はっか<FA:萩尾滋さんから>
夢でよく燃えますね。
体の内側から発火する。
私は炭化した肋骨の内側で、生まれたてのマグマのように強烈に輝くオレンジ。
熟した柿のように紅くとろけて、ひとかたまりになって宙に留まり、燃える。
燃して、外側を幾ら焼き尽くしても、足りないから。
いつまでも揺らぐ不安定な光を、灯し続けなければならないから。
熱くて誰も近くに寄れないから。
いつかは揺るぎなく青く輝く一等星になりたいから。
確実にゼロになるように私を、燃やし尽くさないといけないから。
一人それだけに全力で、でも全然足りなくて悶える。
燃せず残り、悪しきものに転じたりなどしたくない。
全部必ず燃やして。
存在をかけらも残さないよう完全に。
なのに私の吐く息は凍りつくように冷たくて、芯まで熱が届かない。
息を吐くと薄荷飴のように真っ白な塊がいくつも音を立てて落ちた。
塊は落ちた先から急速に溶けて、流れる前に蒸発する。
温度が足りない。
とても最奥まで沁みてくれない。
感じない。
足りないまま垂れ落ちて、黒い染みになって汚さないで。
失われないで。
必ず揺るぎなく青く輝く一等星になりたいから。
無意味で凶暴な力そのものになってしまうのは嫌。
私はエネルギーだから。
不純で余分な全部を抱えて、だからどうか完膚なきまでに燃やし尽くせますように。
何一つ残さず。




