絡先交換しておくもんだと思うのだけれど」

少々冷ややかな目線で、橘さんはそう言った。その視線には、「念の為に言うけれど……」と言った石が込められている様に思う。

「「……………………」」

だが、その事が全く思いつかなかった俺と白羽は、ただ黙って橘さんを見つめる。

橘さんはハァ、と小さく溜息を吐いて、ポケットから携帯電話を取り出した。最近流行りの目が潰れたクマのストラップが付いている。

「赤外線、早く」

「あー、もう少し……よし、準備出来た」

橘さんの携帯と俺の携帯を近づける。直後にピローンという効果音が鳴って、互いの連絡先を交換出来た事を告げる。

「ほら、今度は私と」

「おう」

白羽が差し出して来た携帯にも、ピローンと鳴らしてアドレスを交換。携帯の画面に映った二人の名前を確認して、俺は携帯を仕舞い込む。

と、周りが何やら騒がしい。何だと思って顔をあげると、廊下に居る生徒の半数近くが俺達に視線を向けていた。

そう言えば、今日は教室で岩倉に詰め寄られてたなー。たった今連絡先を交換した女の子達について。そう言えば二人は意外と注目の的なんだよな。で、俺が今した事は…………。

俺に集まる視線の中に、多少の憎悪の念が感じられる。いくら何でも教室前でやるのはまずかったか。

「?朝道君?顔色悪いよ?どうしたの?」

白羽が心配そうに俺の顔を覗き込む。

「い、いや、何でもねぇよ。そ、それじゃあ、後で日曜日の事について連絡くれよ」

まだ昼休みには余裕があったが、これ以上廊下で話し合うのは精神的に来るものが有る。そう思った俺は、健を引っ張って自分の教室に戻って行った。

今回、書きながら何回も内容が変更していったんですよね。設定とか、そう言うのも含めて。

読み返すと「俺の人生の転機」でもよかったのでは?なんて思えます。

さぁ、次回は、

遊びにいくよ。

お楽しみに。

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