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幕間 黒騎士の末裔

 神聖メアリス教国。ニブルバーグ邸。

 騎馬で五日ほどかけて冬に呪われた地から帰還したクロード・フォン・ニブルバーグ辺境伯は、片翼(かたよく)の女神像に祈りを捧げていた。


 粛々(しゅくしゅく)と祈りを捧げるその姿。

 彼こそが黒炎を(まと)い荒れ狂うように戦っていた黒騎士と同一人物だ……だが、何も知らない者にそう教えたところで、とてもそれが真実だとは信じてもらえないだろう。

 しかし、実のところ彼は『狂信』の二つ名が与えられる程度に信心深い神殿騎士なのだ。


 銀色の髪に、切れ長の碧眼(へきがん)

 黒い(かぶと)の下の素顔は、呪われてさえいなければ男前と(ひょう)されていたかもしれない。

 しかし、その顔の右半分は呪いによって火傷(やけど)のように(ただ)れており、ボロボロに破れた皮膚の下を呪詛が()いずっている。


 一歩間違えれば屍鬼に間違われかねないほど(みにく)面貌(めんぼう)は、神聖な祈りの最中ですら苦痛と痛みに(ゆが)んでいた。


 クロード・フォン・ニブルバーグは神聖メアリス教国の辺境伯である。

 ニブルバーグ家は典型的な武闘派貴族であり、代々神殿騎士団の将軍を務めている。

 その当主は例外なく単騎でも戦略級の能力を有しており、特に当代のクロードは歴代でも最強の騎士であると称されていた。


 しかし過ぎたる力には代償が伴うのが世の常だ。

 ニブルバーグ家は教国内でも最高位の戦力を有する家系である同時に、とある一つの呪いをその身に宿した家系でもあった。


 その呪いとは、先の戦いでも見せた黒き炎――狂える黒騎士の呪いだ。


 かつて勇者に仕え、そして裏切った狂乱の黒騎士。


 その力の源は苦痛を代償とした誓約であり、ニブルバーグの一族は代々、その強大な破壊の力を授ける黒炎の呪いを引き継いでいた。


 * * *


 冬の領域から無事帰還した私は、メアリ様に感謝の祈りを捧げていた。

 重い鎧を脱ぎ、メアリ様の像の前に(ひざまず)く。

 あの恐ろしい魔女たちが従える魔獣を退けられたのも、(ひとえ)に貴女様の御蔭(おかげ)なのだ。

「おお、慈悲深きメアリ様……私は必ずや、あの悪魔、ソフィア・エリファス・レヴィオールを抹殺して御覧に入れましょう」

 それが私の使命であり、メアリ様の御意志であるのだから。


 ――ですから、嗚呼、メアリ様。

 彼女を前に惑い、躊躇(ためら)ってしまった私をお許しください。

 運命(かみ)を憎んでしまった私を、お赦しください。


「……グッ、うう……………」

 痛みと苦痛に呻き声が漏れる。

 一人きりの室内に、聞くに堪えない私の声が響く。

 また、呪われた半身が、疼くのだ。

 忌まわしき黒き炎。

 癒えることのない苦痛と狂気。

 この世に生まれ落ちたその日から、私はメアリ様の使徒だった。


 かつてメアリ様を裏切った黒騎士の罪と力。それらを引き継いだニブルバーグ家の使命。

 私は贖罪のために、メアリ様に(すべ)てを捧げることだけを考えて生きてきた。

 己の運命を呪ったことは一度や二度ではない。

 だが、私こそがメアリス教の聖騎士にして異端審問官。正義と秩序を(つかさど)る者。

 高潔であることが私の誇り。

 生まれながらにして使命を賜った私は、みだらで罪深き者たちとは一線を画す存在。

 狂える騎士の力を以って、あらゆる邪悪を排除し、異教徒を粛正する英雄の末裔なのだ。

 胸の内の欲望に負けず、憎悪に()まれることなく、私は今日までを過ごしてきた。


 それなのに、嗚呼(ああ)

