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<書籍、電子書籍発売中・コミカライズ連載中> ただ静かに消え去るつもりでした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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18 浮き立つ心

 ――午前10時


 レオナルドと食事をしたあの日から6日間が経過していた。


その間にも一度だけ、ハーブ菜園に水やりだけをしに行ったものの、未だにシオンさんはアネモネ島に戻ってくる気配は無い。

彼の姿が無いことに物足りなさを感じながら、本日もハーブ菜園に向かう為に外出準備をしていた。

その後はヘレンさんに頼まれたハンカチを持ってお店に寄るつもりだ。


「シオンさん……いつになったら島に戻ってくるのかしら。もうすぐ大学が始まるのに……」


ハンカチをショルダーバッグに入れ、ため息をついたその時。


――コンコン


扉をノックする音が室内に響き渡った。きっとレオナルドだろう。私が今日ハーブ菜園に行くことを彼は知っているからだ。


「ひょっとして迎えに来てくれたのかしら?」


そこで私はドアアイで外を確認することなく扉を開け……目を見開いた。何と、そこにはシオンさんが立っていたからだ。


「え……? シオン……さん?」


「おはよう、レティシア。……2週間ぶりくらいかな? 変わりは無かったかい?」


優しく笑うシオンさん。その笑顔に何故か胸が高鳴る。


「は、はい……変わりはありませんでした」


思わず俯く。

そう、何も変わりは無いはずなのに……久しぶりに会えて嬉しいはずなのに、何故かまともにシオンさんの顔を見ることが出来ない。


「レティシア? どうかしたのかい?」


「い、いえ。あ、あの……突然だったので、驚いてしまって……よく私の家を御存知でしたね?」


上目遣いにシオンさんを見つめる。


「それはね、レオナルドに教えてもらったからだよ」


「え? レオナルド様に?」


「実は予定よりも早く、こちらに戻ってくることが出来たんだ。それで今朝8時半に港に到着したんだよ。その足でレオナルドを訪ねたら、丁度今日レティシアがハーブ菜園の世話をしに大学へ行くから、一緒に行ってあげてくれと言われてね。だから誘いに来たんだよ。あの管理者は俺だしね」


「そうだったのですね? それではレオナルド様は…‥?」


見たところ、レオナルドの姿は何処にも無い。


「レオナルドだけど、今日は仕事が溜まっていて手伝いには行けないらしい。だから島に戻って来たばかりで悪いけどレティシアに付き合って欲しいとも言ってたな」


「そうだったのですか……」


やっぱりレオナルドは忙しかったのだ。

それなのに、この間私の為に何時間も付き合わせてしまったなんて……。


「どうかしたのか? レオナルドのことが気になるのかい?」


「……そんなにレオナルド様は、お忙しい方なのでしょうか?」


「う~ん。そうだな……確かに忙しいかもしれないけれど、彼は優秀だからな。時間の配分位は出来るだろう」


「フフッ」


その言葉に、思わず笑ってしまった。


「レティシア? どうかしたのかい?」


「い、いえ。レオナルド様もシオンさんと似たようなことを仰っていたので」


「俺と……?」


不思議そうに首を傾げるシオンさん。


「はい、そうです。でも、本当にお2人は仲が良いのですね」


「うん。確かに一番気が会う友人かもしれない。それで、これから大学へ行くけどレティシアの準備は……?」


「はい、後は玄関の戸締りだけですからいつでも出られます」


笑顔で頷いた。久しぶりにシオンさんとハーブのお世話ができる。


それだけで、私は自分の心が浮き立つような気がした――


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