24 セブラン 1
レティはとても気の毒な少女だった。
おじさんはとても厳しい人だったし、おばさんは綺麗な人だったけれども病気で会話も意思疎通も出来ない人だった。
だから僕の両親はレティを自分の娘のように可愛がり、彼女に親切にしなさいとずっと言い聞かされて育った。
両親はいずれレティと僕を結婚させるつもりでいた。もちろん僕も親の言うとおりに将来は彼女と結婚して家庭を築くことを考えていた。
おとなしくて、しっかり者のレティならきっと良い奥さんになってくれるに違いないだろうから――
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初めてフィオナに会ったとき、衝撃を受けた。
「初めまして。セブラン様。私はレティシアの腹違いの妹のフィオナと申します。どうぞこれからよろしくお願いいたします」
そう言って僕に、まるで天使のような笑みを浮かべてみせたのがフィオナだった。
金色の髪に青い瞳のとても綺麗な少女。
彼女はレティの異母妹だということに更に驚いた。だってフィオナとレティは全く似ても似つかなかったからだ。
髪の色も、瞳の色も……何もかもが。
すっかりフィオナに見惚れていると、次に彼女の母親からも挨拶された。
母親の名前はイメルダといい、髪の色も瞳もフィオナとそっくりだった。
そうか……フィオナはおじさんよりも、イメルダ夫人に良く似たのかもしれない。そんなことを考えていると、再びフィオナが話しかけてきた。
「セブラン様。私も明日から同じ学園に通うことになりましたので、仲良くしてくださいね?」
そして愛らしい笑顔を向けてくる。
「は、はい……」
返事をしながら、自分の顔が熱くなるのが分かった。
「それではセブラン。挨拶も済んだことだし、そろそろ学園に行きましょう?」
ふいに声をかけられ、レティの存在を思い出した。そうだ、僕はレティを迎えにここへやってきたのだっけ……
「あ……そうだったね。それじゃ行こうか? レティ」
そして僕とレティはフィオナ達に見送られ、学校へ向かった――
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「ねぇ、レティ。さっきの人達は……君の家族なの?」
どうしてもフィオナが本当に異母妹なのか確認したくて馬車の中でレティに尋ねた。
「ええ。そうなの……私の母のせいで、あの母娘は世間から後ろ指を指されて今迄暮らしてきたみたいなの。だから責任を感じているわ」
そんなふうに思えるなんて、やっぱりレティシアは大人だ。
きっとフィオナは散々辛い目にあって来た違いない。
僕もレティを見習わなければ。
「うん、そうだね。それじゃ僕もこれからあの人たちに親切に接するよ。何しろ彼女はレティの妹に当たる人だからね」
僕は笑顔でレティに告げた。
フィオナと仲良くなれるチャンスができたことに喜びを感じながら――




