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【夢日記】内側を旅しても(stray thoughts.)  作者: 遠宮 にけ ❤️ nilce
2019年の夢

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山から神が降りてくる

私は新米の登山ガイドらしい。

山の道を行ったり来たりする。

先輩のガイドと一緒だったり、息子と二人だったり、別のグループを案内するのだったり。

山頂まで三種あるルートを数回ずつ往復し、道の感覚はおおよそ掴めていた。


ある時私がガイドして山に入った時連れていたのは、二人組の女だった。

道から外れ入りたい場所があるということで、彼女たちはルートから逸れて行ってしまう。

高くても腰までの笹くらいしか生えていないので、黄色とピンクのジャケットがいつまでも見えている。

けれど、もしかするともう彼女たちには戻る気がないのかもしれないと思う。




私の頭に確実に入っている、安心してガイドできる道はまだ一つだけだ。

今日は仕事ではないので、別のルートから登る。

木で組んだ小さな橋があり、そこを越えると土砂崩れしたところを登るような脆い道が続く。

一緒に来た息子がやたらと別の道を探索したがるので厄介だ。



散々歩きまわってから山を降りる。

麓の施設に子供がレンタルしたものを返却する。

三人で登ったと思ったが、下山した時は息子と二人だった。


夫は先に会計を済ませて、おそらくどこかでコーヒーでも飲んでいるのではないだろうか。

息子はカッパか何か山で落として紛失している。

なのに施設は追加料金は必要ないという。






ここは神の山で、この日山から神が降りてくると聞いた。


施設を出て見ると、山の上にちらほら白い幟が見える。

道はいつのまにか凄い人になっていた。


私たちは警備の人の言う通り列になり膝をついて神の行列が過ぎるのを待つ。

大名行列を前にした平民みたいだ。




神の隊列は皆、烏帽子を被り朱色の狩衣を着ている。

袴は白い。

先頭中央に立つのが神だという。

神は痩せていて小柄で特に目立った所がない普通の人に見える。

服装も周囲と全く同じものだ。



黒子のように少し列から離れて歩くお付きの人がいて、彼だけはなぜかタキシードを着ていた。

付き人から撮影の許可が降りたことを警備の人が伝える。

皆一斉にカメラを構えた。

私がスマホのカメラを向けた時には、神はすでに後ろ姿だった。

後ろ髪が寝起きの子どものように絡まってはねているのが映る。



残念だったな、と思っていると、一度通りすぎたはずの神は、わざわざ私たちの前に戻ってきた。

ふざけた顔をして狩衣をまくりあげ、腰を振って尻を突き出し踊って見せる。


タキシードを着たお付きの人が慌てて駆け寄り

「神様、いけません!」

と窘めるも御構い無しだ。


神様はクスクス笑いながらひょいひょいとお付きの人の静止をかわして踊り続ける。

いたずらっ子みたいだ。


「神様は、大変サービス精神が旺盛でいらっしゃる」

警備の男がフォローを入れる。


最初から特に威厳があったわけではなかったが、正面から見た時の神は澄まして見えていた。

それが人が変わったような無邪気さを見せている。



撮影が許されていたので皆カメラにそのふざけた踊りが収まっている。

しかし撮った写真はなぜか、その場で自動的に単一の太さのくっきりした線の線画に加工されていた。


ふざけた踊りだったはずなのに、どのシーンも勇ましい戦いや荘厳な儀式のように見える。

腰にナイフをくくりつけた屈強で、でもユーモラスな男たちの姿。

古代絵みたいだ。


これは神のふざけた写真が出てはまずいので、加工して何か意味ある行動に見せるための自動統制があったってことだろうか。

写真にはすでに記事もついていて、いつのまにか冊子になっている。


魔法のようだ。

これを行なったのは、神に振り回され情けなく見えたタキシードの男かもしれないと目を向ける。


その間に神は列に紛れ、行列は瞬く間に小さくなってしまった。





20191010 土砂が崩れたような山道の夢、最近多いな

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