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ミサさんと僕~猫、うみへいく  作者: 瑞月風花


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7/7

猫、夢をみる

 沈む太陽が全部溶けて、赤い色だけになった空の頃。

 ヤドカリノホームズにさようならして、僕はミサさんのお家に戻った。最初に飛び出た時と同じ場所。ミサさんが屈まないと出られないくらいの扉は、僕が戻ってくるのを待っていたかのようにして開く。

 僕も当たり前のように、その扉をくぐる。

 ミサさんのお家は、いつもそう。


 ただいまぁ。

 たくさんのことを新しく覚えた僕の声は、自然と弾む。

 ミサさんの声はいつも通りで、つまらなそうな短い言葉で。だけど、ちゃんと僕を迎える。

「あぁ」

 ミサさんはいつも通り手紙を書いている。

 誰に書いているのかと聞くと『客』と言っていたもの。


 あのね、ミサさん


 『客』さんへの手紙から目を離すことのないミサさんもいつも通り。だから、僕もいつも通り話し始める。


 あのね、ミサさん

 今日はね、海を知ったの。

 海ってね、すっごい大きな水たまりでね、きらきらしててずっと音が鳴ってるの。

 あと、海にある砂は、パクって僕の足を必ず食べる。痛くないけどね。

 それと、海の中には鬼に捕まった魚がいてね、僕が助けてあげたら「ありがとう」って言ってくれた。


 それからね、大きな鳥のペリカンの口にあった針を取ってあげた。

 ヤドカリノホームズがね、大切にしていた古いお家をくれたんだ。宝物にする。

 そうだ。太陽って夕方になると海に溶けちゃうんだよ。


 僕のお話はたぶん『にゃあ』としか届いていない。

 だけど、ミサさんだからずっとおしゃべりができる。

 たくさん「ありがとう」も言ってもらったよ。役に立ったんだ、僕。

ねぇ、ミサさん、僕人間になれるかな?


「なんども言わせるな。わたしゃ、忙しいんだよ」

 ずっと僕を見ないミサさんは、そんなことを言ったけれど、僕はもう半分夢の中だった。

 全部いつも通りで、何も変わらない。


 だけど、僕が見た夢はいつもとちょっと違っていた。

 僕が、人間のお母さんのお手伝いをして、お母さんがにっこり笑ってくれる夢。


 だから、僕は人間になるために、頑張らなくちゃならないんだ。

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↓楠木結衣さま作成(折原琴子の詩シリーズに飛びます)↓
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― 新着の感想 ―
最初は「猫ちゃんかわいいなあ!」と思って読んでいました。 最後までかわいいが止まりませんでした。 ふわふわしてるけど、自分で決めた夢につねにまっすぐなところ。 こまっている相手がいたら、すなおに手を差…
猫くんの冒険にドキドキして、海の情景など堪能していたら、あっという間にラストに辿り着きました! いろんな場所に行ける猫くん、とても羨ましいです。海を最初に見て感じたら、こんな風だろうなあという感触が伝…
ラストまで読ませていただきました。人間になりたいと願い、ミサさんに一生懸命に話しかける主人公が、開いた扉から踏み出す大冒険と出会いの数々が、とても心に残りました。 「お母さん」の笑顔を見るために、そ…
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