3話 ギルド、冒険者登録
遅くなってすいません。
俺と愛莉は、ドゥーエンさんに案内され、ギルドに来ていた。
ついでなのだが、ギルドの正式名称があるらしい。ドゥーエンさんは覚えてなかったけど。
ギルドといっても、外面は他の建物と変わりはなかった。
軒下に掛かっている看板に目を向けると、〝【言語理解】発動〟と機械的な音声が流れ、看板に書いてある文字が日本語に変わった。
なるほど、こうなるのか。
スキルの便利さに感心していると、ドゥーエンさんたちは次々にギルドに入っていく。
俺たちは慌ててドゥーエンさんの後を追った。
今ドゥーエンさんたちは、カウンターでクエストの終了報告と素材の売却を行っている。
その間、俺と愛莉は空いている席に座り、今後のことについて話していた。
「まず、冒険者になるのは確定です。次に重要なのは、パーティ仲間です」
「パーティ仲間?」
俺はオウム返しに訊ねる。
「はい。仲間がいないと、高難易度のクエスト等はとても危険です。それに私たちは素人ですから、お金を払ってでもパーティを組んでもらうべきです」
確かに、一人や二人より、大勢の方が安全だろうな。
「だが、愛莉は一つ忘れているぞ」
「え? なにがですか?」
「俺たちは……一文無しだ」
そう言うと、愛莉は「あぅ……」と声を出し、縮こまる。
「忘れてました」
「さて、どうするか」
「どうしましょうか……」
そう頭を悩ませていると、ドゥーエンさんたちはやることを終えこちらに向かってきた。
……そうだ、ドゥーエンさんのパーティに入れてもらうのはどうだろうか。
「こっちは終わったぞ。それで、これからどうするんだ?」
「そうですね、冒険者に就きたいと思います。……それで、ドゥーエンさんにお願いしたいことがあるんですが」
なるべく下手に出るように、慎重に訊ねる。
「おう、なんだ」
「その、俺たちにある程度実力が付くまで、ドゥーエンさんのパーティに入れてもらえませんか?」
俺がそう言うと、愛莉はその手があったか! と言わんばかりに頷く。
「んー、俺の一存じゃ決めかねるな。──ルーヒー、マルエル、お前たちはどう思う?」
ドゥーエンさんは後ろにいた二人に訊ねる。
ルーヒーさんはローブを纏った女性で、青い瞳に、紫色の髪を腰辺りまで伸ばしている。身長は愛莉よりも大きいくらいだから、165センチ程だろうか。
その隣にいるのは、マルエルと呼ばれた男性で、プレートアーマーを身に付けている。金髪に碧眼といったヨーロッパ風の容姿で、身長は俺と変わらないくらいだから170センチ程だと思う。
二人は小声で何かを話し、そして答えを出した。
「私はいいわよ」
「僕も反対はしないかな」
よかった、一先ず二人の了承は得た。あとはドゥーエンさんだけだけど。
俺はドゥーエンさんに目を向ける。
「……分かった、としか言えねぇだろ。それじゃあまずは登録してこい」
ぶっきら棒にそう言いながら、ドゥーエンさんは俺と愛莉に一枚ずつ銀貨を渡してくる。
「ほら、登録料だ。さっさと行ってこい」
俺は「はい」と返事をして、愛莉と共にカウンターに向かった。
♡
俺は比較的人が並んでいないところに並んだ。
列はすぐに進み、ものの10分足らずで自分の番が来た。
俺は受付嬢に向き合い、声を掛ける。
「すいません、冒険者になりたいんですが」
俺はそう言いながら、銀貨2枚を渡す。
「はい、分かりました。今カードを持ってきますね」
そう言い、受付嬢はカウンターを離れる。
1分程度で戻ってくると、受付嬢はカウンターにカードを2枚並べて置く。
「こちらがギルドカードになります。カードに血を垂らしてもらえますか?」
俺は「分かりました」と答え、手渡されたナイフで指先を切り、カードに血を垂らす。
愛莉も俺に倣い、ナイフで指先を切り血を垂らす。
すると、カードが一瞬淡く光った。
光はすぐに収まり、受付嬢はカードを確認する。
「はい、登録完了です。ギルドについて説明しましね」
「お願いします」
「まず、ギルドの役目は大きく分けて『冒険者にクエストを提供する』、『素材の換金』の二つです。
次に冒険者にはランクが存在し、一番下がEランク、一番上がSランクになります」
「ランクはどうやったら上がりますか?」
「EからCまでは、クエストを一定量熟すと自動的に上がります。B以降はクエストを熟し、ギルドの昇格試験に合格すれば上がるようになっています」
ふむ、つまりはクエストを沢山熟せばいいわけか。
「お二方は登録したばかりなので、ランクはEではなくFとなります。何か一つでもクエストをクリアすれば、すぐにEランクに昇格になります」
「分かりました」
「説明は以上です。他に何か聞きたいことはありますか?」
「えっと、クエストってどんなモノがあるんですか?」
「はい。クエストはまず『一般』、『緊急』の二つがあります。一般は常に依頼が来ているクエストで、緊急は緊急事態の時に出されるクエストです。
更に『討伐系』、『採取系』、『護衛・防衛系』の三種類があります」
ふむ、クエストと一括りに言っても、沢山種類があるんだな。
「ありがとうございます。もう一ついいですか?」
「はい、構いませんよ」
「Sランクの冒険者ってどのくらいいるんでしょうか?」
「そうですね、私たちが住んでるユナイテス王国には四人います。全員が王宮直属の冒険者となっています。大陸でかんがえますと、凡そ十五人程でしょうか」
……流石にSランクは無理か。そうだよなぁ、俺みたいな凡人が最高ランクいけるわけないよなぁ。
「ありがとうございました。俺たちはこれで」
「はい」
互いにお辞儀をすると、俺たちはドゥーエンさんの元へ戻った。
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