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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第三章『秋』
83/160

70 一方『舞台』では

テスト期間でもしっかり更新!

少し短めですが70話です!

よろしくお願いします!

 『舞台』に所属することになった(千波)は文化祭の準備が憂鬱で仕方がなかった。

 

 一年生は基本的には劇への出演は無しで小道具作りに専念するという地味な作業内容というのも原因の一つだけど、一番は仲のいいクラスメイトが全員別のパートに流れてしまい、孤立状態になってしまったからというのが大きい。


 同じパートになったのは、話とテンションの合わないギャル風の子達と、同じクラスで夏まで過ごしたにも関わらず一度も話したことのない男子。正直、ものすごく気まずい。


 もちろん、本来私が希望していたのは佑がきっと選ぶだろう『展示』だったのに、じゃんけんで負けてこの『舞台』になってしまったという事実も私の憂鬱さを加速させている。


 唯一救いと言えるのは、同じ『舞台』パートに知り合いである舞唯(まい)先輩がいた事。先輩の中に知っている人がいるだけで安心材料になるのに、「佑」という共通話題もある。

 ただ、これも手放しに喜べる事ではない。

 舞唯先輩は佑との付き合いが私よりも長くてかなり親しいし、普通に優しい人だし、体つきも私なんかよりもずっと女性らしい。最悪、将来的に恋敵になる可能性もある。

 そうでなくても、私が持っている想いに気づかれてしまったら先輩経由で佑の耳に入ってしまうかもしれないという懸念もある。慎重に接しないと。


 そんなことを考えながらゆっくりと手を動かして小道具作りを進めていると、さっきまで私の頭の中に浮かんでいた舞唯先輩に声をかけられた。


「千波ちゃん、進捗はどう?」


 私はそれに、ありったけの作り笑いを浮かべて返す。


「う〜ん、まずまずです。一応依頼されてる分の小道具はもうすぐ作り終わりますよ。先輩の方はどうですか? 確か役があるんでしたよね?」

「そうなのよ〜。意外と重要な役だから頑張らないといけないわぁ」

「そうなんですか! 頑張ってくださいね!」

「ええ!」


 そうして会話に区切りが付いて、私は小道具作りに戻ったけれど、舞唯先輩は依然として私の隣に腰を下ろしていた。

 時折、「千波ちゃんは手先が器用ねぇ」などの呟きが聞こえてくることから、先輩も話し相手が欲しかったのかもしれないな、なんて思っていると、舞唯先輩が本格的にまた話しかけてきた。


「そういえば、文化祭みたいなイベントっていえばやっぱり恋愛の話題が増えるわよね。千波ちゃんもそういう相手とかいたりするの?」


 急に私の目下の悩み事に踏み込まれ、動揺して愛想笑いが崩れそうになるところをグッと堪えて言葉を返す。


「…………のー、こめんとで」

「ふふふ、照れちゃって可愛いわぁ」


 絞り出した言葉にそう返され、慌てて作業の手を止めて頬に手を当てると、確かに普段よりも熱を帯びているようにも思えた。うぅ………なんてわかりやすい。


 と、このタイミングで少し離れた所から舞唯先輩の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「あら、もう演技の練習が始まっちゃうわ。じゃあ、千波ちゃんも()()()()ねぇ」


 そう言って舞唯先輩は練習へと戻って行った。

 これで落ち着いて小道具製作を、と思った矢先にまた私宛てに声が届いた。


「えーと、杉山さん、だよね」


 後ろからの声に振り返ると、顔だけ知っているクラスメイトの男子だった。申し訳ないけど名前は知らない。


「今やってる作業が終わったらでいいから、生徒会室からガムテープ類をいくつか持ってきてくれないかな。次の作業で必要らしいんだけど、僕達まだ作業意外と残ってるから動けなくて。杉山さんはもうすぐ終わりそうだし、頼まれてくれない?」


 確かに私はあと一つ小道具を作れば作業はひと段落つくし、確かに暇になる。だからと言ってなんで私が、という思いももちろんあるけれど、こういう所で波風を立たせる方が後々面倒になると思い、それを引き受けた。


 その五分程後、作り終えた小道具を先輩に預けると、私は作業している教室を出て生徒会室へと足を運び始めた。

読んでいただきありがとうございました!


舞唯の持っている佑への好意は100%友愛だし、佑と千波のそれぞれの想いを推測した上で微笑ましく眺める事を楽しんでいるので千波の考えはただの憂慮。


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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