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推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第一章『春』
12/160

10 最初のイベント

10話です!

よろしくお願いします!

 結局杏実さんに会った以外は特に何もなくGWは終了した。そもそもたった一週間かそこらで何かしらの出来事を望む方が間違っているような気もするが。


 そして、GW明け最初の登校日。登校後すぐのHRの前の空き時間に、友達との会話の話題として俺がやっている音ゲーを出してみると、杏実さんが言っていた通りやっている子が結構いて嬉しい気持ちになっていると、先生が入ってきてHRが始まった。

 HRの内容は、クラス全体として大きな問題もなくGWを終えれた事に関する話がほとんどを占めていたので話半分に聞いていたのだが、終盤になって急に話題が切り替わる。


「もうすぐ今年度最初の学校行事となる球技大会がある。後日チーム分けとかをするから行事の要項を読んどいてくれー、そこの黒板の端に貼っとくからなー」


 先生の放ったその言葉にクラスが沸き立つ。

 球技大会、それは各クラス、各人の「勝ちたい」という思いと、(主に男子の)「モテたい」という思いが交錯する一大イベント。


 HRが終了した後、当然のように黒板の端に人が群がる。俺も要項などを確認したかったが、一枚の紙に大人数が集まっていたため見ることができない。ので、おとなしく自分の席に座っていると、大喜が話しかけてきた。


「佑、ドッヂボールしようぜ」


 は?ドッヂボール?唐突にどうしたよ。そう混乱していると慌てて大喜が付け足す。


「あー、ごめん。言葉足らずだった。球技大会の話な」


 言われて納得した。というか、さっき先生から球技大会の話があったところだから、これに関しては俺の察する力が足りなかったような気もする。


「他になんの競技がある?」

 そう尋ねると、大喜が

「確かー、バレーとバスケだったか」


 なるほど、バレーとバスケか……。身長が低い俺にとっては不利な競技ばかりだな。となると少しでも活躍しようと思うと必然的に選択肢が一つになるな。


「オッケー、じゃあ俺もドッヂボールにするよ」

「よっしゃ、仲間一人ゲット」


 そんなわけで他に誰がに参加するかとかルールとか知らないまま球技大会はドッヂボールに参加することに決まった。


 あっさり参加種目が決まってしまったので、要項の書かれたプリントに群がっているクラスメイトを眺めていると、杏実さんが近づいてくる。


「お、杏実さん。何の競技に出るか決めた?」

「…………碧君の専属マネージャーがいいです」

「俺は要項読んでないから確証を持っては言えないけど、そんなものはないと思う」

「……私、運動あんまり得意じゃないから結構真面目にマネージャーみたいなポジションがいいなぁ。プレーをミスってるのとかを碧君に見られたら恥ずかしいし」

「たまに杏実さんがドジってるのもだけどそういうの可愛いと俺は思うけど」

「えっ」

「あっ」


 やばい、普段から思ってたせいでつい「可愛い」って口にしてしまった。ま、いいか。


「あ〜、俺は杏実さんのこと可愛いとは思ってるけど、恋愛感情を持ってるわけではないから安心して。俺は杏実さんの恋路を応援してるから」

「あっ、うん………ありがと」

「あと、碧はこういう行事結構好きだから距離詰めるチャンスでもあると思うよ」

「そうなんだ……碧君、何の競技に出るんだろ」

「聞いてくればいいじゃん」

「えっ」

「いけるいける、頑張れ」


 そうして杏実さんを碧の元に送り出し、それを眺める。まずい感じになったらフォローに入ろう。


「あ…碧君、球技大会何に出るか決めた?」

「ん、俺?う〜ん、バレーかな。杏実さんは?」

「私、運動あんまり得意じゃないからどうしようかなって」

「それならドッヂボールがいいんじゃない?あれなら別にボール投げるの苦手でも避けてるだけでクラスに貢献できるし」


 おっ、いいこと言うね、碧。ナイスアドバイス。


「ドッヂボール………うん、じゃあそうしようかな」

「ん、頑張って」


 嬉しそうにステップを踏みながら杏実さんがこっちに向かってくる。さっきまで「球技大会どうしよう」と不安がっていた様子とは打って変わって、今は目が輝いている。


「碧君がね!「頑張って」って言ってくれたの!だから頑張るよ、私!」

「うん、俺もドッヂボールだから一緒に頑張ろう」


 せっかくやるなら勝ちたいし、練習頑張らないとな。




 球技大会まであと2週間。

読んでいただきありがとうございました!

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