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TS爺、百合エロゲ―の世界のダンジョンに挑む  作者: 蒼井茜


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睡眠の重要性!

 魔法の授業は出席するが、しばらく月神の邸宅から登校する事になった。

 いや、ダンジョンに一カ月潜ったことがバレて半分軟禁状態になったというべきか……。

 ともかくしばらくダンジョンは禁止にされた。


「で、暇だからこんな注文を?」


「できるだろ?」


「できるけど……」


 蓮野に渡した依頼書、まぁ私の戦力強化だな。

 今回は糸の種類を増やして、ついでに毒物を作れるように錬金術師の師を探してもらうという算段だ。

 忍術に統合されても錬金術のスキルはまだ生きているようなので、せっかくだから色々覚えたいなと思った次第。

 そんな私は今空中で手を使わず複数の紐を操ってあやとりをしている。


「結構な量ね……それに錬金術師かぁ……」


「問題でもあるのか」


「いえ、うちにもお抱えはいるわよ。ただみんな本業が忙しくて誰かを教えてる暇がないというか……」


「毒殺ってそんなに人気なのか」


「いや、錬金術の本業は薬の調合だから」


 そういえばそうだった。

 イージスで守りながら戦ってたから回復とか考えてなかったが、思えば耐空間属性の毒ガスとか使われた場合も考えて万能解毒薬も作りたいな。

 あの媚薬ガスだってうまくすれば無効化できてたかもしれないし。


「それで、このアラクネの糸とかはそのスキルに?」


「半分正解だな。制服に縫い込んで少しでも防御力上げようと思ってる」


 防具として衣類はもちろん、鎧すら役に立たない世界。

 魔法のアクセサリーで防御力を上げるのが基本なのだが、そもそもダンジョンに潜るたびに衣類がダメになるのはいただけない。

 恥じらいを覚えたというわけじゃないが……というかそんなもん前世で母親の胎内に置いてきたが、制服の値段を見て顔が引きつったね。

 使い捨てにするもんじゃないわこれ。

 子供の成長を見越してでかく作るだけあるわ。


「あとは鉄線だの、金属糸だの、まぁよく見つけてくるわね」


「操糸のスキルはレアだけどそれなりにいるだろ。だから揃えられると思っての事だ」


「あとは裁縫と料理を学びたいと……花嫁修業?」


「どっちもダンジョンで必要な物だぞ。飯が不味くてテンション下がりまくりながらのアタックだったからな……火を使わなくても作れる食事があるといいなと思っている。裁縫は制服を改造したいから」


「改造ってなにするの?」


「こう、袖口から糸を出せるようにしたり、ポケットを増やしたり」


 女子制服、特にスカートは結構その辺仕込めそうでな。

 隠しポケットとか使って色々悪さができそうだ。

 ついでに錬金術で作った煙玉とかそういうのをカーテシーの要領でスカート持ち上げた時に床にばらまいて、敵を攪乱したりもできそうだからな。

 昔どっかでメイドがやってるの見た。


「ならついでに魔法の先生も付ける? 学校の授業だけじゃ足りない部分を補えるわよ」


「そうだな……確かに足並み揃えてってのは効率が悪いし頼む」


「魔術はどうする? 術式とか覚えると結構便利よ。こんな事もできるし」


 そう言って蓮野はファイヤーボールを複数展開して、その場でお手玉を始めた。


「あいにく魔法系スキルは忍術に統合されるみたいでな。魔力を使うスキルという扱いになっている。おかげで魔術は愛称が悪いんだ」


 火遁とか、一応術式組めば形を変えることはできるんだけど一番威力が出るのは魔力垂れ流しなんだよな。

 そりゃ微調整効く方がいいけど……いや、でも一撃で殺せるなら多少威力が落ちても同じか?


「まぁ覚えておいて損は無いな。頼んだ。それから武術もな」


「はいはい。忍術に統合できそうな武器術の講師を捜しておくわ」


 こうして蓮野への頼み事は終わった。

 ……終わったのはいいのだが、これから地獄が待ち受けているんだよなぁ。

 義両親が集めたという衣装で私の着せ替えショー。

 その後会食と、近況報告、そしてお説教。

 あー、寝ていたい……。

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