村人さん、休日を堪能する
とりあえずここまで。
続きは暇なときに書く予定。
てか、他の書かないといつまでたっても完結しない……
土曜日のある日の出来事。
ログアウトして休憩中の俺の部屋に元気な妹がやってくる。
「お兄ちゃん!勉強教えて!」
「こんにちは、勉強ですか?それでは道具を持ってこちらにお座りください」
「……………お兄ちゃんが壊れたぁぁぁぁぁ!!!」
ゲームを2週間しただけで、現実とゲームが区別できなくなってしまった。
このあと?当然病院に連れてかれたよ。
そのおかげで自分を取り戻せたけど。
あの仕事ヤバいな……中毒性というか、依存性というか……とにかくヤバい。
だからと言って、今更別の仕事なんてしたくない……今の仕事に、誇りを持ってますから(キリッ
病院から帰ってきた日曜日。
ゲーム開始15日目のログインをしようとしたら、妹二人に妨害された。
「やらせはせん、やらせはせんぞぉぉぉ!!」
「残念だけどこれ、戦争なのよね」
俺含めて妹二人はオタクである。
こんなことを言われたら、当然暴走する。
「押し通る!!」
「「アシ○カ?」」
「言われると恥ずかしいからやめて!?」
人の部屋で暴れる妹二人を捕えて両脇に抱える。
「ほれほれ、暴れるな。てか何故俺の邪魔をする?」
「……お兄ちゃんゲームした後NPCみたいなんだもん」
「私達は今みたいなお兄ちゃんがいい」
そこまで酷いか!?
ゲーム機器を見る。
……これもしかして、壊れてるから副作用でるのか?
まずい……まずいぞ!
俺はVRをヤリたい!
しかし、やればやるほど自分を見失っていく。
どうすれば!?
「というかお兄ちゃん、《エレメンタル・ブレイド》始めてるなら言ってよ!一緒に冒険しようよ!」
「私も一緒にやりたい!職業何?」
正直に言うべきか、見栄を張るべきか……うん、嘘はよくないな。
正直に言おう、お兄ちゃんは役立たずですと。
「俺は、村人さんだ」
「「……え?」」
「俺は、村人さんだ」
「「……」」
「俺は―――」
「「わかったから戻って!?」」
ハッ!?俺はいったい……
「やっぱり、VRやめた方がいいよ……お兄ちゃんと冒険したかったけど、現実の方が大切だよ」
「何時ものお兄ちゃんじゃなきゃヤダよ……」
え?なんでゲームやるかやらないかで妹泣いてんの?
これ俺がおかしいのか?
俺が原因なのか!?
別にネット小説みたいなデスゲームとかじゃないじゃん!?
俺はゲームがしたいだけなんだよ!?
「落ち着けって……俺は大丈夫だから、な?もっと安心できるように言うなら……大丈夫だ、問題無い」
「「嘘だぁ!!」」
「どうして信じてくれないんだよ!!信じてくれよぉ!!」
妹二人とじゃれてると自分が自分らしくある気がする。
そういえば俺、最近二人と遊んでやってないな。
学校とかあるし、少し前までバイト三昧で家に居なかったしな。
バイトはやめたし、もうちょっと遊んでやらないとな。
「よし、今日はこのまま遊ぶか」
「「ホント!?」」
「おう、何して遊ぶ?」
「運動したい!」
「王様ゲーム」
「その二つが並ぶととてもいかがわしくなるので却下で」
「「えぇ~」」
二人は純真だからそういう発想にならないけどね、俺はいい歳の男だよ?
ゲームではどっちかわからないけど、現実では男だよ?
運動と王様ゲームが並んだら、ねぇ?
てか、兄妹でやることじゃないだろ、王様ゲーム。
「ゲーム内でなんかするか?いつもやってることはやらないから、あの状態にはならないと思うぞ」
「ん~まあ、それなら……」
「じゃあ準備するから、始まりの町の広場で!」
「始まりの町じゃなくてエミルの町な」
町の名前、ここ大事なとこ。
というわけでゲームにログインして町の広場に向かう。
この町の広場と言ったら、西の商業区である。
NPCが、プレイヤーが露店を開いている。
今日は住人の指輪は外してある。
服もNPCプレイ時に来ているワンピースっぽいものではなく、初期装備の男装備だ。
ちなみにワンピースっぽいものは、NPCプレイ開始3日目ぐらいに図書館の筋肉さんが作ってくれた。
性能は初期装備と一緒だ。
それはさておき、広場の噴水に腰掛けて妹二人が来るのを待つ。
あの二人はどこまで進んだんだろうか?
俺の仕入れた情報では次の町にはまだいってないらしい。
次の町に行くためにボスを倒さなければいけないんだけど、それがまだ討伐できてないらしい。
しかし、遅いな……アビリティーでもとろうかな。
ここで説明しよう!