 どうしてあの悪魔は、こうも私の心を乱すのだ。

 脳裏にこびり付いたあの妖婦の微笑みが、手の温もりが、私の理性を壊してゆくのだ。




 ……全てが狂い始めたのは半年前だった。

 連合国軍との戦闘で、一本の矢を受けたことが切っ掛けだ。

 その光の矢は、戦場を縫うように飛来して、見事に鎧を突き抜け、私の肩を(つらぬ)いた。


 私が戦場で怪我を負うなど、初めてのことであった。

 そして、さらに抜け目ないことに……その(やじり)には強力な毒が塗られていた。

 できる限りの処置を施したが、膿んだ傷口は癒えることなく私の肩を(むしば)み、ついに私は剣を振れなくなてしまった。


 私は治療のため、国内のあらゆる術師を呼びつけた。

 しかし、すべては無駄に終わった。

 非常に(なげ)かわしいことだ。

 最高位の神官たちですら、ことごとく私の肩を治療できなかったのだ。


 だが、私は諦めるわけにはいかない。

 私は呪われしニブルバーグ家の人間。

 剣を振れなくなった私には、存在する価値すら無い。

 再び戦場に立つため、私は腕の良い術師の情報を集め続けた。

 そして、その過程で、一つの噂が耳に入った。

 辺境の田舎(いなか)に住まう聖女の噂。

 彼女は聖と水の属性の治癒魔術に優れており、(すで)に多くの者が彼女に救われたという。

 ついに見つけた希望。

 しかし彼女が住まうのは原理主義派、しかもその旗印であるディオン司祭が追いやられた最北端の町であった。

 異教徒や(けが)れた亜人共との共存を(うた)う原理主義派と、我ら神殿騎士は相容(あいい)れない存在である。

 当然ながら、神殿騎士の将軍たる私は招かれざる客だった。


 とはいえ、もはや私に猶予がないのも事実。

 再び戦場で剣を振るうためには、多少の危険(リスク)でも(おか)す必要があった。

 幸いにも、ディオン司祭は現在、中央に召喚されているはずだ。神殿騎士に属する私が聖女の治療を受けられる機会は、今を以って他にはない。


 私は身分を隠して、聖女の元へ向かうことを決めた。

 今にして思えばそれが最初の(あやま)ちであった。




 ――私は小雨が降る中、馬に乗って北を目指していた。

 神殿騎士の――黒騎士の鎧の代わりに身に(まと)っているのは襤褸(ぼろ)外套(がいとう)だ。呪詛の這い回る醜い顔には包帯を巻いていた。

 普段は兜で素顔を隠しているのだが……久々に外して外を出歩けば、中々に清々しい気分だ。


 このような身軽な単独行動は久々だった。

 思えば、ここ数年はずっと戦場で指揮しているか、そうでなければ剣を振るっていた。

 護衛や召使の(たぐい)も同行させていない。必要ないからだ。

 例え片腕が使えなくとも、私は野盗ごときに遅れは取らなかった。


 聖女が住んでいると噂されていたのは、名もなき小さな町だった。

 その村の向こうは魔の森と呼ばれる暗い森が広がっており、それより北は無人の荒野が続いている。

 人間の生活圏としてはこの村が最北端で、最果ての地であった。


 丘の上から見下ろした田園風景はのどかなものであった。

 もし……私が呪われたニブルバーグ家の生まれでなかったなら、こんな穏やかな生活を送っていたのだろうか。

 畑を耕し、家畜を飼い、家族と時を過ごす、そんな穏やかな日々を……。

「……何を考えているのだ、私は」

 下らない雑念を頭から振り払う。

 どうやら、だいぶ弱気になっているらしい。

 私は急いでこの村の教会に向かった。

 情報が正しければ、今教会に居るのは、聖女と呼ばれる術者のみのはずだ。




 私は馬を降り、メアリ様に祈るにはあまりにも小さい教会の門を叩いた。

 扉を開いたのは目深にフードを被った修道女であった。

 その表情は陰となっていて一切を(うかが)えないが、ずいぶんと若い女性であるようだ。

「突然の来訪を、どうかお許しいただきたい。私はこの教会で治療を施してもらえると聞いて(おとず)れた者です」

「……分かりました。どうぞ、お入りください」

