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<書籍、電子書籍発売中・コミカライズ連載中> ただ静かに消え去るつもりでした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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11 突然の訪問

「どうしよう……」


ヘレンさんの店を後にした私は自転車の前でため息を付いた。本当はこのまま真っ直ぐ自宅に帰るつもりだった。

けれども、カサンドラさんからあんな話を聞かされては……。


祖父母とレオナルドの悲しげな顔が脳裏に浮かぶ。

グレンジャー家の人たちには、恩義がある。こんなに良くして貰っているのに……私は自分の気持ちを優先して良いのだろうか?


「逃げていては駄目よね……今日はグレンジャー家に行きましょう」


自転車に乗ると、グレンジャー家に向かってこぎ出した――




****


「……来てしまったわ。連絡もしていないのに……」


グレンジャー家の屋敷の前に到着し、屋敷を見上げた。


「いきなり訪ねてしまったけれど……」


扉の前で躊躇していると突然扉が開かれ、レオナルドが現れた。


「レティ!」


「え!? キャアッ! レ、レオナルド様」


「あ……すまない。驚かせてしまったようだな……」


レオナルドが申し訳無さそうに謝ってきた。


「い、いえ。大丈夫ですが……どうして私が来たことが分かったのですか?」


「いや。何気なく外を眺めていたらレティの自転車が向かってくるのが見えたから慌てて出迎えに来たんだ。だけど……来てくれたんだな? アルバイトで忙しいはずなのに……ありがとう」


そして、笑顔でそっと私の頭を撫でてきた。


「レオナルド様……」


そんな姿を見ていると、今まで彼を避けてきたことに罪悪感を抱いてしまう。


「申し訳ございません。……お祖父様とお祖母様に挨拶に伺っても宜しいでしょうか?」


「勿論だ。あ、その前に……」


レオナルドは外に出てくると手招きした。


「レティ、実は自転車を入れられる倉庫を用意したんだ」


「え? そうなのですか?」


「ああ。ついてくるといい」


「はい」


レオナルドと一緒に屋敷の裏手に回ると、中庭に白壁に青い屋根の小さな倉庫が建っていた。

自転車を1台入れるのに、丁度良い大きさだった。


「これは……」


「どうだ? 気に入ってくれたか?」


背後でレオナルドが声をかけてくる。


「はい、とても気に入りました。まさか私の自転車を入れる為だけにわざわざ用意して下さったのですか?」


「勿論そうだ。皆で話し合って決めたんだ」


「そうだったのですね……ありがとうございます」


「お礼を言うことはないさ。家族なんだから」


笑顔で答えるレオナルド。


「家族……そうですね。ではしまってきます」


するとレオナルドが自転車のハンドルを握ってきた。


「俺がしまっておくよ。レティは先に屋敷に入っているといい。丁度祖父母はリビングにいるから」


「はい、分かりました。それではお願いしますね」


レオナルドに自転車をお願いすると、私は屋敷へ足を向けた。



****


「レティ! よく来てくれたな」


「良かったわ。入学式以来会えなかったから心配していたのよ?」


お祖母様が私を抱きしめてきた。


「……すみません。新生活で色々と忙しかったので」


祖母の背中に腕を回し、顔を埋めた。……どうしても本当のことは話せなかった。

レオナルドとの婚約の話を勧められて、気まずかったからだとは。


「今夜は泊まっていってくれるのだろう?」


「レティ。いいわよね?」


期待する目で見つめられると、断るわけにはいかなかった。大丈夫、今夜1晩泊まるだけなら……それに明日もアルバイトが入っているのだから長居する必要もない。


「はい、ではお言葉に甘えて、泊まらせていただきます」


私は笑みを浮かべて返事をした――






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― 新着の感想 ―
[一言] レオナルドが出てきた頃はレオナルドとくっつくのだと思っていたけど、シオンのことが好きなのですね。うまくいかないものだ・・・。 シオンはレティシアのことを好きなのか。恋愛感情がないのか、それと…
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