性転換の方法 ※
※不快な描写があります。ご注意ください。
私は小学校の四年生でした。
社会科見学でとあるラボへ向かったのです。
ラボは薄暗く、天窓が一つあるきり。
床は雑に塗られたコンクリで部屋はとてもひんやりしていました。
そこに一つ水槽が置いてありそこにはいくつもの男性器が水槽の中に沈められていました。
全て大人のものです。
こうしておくと腐ることなく必要な誰かにそれを与えることができるそうです。
不要な人から切り取り、保管してあるのだそうです。
この時の液体の色は緑がかった硝子の浮き球と同じ色。
ラムネ色の水槽はとても分厚い硝子でできていて、そのままでは中を見ることができませんでした。
子供の私は踏み台に登って水槽の縁を掴み、上から覗き込みます。
汚泥のようにひとかたまりになり積み重なったそれは、深い場所に沈殿しているため結局よく見えませんでした。
人体にそれをつけることはとても簡単ですが、適合するかどうかにはリスクがあるそうです。
つけるとそこから種が芽吹くように、自然と必要な管が体内に伸びていき臓器を変革していく……そのイメージが私の頭にありありと浮かびました。
適合しなければ植物が枯れるように管が腐り、中途半端に変革の起きたどこにもつなげられない臓器が生きたままだんだんと壊死していくようです。
それを思うと生半には決断できないと思いました。
施設の人に、お前に必要かと尋ねられたので今は必要ないと答えました。
そして今日はとても良い勉強をした、と思い部屋を出るのでした。




