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部分ばかりが飛び込む話のない夢<FA:萩尾滋さんから>
白い皮の毛布を顔までかけられ私は眠る。
眠る私に見えるのは
「君のEchoの何とやら」だという書き取りが間違っているといわれ原稿を突き返されるシーン。
つづりか漢字か何か。
自分では見つけられない。
グリーンの罫の原稿用紙に書いてある。
用紙の角には金文字のサイン。
象のマーク。
机から顔を上げると生成りのコットンでできたカーテンの影が揺れている。
古く日に焼けた色の紙に茶色い線で描いてある絵が床に落ちている。
洋ナシが描いてある。
窓から入る風で机から落ちたのだろう。
ワックスが落ちて撓み、ところどころ黴びて黒くなったウッドの床は足に冷たい。
20190929




