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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第四章『冬』
140/160

120 試験と最後の行事

新イベント発生の予感の120話!

よろしくお願いします!

 バレンタインの浮ついた空気の余韻が残る中、それは無情にもやってきた。


「今日から学年末試験週間となります。各々しっかり勉強するように。特に今まで成績が振るわなかった人はここで頑張らないと留年だからな」


 教卓に立った担任が告げると、教室の一部からは悲鳴が上がる。その内訳は試験が行われるということに対するものが半分、留年の危機によるものが半分と言ったところだろう。

 俺はというと、このタイミングで試験がやってくるのは年間予定を見れば分かるものなので先生の言葉を淡々と受け入れていた。苦手科目の数学もどうにか平均点のやや下あたりをマークしていたのでよっぽど留年危機に陥る可能性は無いということも精神的余裕をもたらしていた。

 周囲に目をやると、杏実さんを筆頭とした仲の良い面々は皆冷静に先生を見つめていたり、頑張るぞ、といった意欲的な表情をしていたので、全員で無事に試験を突破して進級できそうだと俺は安心してほっと息を吐いた。



 それから俺はしっかりと意識を試験モードに切り替えて毎日机に向かい、苦手な数学を中心にコツコツと勉強を進めた。

 また、休日には何度か図書館を訪れて勉強をしていたのだが、一度だけ千波と鉢合わせるという嬉しいハプニングもあった。

 その際にバレンタインのチョコの感想を伝えると、少し照れ顔を浮かべ、それを教科書を用いて隠すようにしながら柔らかく笑った。


 そんな緩い一幕も挟みつつ、俺は試験当日を迎えた。

 今回は今まで以上に各教科でしっかり対策をした甲斐あって、目の前に現れる問題の多くをしっかり捌くことができた。

 そしてその結果は、当然どの教科でも幾つかミスはあったもののこの一年の中では一番の出来だった。

 学年順位では、全体の真ん中辺りを彷徨っている普段を大きく超え、上位1/4に入ることができた。


 周りに目をやると、普段は俺と同じように中位に位置していた碧が点を伸ばし、上位層に浮上していた。

 対照的に杏実さんは普段の水準をやや下回る得点を取っていて、トップ層から少し順位を落としていた。

 そんな二人の結果からは勉強が得意な杏実さんが碧に色々と教えていたであろうことが簡単に読み取れ、カップル生活を謳歌しているのがよく分かった。

 恋路の成功のために奔走していた身としては本当に嬉しい限りだ。



 また、今回もいつも通りに千波と試験の結果で勝負をする約束をしていたのだが、今回は苦手な単元が多かったのか千波の点数は伸び悩み、俺の出来が良かったことも相まって少し差をつけて俺が勝つという意外な展開が待っていた。


「珍しいね。千波がこんな点を取るとは。今回の範囲苦手だった?」


 少しへこんでいる様子の千波に声をかけると、「ん……ちょっと、ね……」と小さな声が返ってきた。

 それ以降は何か言うこともなくすっかり黙ってしまったので、俺は慌てて話題を変えた。


(それにしても、最近の千波はたまにこんな感じで黙ってることがあるんだよな……。何かあったのかな……)


 口に出さなかったそんな違和感に対する答えが返ってくるはずもなく、何か考え込んでいる様子の千波が帰路を誤らないかを気にかけつつ俺は帰路に就いた。






 その翌日。

 千波について考えながら登校し、騒がしい教室で一人思案していると、先生がやってきて朝のHR(ホームルーム)が始まる。

 そして、そこで俺達は楽しみにしていながらもすっかり忘れ去っていたことを先生から伝えられる。


「来月───三月の半ばに、後期球技大会が行われるので、掲示しておいたプリントを見て出場種目を決めておいてください」


 それを聞いた瞬間、クラス全体がドッと盛り上がりを見せる。そしてその盛り上がりのまま先生からの他の連絡を聞き、HRが終わると───居ても立っても居られないといった様子で多くのクラスメイト、特に大喜を中心とした男子が掲示されたプリントに向かって飛び込んでいく。

 俺はそこの人混みに突っ込んでいく勇気は無く、一歩引いたところから声を拾って情報を集める。


(女子種目はバレー、卓球、ハンドボールか……。男子の種目は……騒がしすぎて聞き取れないな。仕方ない、後でちゃんと見に行こう)


 しばらくすると人だかりが無くなったので、俺はプリントに近づいて男子の種目を確認する。


 一つ目の男子種目は、女子と同様に卓球。

 俺は卓球部だからこれを選べばそれなりには活躍できるが……初心者と当たって一方的な試合になってもつまらないしな……。


 二つ目の種目は、これも女子と同様にバレー。

 背が低いから活躍できるかは分からないが仲間次第では全然楽しいものになりそうではあるよな……。


 そんなことを考えながら視線を進め、三つ目の種目を捉えた所で俺の思考は急停止する。

 そこに書かれていた種目の名は───サッカー。


 俺の大好きなスポーツであり、同時に大の苦手とするスポーツだ。

読んでいただきありがとうございました!


明日より筆者の試験期間が始まるので、更新頻度落ちたらすみませんと先に謝っておきます。


読んでみて少しでもいいなと思ってくれたら、感想やブックマーク、評価などいただけると嬉しいです!励みになります!

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