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11話 成長

今回から第二章です。

 俺たちが異世界に来て、2ヶ月の月日が経った。

 その間には特にこれといった問題も起きず、強いてあげるなら俺がBランクに上がったことくらいだろうか。

 これって問題じゃない気がする。

 

 この2ヶ月、俺と愛莉(あいり)は着々と実力を付けていった。

 特に大きいのは、俺がスキルを複数獲得したのと、愛莉の魔法の種類が増えたことだろう。

 

 ここまで成長すれば、勿論自分たちで稼ぐこともできる。

 俺と愛莉は二人でクエストを(こな)し、異世界に来てドゥーエンさんたちに払ってもらっていた金を全て返すことができた。

 ドゥーエンさんは「別に気にすることじゃねぇ」と言っていたが、こういうことはちゃんとしておいた方がいい。

 

 ドゥーエンさんたちに返済し終えたことと、俺と愛莉だけでもある程度のクエストが熟せるようになったこともあり、今話に上がっているのはパーティについてだ。

 悪い言い方をすれば、もうドゥーエンさんたちとパーティを組む必要はない。

 だが、まだ俺たちは異世界に来て2ヶ月。まだ知らないことが多すぎるし、万が一の時二人では対処できないかもしれない。

 そういった点から、俺と愛莉の中ではパーティは続行することになっている。

 ドゥーエンさんたちの答えを聞いていないが、多分あの人たちなら快く受け入れてくれるだろう。

 

 そして今日もいつも通りにルイス外にて──

 

 

「──っはぁ……ふぅ」

 俺は対面しているドゥーエンさんから距離を取り、構えを直しながら息を整える。

 最近では打ち合いの時間は延び、質も上がってきている。

 これなら……いけるっ!

 俺は息を止めると姿勢を低くし、そして急激に加速しドゥーエンさんとの距離を詰めた。

 その速度は最初の頃の凡そ2倍。

 だが、ここまで速くなっても、ドゥーエンさんの瞳は俺を捉えている。

 

 俺は木剣(ロングソード)を、ドゥーエンさんの体目掛け振り上げる。

 ドゥーエンさんは木剣(バスターソード)の刀身で、俺の一撃をいなす。

 そして鋭くカウンターを入れてくる。

 俺は後方に跳躍し、それを(かわ)す。

 

「……トーヤ、やるようになったじゃねぇか」

 ドゥーエンさんは不敵な笑みを浮かべながら、称賛の声を掛けてくる。

「ありがとう、ございます……ふぅ」

 俺は乱れた息を整えながら、言葉を返す。

「さて、そろそろ休憩するか?」

「……いえ、まだです」

 俺がそう答えると、ドゥーエンさんはニヤリと笑う。

「いいだろう、掛かってこい」

「では、行きます……よッ!」

 俺は再び加速し、ドゥーエンさんとの距離を詰める。

 そして左から、木剣を横一閃。

 ドゥーエンさんは木剣の刀身を盾のように構え、俺の一撃を防ごうとする。

 来た。

 俺はそのまま木剣を振るい──

 

 木剣同士がぶつかる直前、俺は【身体強化】を瞬間的に発動させ、素早く木剣を右側に持ってくる。

 ここで初めて、ドゥーエンさんが驚愕の色を見せた。

 ここだ。と狙いを定め、俺は木剣を右手からドゥーエンさんの体目掛け、横一閃に薙いだ。

 俺の振るった刃は、そのまま吸い込まれるようにドゥーエンさんの体へ迫り、そして触れた。

 【身体強化】を使った全力の一撃。流石にそんなモノが体に叩き込まれたら、いくら木剣と言えどひとたまりもない。だから俺はギリギリのところで木剣を止めた。

 まぁ、少し遅くて当たっちゃったけど。

 

 ドゥーエンさんは口を開いたまま固まる。

「──ははっ、遂に一本取られたか……すごいぞトーヤ!」

 最初は乾いた笑みを浮かべていたが、ドゥーエンさんは木剣を地面に置くと、バシバシと肩を叩いてくる。

「あ、ありがとうございますっ!」

「いやぁ、成長が速いとは思ってたが、もう俺に一本入れれるくらいになったか! マルエル! 今夜は宴だぞっ!」

 ドゥーエンさんは興奮が収まらないようで、大声でマルエルさんにそう言う。

「はははっ、そうだね、今日は宴だ」

 マルエルさんも嬉しそうに笑う。

「それじゃあ、明日は僕に一本入れてくれるのかな?」

 続き、マルエルさんは不敵な笑みを浮かべ、そう尋ねてくる。

 多分、まだマルエルさんに一本入れるのは無理だろうが、俺はフッと笑い答える。

「勿論ですよ」

 

 それから今日の訓練は終了し、全員でルイスに戻った。

 

 

 ♡

 

 

 料亭に行く前に、俺はドゥーエンさんに断りを入れて、愛莉と共に宿に戻った。

 ミュウちゃんと少し会話をして、部屋に向かう。

 

 二人並んでベッドに腰掛け、1週間振りに俺たちはステータスを表示させる。

「「ステータス」」

 そう唱えると、ブォン、と機械音が脳内に響き、半透明の板が現れた。

 

名前:柳沢(やなぎざわ)統弥(とうや) Lv15

種族:人族 性別:男 年齢:18歳 

職業:無し

HP:150 MP:80 体力:400 筋力:70 俊敏:80 

運:10

スキル:【成長補正】【駆術】【体術】【剣術】【身体強化】【鑑定】【危機察知】【直感】【努力】【言語理解】

称号:【異世界人】【冒険者】

 

名前:柳沢愛莉 Lv14

種族:人族 性別:女 年齢:16歳

職業:無し

HP:140 MP:200 体力:280 筋力:40 俊敏:70

運:10

スキル:【成長補正】【適応】【並列思考】【魔力操作】【初級魔法】【高速詠唱】【詠唱省略】【MP回復速度上昇】【言語理解】

称号:【異世界人】【冒険者】

 

「──いやぁ、強くなったなぁ」

「そうですね」

 俺の呟きに、愛莉が同調する。

「お兄様、最初はチートなんてなかったのに、今では立派なチートっぷりですね」

「そうなのか?」

「はい。だってスキル数が多すぎますから」

 愛莉も結構多いけどな。と俺は苦笑する。

「さて、特に目新しいモンはないし、そろそろドゥーエンさんたちのところに戻るぞ」

「はい」

 俺と愛莉はステータスを閉じ、ベッドから立ち上がる。

 

 宿を出ると、突然愛莉が腕を絡めてきた。

「愛莉?」

「着くまででいいですから、こうさせてください」

「……まぁ、いいけど」

 そう返すと、愛莉は嬉しそうに「えへへっ♪」と笑った。

 異世界に来て歯止めが無くなったからなのか、愛莉が可愛すぎてヤバかった。

 まぁ、口にはしないけど。だってそうしたら愛莉、調子に乗りそうだし。

 と照れ隠しをする。

 

 俺は、上機嫌な愛莉と共に、ドゥーエンさんたちの待つ料亭に向かった。

この作品を読んで頂きありがとうございます!

誤字脱字、改善点等がございましたら容赦なく教えてください!

この作品を読んで頂いた読者様に最大の感謝を

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