白い建物と反転した黒曜石の建物
白い車を運転している。
これはパトカーだ。
わたしは刑事で、ある組織を追っていた。
リアには1組の男女が乗っている。
わたしが彼らを捕まえたらしい。
目的地は正面に見える、一房のみかんを横に割って立てたような形の白い建物だ。
先に連れのパトカーが敷地に入った。
正面のはずなのに入るルートが見出せず、路肩にパトカーを止め、植え込みから道を視認する。
わたしの車は一旦ぐるりと迂回してからじゃないと入れそうにない。
パトカーに戻る直前、森で爆破がおこった。
振動と噴煙。
爆破があったのは丁度リアにいる男女を確保したあたりだ。
彼らの組織の仕業だろうか?
斜面が崩れて土砂で道が埋まってしまった。
わたしのパトカーはギリギリ飲み込まれておらず、リアの二人も無事だ。
道は前後とも完全に塞がれて、目的地には車では入れなくなった。
新たな道を開かなくてはならない。
リアの男女を下ろして、徒歩で建物に向かうと告げる。
なぜかリアの男女が先を行き、案内し始める。
土砂を踏み歩き森に入る。
ある場所で男女は振り返った。
二人は「あなたという人物を表すエピソードを三つ選ばなくてはならない」と言う。「そうでなければこの先に進むことはできないだろう」と。
彼らの言葉は道が崩れる前のわたしと今のわたしとはもうすっかり人間が変わってしまっていることを示していた。
頭にスロットが浮かび、ワードがぐるぐる入れ替わる。
わたしはどんなワードを口にしたのだろう??
・
・
我々は地下にもぐる。
キラキラ黒く輝く石の洞窟だ。
地面を対称に、つまり上下逆になった、地上の目的地とそっくり同じ形の真っ黒な建物がある。
黒曜石だろうか。
黒々とそして所々赤く輝いている。
地上では屋根の頂点に当たる尖った先の部分に道が続いていて、建物の入り口となっている。
建物に入ると「向かうべきは五階だ」と男女はエレベータを開き、扉の左右に分かれてわたしを誘導した。
階段には人混みができているが誰もエレベーターにはのってこない。
わたしたちはすんなりエレベーターにのりこむ。
そこでわたしはもういつものわたしであって、警察官ではなかった。
ここまで案内してきた1組の男女もいつのまにか消えていた。
五階エレベーターを出たところで、突然息子が「トイレに行ってくる!」という。
ここはどこだろう。
わたしは美術館のホールのような人のごった返す会場に来ているようだ。
一緒に来たのは息子ひとり。
待ち合わせになる目印を告げて別れるが、この人混みだ、迷子にならないかなと心配になる。
20191203




