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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第一章『春』
14/160

12 前期球技大会

12話です!

よろしくお願いします!

 杏実さんとの特訓から一週間。とうとう球技大会の日がやってきた。


 登校した後、すぐにグラウンドへの集合が命じられると、全校生徒が体操服を身に纏い、グラウンドに整列を始める。

 俺も自分のクラスの列に向かうといつもにも増してやる気に満ちている杏実さんが目に入った。入学式の頃はボブだった髪はあれから伸びて肩にかかるくらいになっていたが、今日はそれを後ろで結んでおり、準備万端という様子が見て取れる。

 運動好きな碧もいつもよりもいい表情をしている。───約一名それに若干見惚れ気味なのは気にしてはいけない。


 しばらくすると、整列が揃いきったのか先生が前に立ち大会の説明を始める。


「えー、これより()()球技大会を開始します。大会本部はグラウンド左側の校舎前にあるので、試合が終わった場合はそちらに勝利チームの代表者は行って結果を報告するように。救護テントも大会本部の隣にあるので怪我や体調不良の者が出たらそちらに行きなさい。それから──────」


 長々と先生が話す中、俺の中に一つの疑問が浮かぶ。

「前期」球技大会?


 先生による説明が終わり、準備運動を終えるといよいよ競技が始まる。バレー、バスケ、ドッヂボールそれぞれに参加する生徒が各々の会場に散り散りとなる。その前にさっき浮かんだ疑問を近くにいる大喜に尋ねてみる。


「さっき先生「前期」球技大会って言ってたけど、あれどういうことか分かる?」

「ん?ああ、佑知らなかったのか?この学校はクラスの親睦を深めるために五月に球技大会やって、三月にクラスの最後の思い出作りとしてもう一回球技大会やるんだよ」

「へぇ!そりゃいいね!」


 年二回球技大会あるとか本当に最高でしょ。でもこの最高のイベントで勝てたらもっと最高だよね?というわけでまず一戦目いってみよう!




 その前に俺が参加するドッヂボールのルールを軽く説明する。


 まず、各クラス男女一チーム(十人)ずつ参加し、男子同士、女子同士で順番に対戦を行う。(どっちから先に対戦するかはコイントスで決定)

 一試合十分で進行し、終了時の残っている人数の男女合計が多かったクラスの勝ちとする。また、全滅が起こった場合はそのチームは即敗北となる。

 まずは一学年九クラスを五クラス、四クラスの二グループに分け、総当たり戦を行い、上位ニクラスずつが決勝トーナメントに進む。

 といった感じだ。その他にも首より上にボールが当たった場合はアウトにならないなどの細かいルールが存在するが、それは割愛する。



 そうして迎えた一戦目、相手は一組。相手のメンバーを見た感じでは圧倒的に運動が得意そうな子はいないが、何人かは運動部に所属している子はいそうな感じだったので、うちのクラスのメンバー層とほぼ互角となる予想された──────のだが。結果から言うと、うちのクラス、九組の圧倒的勝利となった。


 コイントスの結果、試合は男子からとなり、相手ボールで始まったのだが、一球目をあっさりと大喜がキャッチ。そのままフルスイングしたボールは相手の腕に見事直撃し、相手はアウトとなり外野へと向かう。

 そして、大喜が投げたボールはあまりの勢いに、相手に当たるとそのまま大喜の下へと返ってきた。それを再び相手に投げ、当てて、またボールを拾い、あるいはキャッチし、再び投げ──────という流れが続き、大喜一人で八人を撃破する蹂躙劇となると、他のクラスメイトも続き、残る二人をあっさり倒し、相手は全滅。一組の敗北が、九組の勝利が、確定した。試合開始から僅か三分の出来事であった。

 女子も試合に備えて体をほぐしながら試合を見ていたようだが、すぐに宣言された試合終了にみんなあっけに取られている。


 そんなわけですぐに試合が終わってしまったため、同時に試合をやっているはずの碧が参加しているはずのバレーを見に行くことにした。


 バレーの会場である屋外コートにいくと碧を含むバレー参加者が五組相手に良い勝負をしていた。そして、観客席には当然のように杏実さんの姿。結果的に試合はしなかったとは言え、さっきまでドッヂボールの会場にはいたはずだよね。


「やっぱ杏実さん来てたか」

「あ、佑君も来たの?」

「次の試合まで時間結構あるしね。杏実さん来るの早かったね」

「そりゃね!!碧君の活躍を見ないと!」


 活躍するとは限らないけどな、と思い苦笑しつつ頷く。キラキラした目で見つめる杏実さんの視線を先では激しいバレーの攻防が繰り広げられている。しばらくラリーが続いた後に碧のスパイクが決まる。

 俺の前で杏実さんが歓声をあげ、飛び跳ねながら

「ナイス〜!碧君〜!」

と声をかける。

 それに碧が気づき、手を振り返すと杏実さんが硬直する。

 杏実さんが硬直しているうちに試合は進み、今は二十対十七でうちのクラスリード。二十五点先取で勝ちなので勝利が近づく。

 試合を見ながら杏実さんに「碧の活躍見逃しちゃうよ〜」と声をかけながら顔の前で手を振ると復旧して、再び食い入るように試合を見始める。

 そのまま無難に試合は進み、碧のチームはそのまま勝利を挙げた。試合後に応援していたみんなにプレーしていた子たちがハイタッチにやってくる。そこには当然碧もいるわけで。碧から「応援ありがと~」と声をかけられて手を合わせた杏実さんはそのまま顔を赤くし、再び硬直した。

読んでいただきありがとうございました!

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