 招かれた私は教会の中に足を踏み入れる。

 若い修道女に案内されたのは小さな部屋であった。

 治療のために用意された部屋のようだ。薬品棚にはいくつか希少な秘薬の材料も並んでいた。


 私はその部屋の中央にあった椅子に座らされると、修道女が尋ねてきた。

「その包帯は……火傷でしょうか? では、治療いたしますので、包帯を外していただいてもよろしいでしょうか」

「いや、これは違う。治してほしいのは肩のほうだ」

 私は外套を脱ぎ、傷口の膿んだ肩を見せた。

「こ、これは……!」

 彼女は驚きの声を上げた。だが(おそ)らく膿んだ傷口ではなく、呪詛に(むしば)まれて黒く変色した腕を見ての反応だろう。

 案の定、彼女は言った。

「なんて強力な……このような呪い、見るのは初めてです」

「……治療を頼みたいのは肩の外傷。それだけだ。他を気にする必要はない」

 いつもの事である。

 私の呪いに蝕まれた半身を見た者は、誰もが(そろ)って似たように振る舞うのだ。

 誰もがこの(おぞ)ましい呪いに嫌悪する。

 もはや私がそのことについて思うことはなくなっていた。

「……分かりました。まずは、肩の外傷から治療いたしましょう」

 修道女は肩の診察をし始めた。


 彼女が近づくと、濃い白粉(おしろい)の臭いが鼻腔をくすぐった。

「これは、なんとも厄介な……少し時間がかかってしまうかもしれません」

 そう言いながら彼女は手際よく丁寧な治療を施していく。

 まず彼女は、私の傷口を綺麗な水で洗った。

 溜まっていた(うみ)を抜き出した。

 そして綺麗な布で傷口を(ぬぐ)い、それを終えてから治癒魔術を行使した。


 噂通り、聖と水の複合属性による治癒魔術。

 体内の毒と穢れを抜き出し、生命力を補いつつ、丁寧に傷を修復していく。

 彼女は黒死の病のように黒ずんだ腕に触れることを(いと)わなかった。

 火傷のように(ただ)れた肌を拭うことも躊躇(ためら)わなかった。

 今なお半身を這いずり回る呪詛に触れる際も、忌避した様子はなかった。

 ……他人にこれほどまで丁寧に扱われたのは、初めての経験だった。


 彼女に治療を施された者たちは、例外なく彼女を『聖女』と呼ぶ。

 私はその理由を、身を以って知ることとなった。




「――終わりました。少しだけ、動かしてみてください。なにか違和感はありませんか?」

 最初の宣言通り、肩の治療には日が傾くまでの時間を有した。

 他の誰にも治せなかった怪我だ。私の感覚からすれば十分早いと思うが、彼女にとっては『時間がかかった』ほうなのだろう。

 そしてその甲斐あって、私の肩は万全の状態に回復した。

「いや、全く問題ない。本当に素晴らしい腕だ」

「念のため、数日は安静にしておいてくださいね」

 高位神官すらも遥かに凌駕する治療技術。素直に私は感心した。しかし、立ち上がろうとする私を修道女が制止する。


「あっ、まだです。まだ立たないでください。次は、その呪いのほうにも治療を施します」

 彼女は無謀にも、黒騎士の呪いに挑もうとしていた。


 英雄の代から引き継がれた、裏切りの騎士の呪い。

 その解呪に挑もうとする聖女。

 私は慌てて彼女を制止した。

「ま、待て。そっちは必要ない」

「なぜですか? その呪詛は、かなりの苦痛をもたらすはずです。こうしている間にも、命だって削られています。治療術師として、放っては置けません」

「違うのだ。これは……この呪いは私個人ではなく、我が血筋にかけられたもの。ここで貴女が解呪を試みたところで、どうにかなる代物ではない」

 しかし彼女は(かたく)なだった。

「……この呪いを解くことが難しいとは、わたしでも分かります。ですが、目の前で辛い思いをしている人を放っては置けません」

 幼さを残す少女のその声は、真剣そのものであった。

「遠路遥々(はるばる)と、わたしを頼りにしてくださったのですから、少しでも楽にできるのならば、できうる限りのことをして差し上げたい――これは、わたしの我が儘です」

