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星屑のライト<FA:萩尾滋さんから>
ある人の魂を持ち帰るために、その人の横たわる部屋を出る。
星型のライトを手にその人の家の中を整えるが、ライトは不良を起こしてばかりだ。
何も見えない。
早くしなければ、取り返しがつかなくなってしまうのに。
なにかが足りなくて私はその人の魂を持ち帰ることができない。
その何かがこの家の中にあるはずなのだ。
家主を訪ねるが不在。
部屋は煤けていて奥で何者かがざわめいている。
何者かは時折きらめき星屑をこぼす。
手にした星型のライトが反応して光る。
星屑は金平糖のようにランダムに床を転がって、衝撃のたびに光りそして消える。
私は一つ一つ星屑を拾ってライトの中に閉じ込める。
ライトを振ると蛍の光のように瞬間か細く灯った。
奥に向けると死んだあの人の青い頬が映った。




