元盗賊団と正しい電線の引き方
我々は模造紙ほどのサイズがある古い地図を囲んで、正しい電線の引き方について、図面をもとに仮説を立てている。
一区画、電信柱による支えが足りないために敷地に電線が侵入している区画がある。
由々しきことだ。
しかしなぜかその部分の図だけがどこかへ消えてしまって、説明が伝わらない。
どこをひっくり返しても肝心の図面は見つからない。
説明が伝わらない理由は、ここが外国だからわたしの言葉が通じないということと、電線をどうこうするぞと指示を出したボスが不在だということ。
ボスに呼ばれてやってきた専門家のわたしを除き、彼らは元盗賊団で、ボスが言い出したのでなければそもそも電線のことなど興味はないし、なんとかする気もないのである。
山積みにされた資料をひっくり返すも例の図面は見つからない。
ジーンズのポケットに折りたたんだのかと思い弄るもそこにもない。
人が必死で探しているのを無視し、連中はやけに物騒なボードゲームを楽しみ始める。
そんなカオスな状況の中、虎の皮をかぶったボスが帰還する。
20191206




