学校見学と感触
息子と学校見学に向かう。
駅からは新宿みたいな、地下なのか地上なのかここは一体どこなのか、わからなくなるような多層のビル街がつづく。
ホテルのようなビルの中に目的の中学校はあった。
学校説明の間、息子は簡単に飽きてしまい、脱走し授業に乱入してしまう。
注意するもどうにもならない。
もう私にできることはない、離れることぐらいしか。
無責任にもわたしは息子を置いて学校を飛び出した。
その道中で、別の学校が見学会をやっているのを見かける。
飛び込みで見学する。
ビル中の狭い校庭にはカエルのマークの入った臙脂色の旗が掲げられている。
校章だろうか。
小豆色のジャージを着た生徒たちは、ほとんど亡霊みたいな白い顔して、目的なく彷徨うように歩いている。
誰も彼もが顔の隠れるような長髪で、キューティクルの兆しもないパサパサの埃まみれの髪をしている。
校舎はピカピカでとても管理されているようなのに、生徒には覇気がない。
幼児のように至近距離から無垢な眼差しをまっすぐ向けて「こんにちは」と挨拶はする。
けれどその目にわたしは写っていない。
わたしを透明にして、視線はまっすぐ突き抜けた壁のまだ向こう、普通人が目に映すはずのないものを見ているように感じる。
先生たちはエントランスに長机を出して、鳥の餌のような袋に入った、給食を配膳し始める。
昭和の趣のアルミの食器に注がれたそれは小豆の入った脱脂粉乳のようだ。
給食は見学の予約をしていた保護者や学外の子供達にも振る舞われる。
「給食が素晴らしいと聞いてとても楽しみにしていたのよ」と正装を着た親御さんたちが話し、小学生らしい子供たちと受け取りに並ぶ。
わたしは飛び入りなのでその隙に外へ出て、子供の塾へ向かう。
あんなものをありがたがるなんてどうかしている。
塾へ着くと友達の一家と一緒に息子が学校見学から戻ってきていた。
あの後わたしがいなくなってから、息子は良い見学ができたようだ。
学校の先生にも、面白い子だと言われてたよと友人の子供が言う。
それと受験は違うだろうけど、受け入れられ楽しめそうなのはいいことだ。
この夢の間中、もろもろになったプラスチックのような感触がしていて、すごく印象的だったがこれはなんだろうか??
言語化するのが難しい。
20191208