アビリティーの取り方には二つある。
一つは自然に覚える方法だ。
これは職業によって自動取得されるものもふくまれる。
だが、この方法だとあまり効率が良くないのだ。
例えば、剣を振っていれば剣術というアビリティーが手に入ることがある。
しかし、どれだけ詠唱しようと魔法のアビリティーが手に入ることはない。
身体を使って覚えられるアビリティーなら手に入れられるが、それ以外は不可能ということだ。
そして二つ目はアビリティーポイントを使って覚える方法だ。
このポイントはレベルアップ時に1~3ポイント手に入る。
この方法だと基本的なものは取れるが、特殊なものは取れない。
基本の剣術や魔法などは取れるが、テイマー必須の調教などは取れないのだ。
基本的に消費ポイントは1だが、2や3ポイント消費するアビリティーもある。
ちなみに、自動取得だとポイントは勝手に消費される。
あと、この方法は俺がやっていないステータス設定で出来ることだ。
俺はやっていないが。
ここからが重要なことだが、プレイヤー達はアビリティーポイントはステータス設定の時だけのものだと思っているらしい。
ステータスのアビリティー表示を5秒ほど長押しするとこの方法がとれるのだ。
運営の嫌がらせにしか感じない。
で、俺の残りアビリティーポイントは1である。
ホントは5あるはずだった。
しかし、自然獲得してしまったのだ。
手に入ったアビリティーはこの通り。
無力…1レベルでも上の相手にダメージを与えられない代わりに、ユニークモンスター遭遇率上昇。
病弱…ステータスの上昇率が低下するが、NPCからの友好度が上昇する。
恩返し…他者に何かしたとき全ての効果が倍になる。
読書…本を読むのが早くなり、一度読んだ本の内容をいつでも思い出せる。
全部ユニークスキルなうえにパッシブですね、全然嬉しくありません!
恩返しは良いよ、読書もネタスキルとして納得だよ。
だが無力と病弱、お前らはダメだ。
あと、このゲームレベル非表示だからレベル差とかわかんねぇよ。
まあ、戦闘とかもう諦めてるかいいけどね?
良いけどね?別に気にしてないし……マジ、気にしてねぇから。
と、とりあえず、新しいアビリティーとるか。
何にするか……戦闘以外のアビリティーがいいな。
これにするか。
歌唱…歌を歌うことで味方のステータス上昇、敵のステータス低下。ただし、自身には影響なし。
取ってから思った……俺、歌そんなにうまくなくね?
学校の音楽の先生からは、毎回一人で歌いなさいと言われている俺だぞ?
俺が歌うと皆歌わなくなるから、そのせいだと思う。
皆は気を使って良い声だとか言ってくれるけど、俺は信じない!
……まあいいや、歌うか。
歌う曲の種類によってどのステータスが上がる変わるんだよね。
ロックなら筋力が、バラードなら魔力がみたいな。
せっかくだし、このゲームの主題歌でも歌うか。
歌詞を思い出そうとしていると声をかけられた。
「あ、あの……間違ってたらすいませんけど、お兄ちゃん?」
二人組の剣士と魔法使いのコンビだ。
その顔は毎日見る顔である。
髪と瞳は黒じゃなくて銀髪金髪と蒼眼赤眼だ。
銀髪蒼眼がクールぶってる妹魔法使いで、金髪赤眼が元気な方の妹剣士だ。
現実同様、胸も身長もない。
「うむ、私こそがお前達の兄だ」
「えぇ……」
「どうみてもお姉ちゃんです、ありがとうございました」
ちっさ可愛い二人の我が妹が俺のことを見て困惑中である。
にしても目立ってるな俺達。
妹二人は兄フィルターの贔屓目無しでも美少女だしな。
そして俺は贔屓目無しで美人だ。
……ゲセヌ。
「とりあえず、フレンド登録しておくか」
「「うい!」」
なんだかんだで順応性が高いから、一緒にいるのに違和感がないようだ。
何時ものように返事をする二人を撫でながらフレンド登録する。
そしたら称号が手に入った。
……orz
と、友達ぐらいいるわ!?…初ログインからログイン時間で10日以上フレンド登録をしたことが無かった者の証。NPCの優しさアップ。
自分の意味不明なプレイの仕方に、痛恨の一撃を喰らった気分である。
だが、もう後戻りなどできないのだよ。
「じゃあ、どっか行くか?」
「「賛成!」」
折角の日曜日だし、久しぶりに真面目に遊ぶか!
テンションを上げようとした俺に、ゲームは釘を刺すのを忘れなかった。
リア充…リアルが充実しているクソ野郎。成長率激減。異性プレイヤーとパーティーを組むとLUK低下。
……とりあえず言っておくか。
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?




