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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第二章『夏』
56/160

52 ダブルデートは終わらない

更新遅れました!

52話です!

よろしくお願いします!

 千波が怪我をしてから小一時間。時刻は十五時を回ったくらい。

 しばらく安静にしていたおかげで千波の脚の痛みは大分引いてきたらしく、肩を借りながらなら歩けるとのこと。

 なので、どこかで二人で遊んでいるはずの碧と杏実さんを呼びに行こうとすると、千波に呼び止められた。


「私も行かせて」

「いや、歩けるようになったとはいえ、まだ休んでた方が……」

「でも」


 無茶をしようとする千波を止めようとするが、千波は全く引き下がろうとしない。案外、千波はこういう妙なところで意地を張ったりするのだ。

 こうなった千波を止めるのは殆ど不可能だと今までの経験が教えてくれるので、俺は仕方なく千波の無茶を飲むことにした。まあまあ真面目に心配だからあんまり無茶はしてほしくない、というのが本音なのだがね。


「キツかったらちゃんと言ってよ?」

とだけ一応念を押すと、千波は大きく頷く。

 そんなやりとりを経て、俺は千波の手を肩に乗せて歩きだした。肩に触れる柔らかで滑らかな感触が気になって仕方がない。





「ごめんね、みんなの時間使わせちゃって……」


  歩き出してから、千波がぽつぽつと謝りだした。


「大丈夫だよ、そんなの気にしなくて。それよりも千波の怪我が酷くなくて良かったよ」


 俺の返答を聞いた千波は、一瞬口を開こうとしたように見えたが、結局何も言わずにそのまま足を動かした。言うだけ無駄な事だと判断したのだろう。多分内容は「それでも私は気にするの!」とかだったのだと思う。

 そんなことを考えながら碧達を探すが、中々見当たらない。プール内にはスマホを持ち込んでいないから探すだけで一苦労だ。

 あまり千波を歩かせたくないから早めに見つけないとな。

 そう思って首を左右に振って辺りを真剣に見渡していると、左の方から聞き覚えのある声が聞こえた。

 千波の耳もそれを捉えたらしく、小声で俺の名前を呼ぶ。


「うん、多分あっちにいるね。行こうか」

と返すと、俺達は声のする方に足を進めた。



 俺達が向かった先には案の定、探していた二人がいた。

 杏実さんが25メートルプールで泳いでいて、プールサイドから碧が声をかけている。状況を見るに、杏実さんの水泳練習ってところか。

 近づいていくと、途中で碧がこちらに気づいて寄ってきた。続けて杏実さんも慌ててプールから上がって走ってきた。


「だいじょ」

「大丈夫だった?!」


 碧が何か言おうと口を開きかけたのを、走ってきた杏実さんの声が打ち消す。先手を取られた碧は苦笑を浮かべる。


「まだちょっと痛いけど大丈夫だよ。ありがとね」


 千波の返答を聞き、杏実さんと碧はホッとした表情を見せる。

 その後、千波が申し訳なさそうに、今日はもう泳げないという旨を伝えると、それぞれが「仕方ないよ」と口にする。

 そして、千波が泳げないのにいつまでもプールにいても仕方ないので俺達はここでプールを退く事にした。


 シャワーを浴び、碧と軽く言葉を交わしながら更衣室で水着を脱ぐ。

 そして、早々と着替えを終えた俺達は更衣室の外の売店横のテーブルで雑談をして二人を待つ。

 女子はそもそも着替えに時間がかかる上、今は千波が怪我を抱えているのでしばらく待つことになるだろう。

 杏実さんが手伝ってくれると言っていたからあまり不安は無いが、それでも少し千波が心配だ。

 そう思いながら碧との雑談を続けていると、十五分ほど経ってから二人がやってきた。

 身長差が二十センチ近くある杏実さんの肩を千波が借りているので中々な絵面になっている。


「ごめんね。大分待たせちゃったよね」

「いや、大丈夫。俺も佑と楽しく雑談してたし」


 謝る杏実さんに碧が軽く返す。

 その間に千波は杏実さんの肩から離れ、ゆっくりと椅子に移動する。

 帰るには少し早い時間なので、みんなで席につく。

 売店の席をただで使うのもあれなので、俺達はそれぞれアイスクリームを注文する。

 そして、財布を出したついでに碧と杏実さんから昼食代を徴収する。

 届いた三つのバニラアイスと一つのチョコアイスを見て「チョコなの私だけ〜!?」と声を上げる杏実さんを横目に、再び雑談を始める。


 アイスを食べ終えてからも雑談を続け、一時間ほど経った頃、「またみんなでプール来たいね」という杏実さんの言葉で会話が止まった。

 気づけばもう十七時を回っていた。


「そろそろ帰るか」

と口にすると、それぞれが賛同する。杏実さんはまだ少し名残惜しそうだったけど。

 荷物をまとめ、まだ明るい外に繰り出すとすぐに熱気に襲われる。

 まだ暑いな、と思いながら前を向くと、来た時よりも通りが賑やかになっていることに気付かされた。

 みんなもそれに気づいたようで、少し辺りを気にしながら進んでいくと、祭り囃子のような音まで聞こえてくる。

 まさか、と思いながら次の角を曲がると、すごい人混み。そして並びゆく屋台。

 紛れもない『お祭り』がそこにあった。



 ダブルデートは、まだ終わらない。

読んでいただきありがとうございました!


やりたいこととやらなきゃいけないことが立て込んでて、執筆時間が中々取れませんでした。以後気をつけます。


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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