表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
TS爺、百合エロゲ―の世界のダンジョンに挑む  作者: 蒼井茜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/54

ラスボスだけど前座

 うむ、新しい戦い方を思いついてからいくつもアイデアが出てきた。

 やはり戦場は素晴らしい……身体は闘争を求めるものだ。

 戦いこそ人間の本分、戦うための形をしているのだと認識させられる。


 それはそれとして、ダンジョン攻略も徐々に楽になってきた。

 糸を使ったイージスの新しい使い方も徐々に増えてきた。

 例えば前方に展開した糸に膜を張るようにイージスを展開すれば普通に使うよりも魔力消費が押さえられる。

 何もない空間にポンと出すよりイメージしやすいのが理由なんじゃないかな。

 逆に相手の足元とかにしかけて罠のようにして、引っ張って細切れにするのも可能だ。

 室内戦闘じゃまず負ける気がしなくなってきたが、所詮まだゲーム開始前である。

 開始後になるとね、みんな耐空間属性攻撃とか防御とか普通にやってくるから……じゃないと命というキャラがぶっ壊れになってしまう。

 まぁそれはそれ、対策も考えてあるから問題ない。


 実際ダンジョンのモンスター相手ならこれだけでほぼ無双できてしまう。

 もちろん命、つまり私にとって相性が死ぬほど悪いダンジョンもあるわけだが、そういう所に私が欲しているアイテムやスキルなんかは存在しないのでスルー対象と言っていい。


 今回のダンジョンを決めた理由はそこで、私に必要なスキルが得られるというのもあった。

 その名も魔力強化、文字通り魔力に関する物全般を強化してしまうぶっ壊れスキルなのだが、敵性を持っているのは私と主人公だけ。

 つーか主人公が本当にチートなんで、あれは全てのスキルを取得できるという特性を持っている。


 その名を阿頼耶識、全てのスキル習得可能に加えて、私達が使っている技を伝授すればユニークスキルのイージスすら再現可能である。

 まぁその辺はキャラとの信愛度やストーリー進行によるんだが、要するにエロスチルを取得すると大体スキルもおまけでついてくるよくらいの物だった。


 なので主人公よ、悪いがイージスと忍術のスキル取得は諦めてくれ。

 こう、粘膜の接触で云々かんぬんしてアカシックレコード接続してなんちゃらという設定だったはずだから、あれ。


 結婚願望というか、男女問わずそういう相手を探すつもりがない私にとって肉体接触は少々ハードルが高い。

 嫌というわけではないが、進んでやるつもりもないし、なにより命のエロスチルって大半が酷い目に合っているからね……。

 あいにく性癖としてマゾではないのでお断りさせていただこう。


 まぁそもそも私のルートに入るかどうかで言えば難しいだろうから問題ないけどな!


 っと、そろそろラスボスの部屋だ。

 糸の使い方を理解して、ペンデュラムにしてからここまでサクサクとこれた。

 ポルターガイストとか相手にならず、張り巡らせた糸に勝手に引っかかって消滅していったからな。

 道中で手に入れたアイテムもなかなかの粒ぞろいでうはうはよ。


 まぁサクサクと言っても無理のない範疇でのんびり進んでいたからなんだかんだで3週間くらい経ってるが、塹壕に籠ってる時よりよっぽど気分が楽だ。

 たまにそういうシーンが浮かんでくるが……どれもこれも地獄だったなぁ。

 塹壕に籠って何カ月とか、爆弾降り注ぐ中船の中に押し込まれて何週間とか、輸送機の中で身じろぎひとつできずに数日。

 それから復興期に反社会的な仕事をしていた時は下水に隠れて半年くらい過ごした記憶も出てきた。

 ただどれもこれも、人の顔には靄がかかっていて判別できないし、声はノイズだらけで自分の名前も思い出せないんだがな。


「さて、気合入れていくか」


 ラスボスを前にして気力は充実、しっかりBLTサンドを食べて珈琲を飲み、食後の昼寝を楽しんでからトイレを済ましてここにいる。

 心身ともに元気満々である。


「お邪魔するぞ」


 ドアを押し開けると、中には首のない鎧甲冑が馬にまたがっていた。

 私を見るなり剣を掲げて、盾を構え、そして馬が走り出す。

 その馬にも首がないので弱点を探る必要があるのだが……。


「ご苦労さん」


 ビンっ、と糸に引っかかった馬がこけて騎士が放り出される。

 こいつは耐空間属性防御を持っているからイージスだけで倒し切るのは難しい。

 パッシブ、つまり常に発動している効果だからな。

 ただそれだけなので物理で殴ればいいのだ。


 まず騎士は無視して馬に近づき、本人が防御可能でも糸の頑強製は跳ね上がっているため身動きが取れなくなっているそいつの心臓目がけてナイフを振り下ろす。

 サクッと、まるで雪だるまにでも突き立てたような感触が手に伝わると同時に馬が暴れだしたが、ナイフの先端からイージスを伸ばす。


 防御を持っていたとしても体内までは護れないかもしれない、そう思っての実験だったが成功したようだ。

 骨と肉を割いて地面に縫い付ける事に成功した。


 その間に動き出した騎士だが、鎧甲冑が邪魔だ。

 なので隙間に糸を仕込ませていき、首の切断面から体内に侵入させて大暴れさせる。

 一瞬で筋線維も骨も肉も内側からズタズタにされた騎士は崩れ落ち、そのまま灰になった。

 続けざまに馬もその姿を消していく。


 ふむ、案外あっけないものだが……これで目的のスキルも手に入るだろう。


 そう思い部屋の中央に現れた宝箱に触れると同時に、足元が光りだした。

 ……そうだ、そのスキル取得にエロトラップダンジョンクリアしないといけないの、忘れてた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