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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第一章『春』
19/160

17 前期球技大会5

17話です!

よろしくお願いします!

 昼食を終え、碧や杏実さん達と後片付けをしている(杏実さんの顔の火照りは収まったらしい)と、クラスメイトの一人が声をあげながら走ってくる。


「出たぞ〜!決勝トーナメントの組み合わせ!」


 おっ、来たか。さてさて、俺たちのお相手はどこかな、そう思いながらクラスメイトが持ってきた紙を覗き込む。そこに書いてあったのは───「ドッヂボール準決勝 二組対九組」


 ………っ!二組!……千波のクラスだ。きっと、あの子も試合見にくるよな……。いいとこ見せれるように頑張らないとな。

 そう思っていると、碧に話しかけられる。


「すまん、佑。俺たち終わったかもしれない」

「なんかあったのか?」


 俺がそう首をかしげると、碧が答える。


「俺たちの準決勝の相手、バレー部員だらけの三組だ」

「うお、まじか。まあ、諦めずに頑張ってくれ。ところで、試合はいつだ?」

「この後すぐだな」

「お、じゃあ俺たちの試合と時間被ってなさそうだから見にいける。俺らの試合はもうちょっと後だから」

「なら、応援頼むぞ。頑張るから」


 そう言葉を交わしていると、杏実さんも混ざりに来た。


「碧君、次の試合厳しそうなの?」

「正直に言うと、本当に勝てる可能性が低い。けど、やる前から諦めるわけにはいかないから頑張るよ」


 そこに俺も乗っかり、頑張れよー、なんて話しているうちに昼食の後片付けが終わり、あっという間に碧試合の時間がやってきた。




 この時間帯は、うちのクラスの試合はこのバレーの試合しかないらしく、クラスメイトほぼ全員が応援席に集まっていた。しかし、ここでは不安そうな声が飛び交っている。

 それもそのはず、碧達のコートのネットを挟んだ先にいる相手チームには身長180センチを超える人が三人もいる。九組のチームの最高身長が177センチなので、まず見ただけで圧倒的な体格差があることが分かってしまう。それに加え、うちのクラスはバレー部が一人もいないが、事前情報では相手である三組には四人もバレー部がいるらしい。


 と、聞いただけで諦めたくなるような情報ばかりだが、それを相手取る碧が「諦めない」と言ったのだから、周りの俺達が勝手に見限ってはいけない。


 俺のすぐ近くにいる杏実さんも、真剣な表情でコートを見つめている。その視線からは、さっきまでの恋愛感情に基づく「碧のいいところが見たい」という思いではなく、純粋な「勝って欲しい」という願いが感じ取れた。


 周りにいるクラスメイトも杏実さんのそれを感じ取ったのか、ざわざわとした喧騒も収まり、真剣に勝利を願ってコートを見つめるようになった。

 それを合図にしたように審判の笛が鳴り、試合が始まった。



 相手チームのサーブで試合が始まる。バレー部員らしい男子の放ったボールは凄まじい勢いで九組のコートに襲いかかり、誰も触れられずに地面に落下した。

 続けて放たれた強烈なサーブには碧がどうにか食らいつこうとするが、碧の手に当たった瞬間、ボールに碧が弾き飛ばされる。


 同じようなことが三回、四回、五回と続いていくと、応援席からは悲観的な言葉や同情の声が止まなくなる。


「あれは取れないわ」

「バレー部員だらけとか反則でしょ」

「今ボールに弾き飛ばされた子、大丈夫かな?」

「これはもう勝てない」

「可哀想……」


 そんな中、俺の隣で杏実さんは一人、声援を送り続けていた。

 だが、そんな応援も虚しく、相手チームが得点を積み重ねていく。

 途中、相手がサーブを失敗したり、スパイクを外したり、バレー部以外の子がサーブをしたため九組が拾えたりしたことで何点かは九組にも入っているが、三組はその倍以上の得点を取っており、圧倒的な点差がついている。


 それでも、杏実さんは応援を止めない。碧に、九組に、声援を送り続ける。そんな杏実さんを見ていると、俺も応援しなければという衝動に襲われ、気づくと声を上げていた。


「頑張れ!少しでも抗え!少しでも点を取ってくれ!」


 俺のその声につられたのか、周りも声援を送り始める。


 九組の大声援の中、相手がなんとなくやりづらそうにしながらサーブを放つ。

 今まで一度たりとも拾えていないバレー部のサーブ。それの正面に割り込んだ碧が両腕でボールを捉える。そして、サーブの勢いで後ろに倒れ込みながらもボールをついに拾いきった。

 応援席からは大歓声が上がる。隣では杏実さんが飛び跳ねて喜んでいる。可愛い。

 大歓声の中、碧が残したボールにチームメイトが駆け寄り、ボールを上に上げると、そこにもう一人が飛び込み、スパイクを放つ。そのボールもかなり良いコースに飛び、コートの枠ギリギリのところに落下する。

 初めてまともに点を取った。そのことで九組の応援席は大盛り上がり。


 しかし、上手くいったのはここまで。この後は相手のバレー部員に力を見せつけられ、連続失点を喫し、敗北した。


 だが、試合終了時の碧達の顔はとても晴れやかであった。全力を尽くせた、そんな充実感がこちらにまで伝わってくる。


 試合が終わると、すぐに杏実さんが碧に駆け寄った。


「負けちゃったけど、かっこよかったよ、碧君」

「はは、ありがと。負けたけど、俺も相手に一矢報いれたから満足してるかな。俺達は負けちゃったけど、杏実達はこれからだから頑張って!」

「うん!碧君の分まで頑張る!」


 さて、次は俺達の試合か……。杏実さんの言う通り、碧の分まで頑張らないとな。

読んでいただきありがとうございました!


どうしても球技大会の話はラブコメ要素にスポーツが勝ってしまう……。上手にラブコメさせなきゃです。


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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