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化石な私達
おはようと起きた私に映る人々の姿は石だった。
化石を含んだ石のように、きれいに層になった脆く柔らかな土の塊のような。
表面は平らで、稲などの植物性繊維か何かが組み合っていて少し毛羽立って感じる。
紙粘土を固めたあとのように表面の僅かな凹凸から糸くずがひらひらしている。
私達はそれぞれ腕がなかったり、頭の一部が欠けていたり、顔が陥没していたり全然違っているけれど平気だ。
ああ、と思うだけで誰も驚かない。
気が付きもしないほど誰しもみな凸凹だ。
果物を手渡そうとして、そっかお前腕がなかったよなと袋に詰め肩に掛けてやる。
そこに動揺もなにもない。
屈託もない。
そもそも表情も今ひとつわからないのだけれど。
石の私達は動き、普通に生活をしている。
脆く崩れかけの体で。
時折土塊を落とし、体を失いながら、愉快に。
肘を曲げたら肘が崩れ落ち、目をこすったら剥がれ落ちるなど皆なかなかに困難な体でしたが、からりと明るく暮らしていました。




