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2-5 ロケットボート高空を飛ぶ(1.5k)

 翌日、部品は揃ってきたので、それらのボートへの搭載を考える。


 そこで問題が発生する。

 着陸時にはボートを捨てて落下傘降下をする。

 その時にはジェット嬢は俺の背中に固定していないといけないので、ボートに乗る時点で俺の背中に背負っているのが望ましい。


 ボートのサイズはビッグマッチョな俺が腹ばいで入るといっぱいになるぐらいのサイズ。

 俺はうつ伏せで船底に納まるしかない。


 そうなるとジェット嬢の搭載位置も俺の背中の位置で決まる。

 魔力ロケットエンジンは船尾側にしか置けないので、ジェット嬢の手が魔力ロケットエンジンの尾栓まで届かない。

 触れていなくても風魔法は使えるが、魔力ロケットエンジンで推力を発生させるほどの量の空気を生成するには媒体となる物に触れていないとできないとジェット嬢は言う。


 二人で紙にボート内の配置図を描きながらいろいろ悩んだ結果、ジェット嬢の切断した脚の端部が魔力ロケットエンジンの尾栓に届くことが分かった。


 脚の切断部で触れることで魔力ロケットエンジンが使用可能かを検証したところ、切断した両脚の端部で魔力ロケットエンジン尾栓あたりを挟むことで保持が安定し、手で触れるよりも調子がいいことが分かって採用。


 ただし、ジェット嬢と魔力ロケットエンジンの接続だけ見ると、ローブの下から脚の代わりにロケットエンジンが生えているような、前世で好きだったロボットアニメのアレみたいな形でちょっとシュールな感じになってしまった。


 ボート内の配置が決まったら、それに従い組み立て。

 ボート本体の加工はボートに大砲の砲身から作った魔力ロケットエンジンを取り付けるだけ。

 ただし、ここはかなり頑丈に結合しないといけないので、廃棄してあった盾やら剣やらから材料取りして固定部品を作り、火魔法を使った簡易的な溶接を多用してくっつけた。


 ジェット嬢は魔法による鍛造や溶接も器用に行った。

 この世界では機械加工や材料製造等に魔法を使うのは珍しくはないらしい。

 確かに便利だと思う。


 最後に、ボートの中から俺が地表を見ることができるように、船底に小さい穴をあけて覗き穴を作り、そこに廃棄物の中にあった眼鏡のレンズを取り付けて覗き窓とした。


 使い捨てにするにはちょっと惜しいようなロケットボートが完成した頃には、日が傾いてきていた。


 本日最後の作業として発射台を作った。

 土魔法で穴と盛土を作りそこにボートを立てかけて発射台とした。


 東に向かって飛ぶということで、明日夜明け前に離陸して朝日に向かって飛ぶことにした。

 馬車の残骸の中で最後の食事を摂り、早起きするために早めに就寝。



 そして翌朝。朝日が昇る少し前ぐらいの時間。

 持ち帰る数少ない荷物と落下傘とジェット嬢を俺の身体に固定して、俺は発射台に立ててあるロケットボートに搭乗。


「「3・2・1」」

「「キャット・ワン!!」」


 ファンタジーとテクノロジーを掛け合わせた力で俺達は地球の重力から魂を開放した。


 魔力ロケットエンジンの大推力と風魔法を駆使した姿勢制御で急上昇。

 雲を突き抜け高度8000mに到達。

 計器がないのでヤマ勘だがだいたいそのぐらいだと思う。


 ロケットボートは重力と抗力が釣り合う機首上げ姿勢のまま水平飛行に移行し、偏西風にも背中を押されながら東へと向かう。


 推定速度 時速280km/h

 予測飛行時間およそ35分の空の旅。


 推力と姿勢制御はジェット嬢担当。

 俺は航法担当。うっかり領空侵犯しないように注意しながら進行方向を微調整する指示を出す。


「針路ちょい南」

「ヨーソロー」


 本当に息が合ってきた。


「ファンタスティーック!」


・魔王歴82年5月5日 早朝

 ヴァルハラ平野上空8000mを金色に光る飛行体が東に向かって飛んで行った。

 この飛行体はユグドラシル王国、エスタンシア帝国両国のヴァルハラ平野沿いの広い範囲の地域から目撃された。

●次号予告(笑)●


 超高空の空の旅。

 目的地上空で転覆てんぷくこそしたものの、背中合わせの二人は目的地への降下を果たす。

 実家へと辿り着いた女は、連れ帰った謎の男と共に養父母に暖かく迎え入れられる。


 そこで男は、この世界の電気技術者兼、家庭内下着ドロと運命の出会いを果たす。

「この【電磁石】、絶縁体ぜつえんたいの使い方が間違ってるぞ」

 そして、この世界の歴史を大きく動かす異世界技術の持ち込みを始めてしまう。


 その一方、魔力ロケットエンジンに魅了された脚の無い女は、自らの両脚を脚と言えない形に改造することを望む。

 開発コードネーム【魔力推進脚】

「女の子がサイボーグになりたいとか言い出すんじゃありません」


 なし崩し的に同居が決まり、背中合わせの二人は新生活のための生活用品を買い出しに街へと繰り出す。そこで、男は女の地元での渾名あだなを知る。

 それは、女の子に付けるにはちょっとひどいんじゃないかと思うようなものだった。


次号:クレイジーエンジニアと金色こんじきの滅殺破壊魔神

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