表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推しの恋路応援前線!  作者: 赤いシャチホコ
第一章『春』
11/160

9 『推し』と趣味

9話です!!

今年度もよろしくお願いします!

そして、気づけば初投稿から1か月が経ってました!たった1か月である程度のPVをいただけて嬉しい限りです!

 GW(ゴールデンウィーク)が始まった。が、先輩の大会が近い関係で、どこの部活もGW中は一年生は休みである。つまりめちゃくちゃ暇だった。

 こんなことなら友達と何かしら遊ぶ約束をしておくべきだった。仕方ない、一人で近くにある少し大きめの町に行ってみるか。誰かいるかもしれないし。


 そんなわけで電車で三駅の所にある大きめの町にやってまいりました。やはり大きめの町なだけあって高い建物が多い。

 特に何をするかも決めずに来たので、とりあえず適当にショッピングモールでも散策するか。


 そうして服屋やら、雑貨屋やらを回ってみたが、これといったものは無かった。(道中クラスの男女が二人で歩いているのを見かけたが、見なかったことにした)

 その後も適当に歩いていると、一つの店の前で足が止まった。そこはアニメやゲームのグッズなどを取り扱っている店───「アニメエト」。サッカー観戦を趣味としている俺だが、それと同時にアニメ視聴や漫画、ラノベを読むことも趣味だし、流行っている音ゲーをやったりしているので、こういった店にはつい惹かれてしまう。

 そのまま入店すると、そこには見知ったキャラクター達が所狭しと並んでいた。缶バッジやアクリルスタンドなど、様々なアイテムが置いてある。

 それらを眺めて歩いているとやっている音ゲーのグッズを置いているエリアにたどり着いた。

 そこで最初に目に入ったのはキャラクターではなく、現実世界(リアル)の一人の少女。少し小柄で、ボブにしている髪、そしてチラッと見えた横顔から一人の名前が導かれる。


「杏実さん」

そう声をかけると目の前の少女は振り向くと、驚いた様子で呟く。


「え?!佑君……?」



「それにしても驚いたな。ここで杏実さんと出会ったのもだけど、それよりも杏実さんってこういうゲームやるんだ」

「佑君こそ〜」

「友達に誘われて始めたけど、このゲームいいよね。ゲームとしてプレイしてても楽しいし、キャラクターもカッコよくて可愛いし」

「ホントそれ!!てゆーかやってるなら言ってよ〜。クラスにやってる子結構いるよ?」


 へぇ、結構いるんだ、GWが明けたらクラスの子に聞いてみよう。そう考えていると、杏実さん勢いよく声をかけられる。


「そうだ!せっかくだからゲームのID交換しようよ!」


 趣味の話ができて興奮しているのか、杏実さんがいつもよりもややテンション高めで話してくる。可愛い。(杏実さんに向ける『可愛い』はあくまでも小動物を愛でる感じの『可愛い』であり、異性としての『可愛い』とは違うと弁明しておく)

 そんなことを思いつつ、ゲームのIDを交換して、ゲームトークを続けていたのだが、「ぐ〜〜〜」という音に遮られる。

 音の出所を探すと、目の前の杏実さんが顔を赤らめて俯いていることに気づいた。もしかして……


「杏実さん、お腹鳴った?」

「はい………鳴りました……」


 ちらと腕時計を見ると、もう正午を回っていた。


「あはは、お腹空いた?もうお昼だもんね。俺は今から近くの喫茶店で昼食を取ろうと思ってるんだけど、杏実さんはどうする?」

「迷惑じゃなければご一緒してもいいですか……?」

「全然いいよ。っていうか、杏実さん、さっきから敬語になっちゃってるよ笑笑」


 と、いうわけでなんか『推し』と一緒に昼食を食べることになった。




 運がいいことに、喫茶店はお昼時にしては案外空いていて、すんなりと入ることができた。

 お互いに食べたい物を注文すると、それが届くまでは雑談をした。


「そういえばさっきのショッピングモールで磯貝君と高城さんが二人でいるの見たよ。でもあれってデートってこと……?」

「え〜、佑君知らないの?あの二人付き合ってるんだよ。なんでも、入学早々、磯貝君がももちゃんに猛アタックしたらしいよ」


 初耳だ。磯貝拓海と高城ももは付き合っている、と頭の中ににメモをしておこう。

 だが、二人が付き合っていると知らなかった俺でも二人でショッピングモールを歩いているのを見て勝手に「二人は付き合っている」と半ば確信していた。

 つまりそれは──────


「今俺と杏実さんが二人で喫茶店にいるのを見た人がいたら俺達が付き合ってるって思われるのかな?」

「!!??」

「そんなに驚かなくても笑、まあ、俺は杏実さんが碧のことを好きって知ってるから何も問題ないけどね。今のこの状況もいつか来る碧とのデートの予行演習くらいに思ってくれれば。ほら、ここにいるのは与田佑じゃなくて幾多碧ですよ〜」

「アオクン、タノンダモノナカナカコナイネ」

「碧がいるって想定しただけでwwカタコトwww」


 これは先が思いやられそうだ。そう思っていると注文した俺のカツパンと杏実さんのナポリタンが届いた。


「それじゃ、杏実さん、食べようか」

「ウン」

「まだカタコト!?治って〜〜!」



「お見苦しい所を見せました……」

とは、昼食を食べ終えてカタコト化から回復した杏実さんの発言である。


「いいよいいよ、面白かったから。ただ、碧と実際に話す時はああならないようにね」

「善処します………」


 善処か……きっと近いうちに碧の前でああなるのは間違いないだろうな。第三者の俺からしたらただ面白いだけだから問題はないが。


「じゃあ俺は帰るよ。今日は楽しかったよ、ありがとう」

 杏実さんにそう伝えると電車に乗り、特に何もないはずのGWにちょっとした思い出ができた嬉しさと共に帰路に着いた。

読んでいただきありがとうございました!


三柴杏実には、緊張したり、恥ずかしかったり、照れたりすると敬語になっちゃうという性質があります。


この作品を読んで少しでもいいなと思ってくれた方は感想やブックマーク、評価などをいただけると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