「そうか……ならば、頼む」

 私はその熱意に(ほだ)され、彼女の治療に身を委ねた。


 彼女が解呪に成功することなど期待していなかった。

 だが、その優しさが嬉しかったのだ。

 しかし黒騎士の呪いは、自身に向けられた解呪の気配を察したのか、私の意思に反して黒い炎を修道女に放った。

「キャアッ!!」

 黒き炎の波動に、彼女が被っていたフードが外れる。

 隠された彼女の素顔が露わとなる。

「……その、額の宝石は……!?」

 私の前に曝された彼女の素顔は驚くべきものだった。


 額の翡翠(ヒスイ)のような宝石。


 そして横向きの瞳孔。


 (ツノ)は切り落とされ、肌の色は塗りたくられた白粉(おしろい)所為(せい)で分からなかったが……間違いない。


 聖女とまで呼ばれた治療術師。

 その正体はバフォメット族――悪魔の少女だったのだ。


 それは、不運としか表現できなかった。

 私以外が相手なら、その認識阻害の魔具でどうとでも誤魔化せたはずだ。

 しかし、英雄の血を引く私の目に、そのような小道具は通用しない。

 彼女は慌ててフードを被ったが、もう遅い。

 私は彼女の正体を知ってしまった。


 眼前で隙を晒す、聖女を(かた)る悪魔。

 私は唾棄すべき悪魔族の小娘に歩み寄り――床に転んだ彼女の手を取った。


「――だ、大丈夫か? すまない、私の意思ではないのだが……」

「すみません。お気遣い感謝します。では、解呪を続けますね」


 ……なにを、やっているのだ、私は!

 一刻も早く、目の前の悪魔をこの世から排除しなくては!

 しかし意思に反して、私の体が動くことはなかった。


 悪魔の少女が私に微笑みかける。

 フードの奥の、灰色の瞳に不気味な横向きの瞳孔。

 それは怯えても、震えてもおらず、ただ正面から私と向き合っていた。

 ここまで真摯な態度で、私と、私の呪いと向き合ってくれた者は、未だ(かつ)て居ただろうか……?


 直接腕に触れる彼女の手の柔らかさと温もりは、私の心に容赦なく侵入してきた。

 あるいは、(すで)に魅了の呪いをかけられていたのだろうか。

 私は彼女が解呪を諦めるまで、少女の甘い香りに耐え続ける羽目になった。


 ――どれほどの時間が経っただろう。

 日は完全に沈み、すっかり辺りは暗くなっていた。

 結局、私が使命(のろい)から解放されることはなかった。

「……やはり駄目か……」

「……ごめんなさい」

 少女は申し訳なさそうに謝った。

「……いや、構わない。呪いは解けなかったが、疼きはだいぶ楽になった。感謝する」

 嘘だった。

 呪われた半身は何も変わっていない。

 だが私は彼女の優しさに少しでも報いたかったのだ。

 私が礼を言うと、少女はにこりと笑った。

「そう言ってもらえると嬉しいです。貴方のゆく先に、(さち)多からんことを祈っています」

 その姿は私腹を肥やす高位神官共よりも、よほどメアリ様に使える信徒のあるべき姿であった。


 私は別れの挨拶をし、僅かばかりの喜捨を施して、足早に悪魔の住まう教会を後にする。

 一刻も早く立ち去る必要があった。

 心が完全に奪われてしまう前に。

 それはせめてもの抵抗であった。


 私はとうとう最後まで、彼女を斬ることができなかった。




 ソフィア・エリファス・レヴィオールの抹殺命令が下ったのは、その一か月後のことであった。

 八年前の戦争で行方不明となった、幼き悪魔族の姫君。

 彼女を(かくま)っていたのはディオン元司祭。

 任務の詳細は彼の捕縛と、彼の匿うバフォメット族の少女を殺害し、彼女の額の宝石――王家の悪魔の瞳(バフォメット・アイ)を回収すること。

 つまり、私が殺さなくてはならないのは、よりにもよって、あの少女だったのだ。


 何故だ。何故なのだ!

