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<書籍、電子書籍発売中・コミカライズ連載中> ただ静かに消え去るつもりでした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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11 昼休みの会話

 昼休み――



誰もいない自分の二階にある教室。


私は外の景色を眺めながら、ヴィオラが戻って来るのを待っていた。

彼女は足を怪我した私を気遣って、ランチボックスを買いに行ってくれている。


「いいお天気ね……」


窓からは私とイザークが世話をした園庭の花壇の花が美しく咲いている様子が見える。


「花壇のお花も綺麗に咲いてるわね……え?」


そのとき、私は目にしてしまった。それはセブランとフィオナが花壇の前を歩いている姿だった。二人は楽し気に笑いあっている。


「また……二人は一緒なのね……」


ズキリと痛む胸を抑えながら、私はため息をついたとき……


「お待たせ~レティ」


教室に元気なヴィオラの声が響き渡った。


「お帰りなさい、ヴィオラ」


振り向きながら声を掛け……私は目を見開いた。なんとヴィオラがイザークと一緒に教室に現れたからだ。

彼も手にランチボックスを持っている。


「どうしたの? ヴィオラ……イザークと一緒に戻って来るなんて」


「違うわよ、偶然さっきそこで会ったのよ」


ヴィオラに続き、イザークが相変わらず無表情で答える。


「今日はランチボックスを買って教室で食べるつもりだったんだ。そうしたら帰りに偶然ヴィオラに会っただけだ」


「そうだったのね」


ヴィオラは私の元へやって来ると尋ねた。


「レティ、随分熱心に窓の外を眺めていたけど何かあったの?」


好奇心旺盛なヴィオラが窓の外を眺め……途端に眉を潜めた。


「何、あれ……セブランとフィオナじゃないの」


「何だって?」


ヴィオラの言葉にイザークも窓の側に近付き、外を眺めた。


「あいつ…‥‥何だってあの転校生に構うんだ?」


そして私を見る。何故かその目で見られると責められているように感じてしまう。


「それは私がセブランに頼んだからよ。フィオナの面倒を見てあげてと。だから彼は言う通りにしてくれているのよ」


「そうだったのか? だが、何故そんなことを君が頼む?」


すると、そこへヴィオラが割って入って来た。


「よしなさいよ、イザーク。レティはお父さんに頼まれたのでしょう? そうよね?」


「え、ええ。そうなの。本当はフィオナを私のクラスに転入させたかったみたいなの。だけどセブランのクラスに入って来たから、私の代わりにフィオナの世話を見てもらうようにそれとなく言われたの」


「ふ~ん……そうか」


まだ、何処か納得いかなそうなイザーク。


「そんなことよりも、昼休み終わる前に食事にしましょうよ」


ヴィオラが私に声を掛けてきた。


「ええ。そうね……」


その時、私を見つめるイザークと視線が合う。


「イザーク……もしよければ私達とお昼一緒に食べる?」


面倒ごとが嫌いな彼のことだ。きっと断るだろうと思っていたのだが‥…


「そうだな。そうするか」


驚くべきことに私の誘いに頷くイザーク。そして再び私達三人は一緒に机を寄せ合って食事することになった――




**



「ええっ!? う、嘘でしょう!? セブランの両親が今夜お見舞いに来るのに、義母とフィオナが同席するですって!?」


サンドイッチを口に入れようとしていたヴィオラが目を見張る。


「ええ……成り行きでそうなってしまったの」


するとイザークがため息をつく。


「セブランの奴……本当に考えなしだな。お前の家でそんな話をすれば、二人に知られることは無かったはずじゃないか?」


「そうなのだけど……セブランに悪気は無かったと思うのよ」


だって、彼は私がイメルダ夫人とフィオナを苦手に思っていることを知らないのだから。


「でもそれにしても無神経すぎるわ。……あんな親子出て行ってくれればいいのに」


怒りながらサンドイッチを口にするヴィオラ。

けれど、多分二人は出て行くことは無いだろう。あの家にいる限り私はきっと夫人からもフィオナからも逃げられない。そんな気がしてならなかった。


つい暗い気持ちになりがちになってしまったので、話題を変える為にイザークに話しかけた。


「ねぇ、イザーク。昨日、私は貴方に沢山迷惑を掛けてしまったから何かお礼したいのだけど……」


「お礼? 別にそんなものはいらない」


何か気に障ったのか、ジロリとイザークは睨みつけて来る。


「で、でも……それでは私の気が……」


「だったら、これからも美化委員の仕事頑張ってくれればそれでいい」


「そ、そう? 分かったわ」


そんな私たちの様子をヴィオラは意味深な目でみつめていた。




****


放課後――



授業が終わり、帰り支度をしているとヴィオラが声を掛けてきた。


「……後数時間で、セブランの両親がフィオナ達に会うのね?」


「ええ、そうね」


「あんな礼儀知らずの親子、セブランの両親から嫌気をさされてしまえばいいのに」


時々、ヴィオラは凄い発言をしてくる。


「どうかしら……」



そこまで話したとき――


「レティ! 迎えに来たよ!」


教室の外にセブランとフィオナの姿がある。


「あ、迎えに来たわ。それじゃまた明日ね」


椅子に立てかけてある松葉杖を取ると、ヴィオラに声を掛けた。


「ええ、また明日ね。レティ」


私はヴィオラに見送られながら、セブランとフィオナの元へ松葉杖をつきながら向かった。




この後、帰宅後に驚くべきものが私を待ち構えていたことも知らずに――

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