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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第二章『夏』
43/160

40 水着

女性陣水着回の40話です!

よろしくお願いします!

「えっ、じゃあ友香梨ちゃん来れないの?!」


 私のその声に言葉を返したのは同じクラスのダンス部の友香梨ちゃん。


「うん、ごめんね杏実ちゃん……。この間誘ってくれたプールだけど、その日の予定を確認したらダンス部の大会の直前だから一日中練習みたいで……」

「ううん、大丈夫。大会前の練習なら仕方ないよ。部活、頑張ってね」


 そう言って、来れないという事を伝えるためにわざわざ私に電話をかけてきてくれた友香梨ちゃんを励ましたけれど、私の内心は穏やかじゃない。


 絶対来てくれると確信していたのに、当てが外れてしまった。流石に男子二人、女子一人でのプールはハードルが高いよ……。当日までに誰か誘わないと…。プールに行く日までに一緒に水着も買いに行こうと思ってたのに……うぅ…。



 そして数十分後。

 友香梨ちゃんの代わりに一緒にプールに来てくれる子はいないかな、と考えたけど中々適任だと思える子が思い浮かばない。佑君と碧君の共通の女子友達って案外いないんだなぁ。これを考えるのはとりあえず後回しにしよ。

 そうだ、今度プールに行く時に着る水着も買わなくちゃいけないんだった。これも友香梨ちゃんと一緒に行くつもりだったのになぁ。

 仕方ない、一人で行こう…………。




 近くの少し大きめのショッピングモールの季節物売場に足を運ぶと、そこには当然ながらたくさんの水着が並んでいる。

 女子高生なのにそこまでトレンドに聡い訳じゃないから何を選ぶべきかかなり悩む。

 友達と前に話したら、今年は韓国風の水着やTシャツ&ショートパンツの水着が人気になりそうって言ってたっけ。じゃあそんな感じの水着にしようかな。

 碧君と佑君も来るからビキニみたいな露出多めのものは避けた方が良いよね。


 そういったことにも気を配りながら良い水着を探すけれど………中々ピッタリと合うものが見つからない。私の好みに合った水着があってもそれは結構肌を晒すタイプのものだったり、逆に碧君達の前にも着ていけそうな水着は私に合わなかったり。

 そもそも私って背が低いし、スタイルが良い訳でもないから似合う水着って難しいんだよね。

 そう思ってお店を回っていると、一つの水着に目が留まった。それは背中と肩は出ているものの落ち着いた雰囲気の水着。色もブラウンなので派手すぎないし、胸元にあしらわれたレースで胸も目立たない。

 これはちょっとアリかも。試着してみよっと。


 試着室の鏡に映った自分に、私は我ながら見惚れてしまっていた。落ち着いた雰囲気の中に可愛らしさもあって、想像以上に私に合っている。露出も多くないし、これは中々良い水着と出会えた。

 その水着をとても気に入った私は水着を手に、るんるんと軽やかなステップを踏みながらレジへと向かった。




 夏休みの昼下がり。

 エアコンの効いた部屋でゆったりと読書をしていた私の下に友人の彩陽ちゃんからメッセージが届いていた。


『今って暇〜?暇なら一緒に水着買いに行かない?今日は曇りだから暑さも酷くないし』


 そういえばこの間そんな約束したっけ。今は暇だし、曇りという好条件も重なってるのなら彩陽ちゃんの誘いに乗ろう。

『オッケ〜!準備したら行くね!』と彩陽ちゃんに返信した私は部屋着から外出用の服に着替え、普段より少しだけ暑さが和らいでいる外に出た。



 近くの少し大きめのショッピングモールの出入り口に行くと、すでに彩陽ちゃんはいつものポニーテールを揺らして待っていた。

 私が来たことに気づいた彼女は「それじゃ、行こっか」と一言、ショッピングモールの中に入っていったので、あとを追って私もショッピングモールの中に足を踏み入れた。


 ショッピングモールの服売場に行くと、そこの一角は水着に支配されていた。そして、彩陽ちゃんはそこから一着の水着を取り出して「あ〜!これこれ!欲しかったんだよね〜」と声をあげる。

 あれ?彩陽ちゃんの用事もしかして終了?

 そう思っていると彩陽ちゃんがこんな事を口にする。


「さて……本命の千波ちゃんに似合う水着選手権始めますか〜」


 この言葉に、え?!と驚いている私を他所に、彩陽ちゃんは近くの棚からいくつもの水着を取り、私に手渡してくる。


「はい、じゃあ着替えてきて?」


 笑顔でそう言う彩陽ちゃんには逆らえず、私は複数の水着を手に、試着室の中へ入った。


 とりあえず渡された水着の中から一番派手さがないものを手に取り、それで身を包む。暗めの青を基調としたゆったりとした長袖の水着。それを着て鏡に映った私は、思ったよりそれが自分に似合っていると感じて少し自信を持って、試着室の外で待つ彩陽ちゃんの前に姿を出した。

 しかし、待っていたのは予想の斜め上の反応だった。


「うん!可愛いよ!でも……ちょっとおとなしすぎない?千波ちゃん、せっかくスタイル良いんだからもうちょっと露出増やそうよ〜」


 え〜!あんまり肌を晒すのは恥ずかしいよ〜。でも彩陽ちゃんの押しに負けて、彼女が薦める、少し露出多めの水着を着ることになってしまった。

 白色で、ノースリーブで肩から先の素肌が出ていて、胸の辺りは流石に多めの布で覆われているもののハイウエストでお腹は見えてしまっている、そんな水着。清楚感と色気を合わせたようなそれを身に纏った私を鏡で見て、私っぽくないと感じた。けれど、こういう水着を男の子は好むんだろうなぁ、なんて考えてしまっている自分もいた。

 とりあえず意見を聞きに試着室の外に出ると、絶賛の嵐が待っていた。


「いや、可愛い可愛い可愛すぎるって!!女の私が惚れそうだよ〜!これなら意中の子もオトせるよ〜!」


 あれ、私って彩陽ちゃんに佑の事言ってないよね?なんで「意中の子」なんてワードが出てくるのだろう。ただの仮定の話かな?まあ、ここは一旦気にしないでおこう。


 とりあえずこの水着は絶賛されたし、今度プールに行くのは女子だけだから、これくらいはいいかなと思ってそれを購入することに決めた。



「いや〜、楽しかったよ。今日は来てくれてありがとね」

「こちらこそ!あの水着は私ひとりだったら絶対買ってないよ!」


 ショッピングモールを出て、帰る前に感謝を述べた彩陽ちゃんに私はそう返した。

 そのまま帰路に就こうとしたところで彩陽ちゃんが私を呼び止める。


「待って待って!またプール行く日決めてない!」

「あ、ほんとだ」

「吹奏楽部の予定見たら、近いところだと七月二十七日か八月一日は空いてたからそこのどっちかにしない?」

「うん、わかった。家に帰ったら家の用事がないかだけ確認するね」

「オッケー!」


 そんな会話を最後に、私達はそれぞれの家へと向かった。



 家に帰る途中。スマホが何度も規則的に震える。電話だ。

 とりあえず電話に出ると、スマホから聞き慣れた声が聞こえた。


「もしもし、千波ちゃん?ちょっと話があるんだけど………」


 その一本の電話が、私の夏を大きく大きく動かす事となった。

読んでいただきありがとうございました!


女の子の服装(水着)考えるのって大変……。


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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