 何故、よりにもよって彼女なのだ!?


 嗚呼、メアリ様! お赦しを!

 ほんの一瞬とはいえ、私は貴女を憎んでしまいました。

 穢れなき魂こそ私の誇りだったはずなのに、なぜよりにもよって、私の心はあの悪魔に惑わされてしまったのでしょう?


 あの異形の姿が、今は可憐に思えて仕方がありません。


 あの不気味な瞳が、今は美しく思えて仕方がありません。


 あの手の温もりが、未だに忘れられません!


 あの微笑みが、未だに脳裏から離れません!!


 私はかつて勇者を裏切った黒騎士のように、図らずも心が貴女を裏切ってしまいました。


 欲しい! 彼女が欲しい!

 彼女のことを考えるたび、押さえきれない感情が溢れてくるのです。

 燃え上がる灼熱の黒い炎が、私の胸を熱くするのです。


 これほどまでに苦しいのならば、優しさなんて知りたくなかった!

 メアリ様、私をお守りください! 己の欲望にこの身が焦がされないように!!


 嗚呼、メアリ様。

 我が一族の罪が赦されることはないのでしょうか?

 私がこの黒き炎から解放されることは、未来永劫有り得ないのでしょうか?


 我が名はクロード・フォン・ニブルバーグ。


 黒騎士の罪を引き継ぐ者。


 メアリ様に総てを捧げた使徒。


 全ての異教徒と、全ての異形を抹殺することが私の使命。

 そう信じて私は血塗られた道を歩んで参りました。


 それなのに、なぜ今更、冬で呪われた地にて、私に立ち向かう彼女の姿が気高く見えたのでしょうか?

 なぜ今更、彼女の怯える姿に罪悪感を覚えたのでしょうか?

 なぜ今更、今まで成した正義が(あやま)ちだったかのように思えてくるのでしょうか?

 ……なぜ、いくら祈りを捧げようとも、貴女様は黙したままなのでしょうか。


 せめて二度と関わらないならば、まだ耐えられました。目を逸らし続けることができました。

 しかし、次なる命は下されました。彼女を殺せ、悪魔を殺せと。

 これは私を試す試練なのでしょうか?

 なんて残酷な仕打ちを。やはり私の心は、罪深き存在なのでしょうか?


 それが神の意志ならば、(あやま)ちは、正さなければ……。

 彼女は悪魔なのだ。

 ……どれほど美しくとも、悪魔なのだ。


 彼女は救われぬ者に手を差し伸べる聖女なんかではない。

 心の弱さに微笑みかける、悪魔なのだ。


 ……私がやらなくても、いずれ他の騎士が彼女を(ほふ)るだろう。

 私が躊躇(ためら)うことになど……意味はないのだ。


 ならばいっそ、私の手で……。

 私の手の中で、私だけの腕の中で…………。


 メアリ様。次こそは、迷いません……。

 必ず使命を果たして見せます……。

 これ以外に、私の生きる道はないのです……。


 メアリ様、哀れみ下さい……。

 ……罪深き私を、お救い下さい……。




 いかがでしたでしょうか? これにて第三章終了です。


 面白いと思って下さったら是非、ブックマークや評価をお願いいたします。

 また、感想をいただければ、今後の展開・別作品の参考にさせていただきます。

 あと何か反応がもらえれば、純粋に励みになります。


 今後とも、強靭不死身の魔獣王をよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一応宿敵ポジ?の黒騎士このままだと主人公に瞬殺されない? まぁ魔女の戦闘想定同格の王だろうし仕方無いね
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