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指の皮一枚
授業中うっかり右人差し指を突き指した。
皮膚が蜜柑の皮を剥くようにべろりとはがれて垂れ下がる。
内側には骨の代わりに黒いプラスチックの枠がはまっていた。
骨のあるべき中央は空洞。
柔らかな肉もなにもない。
薄い皮膚一枚の内側に硬質なプラスチック枠の不思議。
枠は指の側面に沿い、関節がきれいに動くようジョイントされている。
壊れては大変なので、早退し急いで医者にかかる。
指のプラスチック枠の中に体温計を嵌める。
誂えたケースであるかのようにぴったりだ。
体温計を抜いて看護師は蛇の皮みたいな皮膚を戻し、破れ飛ばないように上から慎重に包帯を巻く。
痛みはない。
違和感しかない。
指の皮、蛇の皮みたいにしわしわで、透けて見えるほどひらっひらしていました。




