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<書籍、電子書籍発売中・コミカライズ連載中> ただ静かに消え去るつもりでした  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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23 レオナルドからの提案

「レオナルド……お前……」


祖父がレオナルドに顔を向ける。その顔はどこか複雑そうだった。


「カルディナ伯爵は彼女がこの屋敷にいるかどうか確証も無かったのに、わざわざ船に乗ってここまで訪ねて来られたのですよね? 自分がどのように思われているのかも分かっていて、責められるのも覚悟の上で。そうですよね?」


レオナルドは父に尋ねた。


「あ、ああ。そうだ……ひょっとすると娘はここに来ているのかもしれなと思って、それで……いてもたってもいられずに……ところで君は誰だね?」


「はい、レオナルド・グレンジャーと申します。グレンジャー家の養子です」


笑顔で答えるレオナルド。


「養子……?」


父が眉を顰めたとき――


「レオナルド! こんな男に一切余計な話はしなくていい!」


祖父がレオナルドを叱責した。


「ですが、おじい様。仮にもカルディナ伯爵はレティシアの実の父親ですよ? 彼女の前であまり伯爵を叱責するのは……いかがでしょうか?」


そしてレオナルドはチラリと私に視線を移す。


「そうですよ。あなた……。あまりレティシアの前でフランク氏を叱っては……この子が傷つくだけですわ」


「う……そ、それは……」


祖父は腕の中の私を見下ろす。その顔には困惑の表情が浮かんでいる。


「おじい様。……どうかお願いです。お父様とお話させて頂けませんか?」


祖父が父を怒る気持ちはよく分かる。

けれど私は勝手にあの家を出てしまったことが本当はずっと心残りだった。もし、また会えたなら伝えたいことがあった。その思いは父の姿を前にして、より一層強まっていたのだ。


「わ、分かった……仕方ない。可愛い孫娘の願いだ。不本意だが、フランク。お前の言い分を聞いてやろう」


するとレオナルドが言った。


「大事な話なので、部外者の我々はここにいないほうがいいでしょう。俺はふたりを連れて予定通り、外出してきますよ」


「「え?」」


その言葉にヴィオラとイザークが声を揃える。


「だ、だけど……レティシアを置いてなんて……」


ためらいがちに私を見つめるヴィオラ。そしてその言葉に頷くイザーク。


「私のことなら気にしないでふたりは観光を楽しんできて。どうかヴィオラとイザークをお願いします。レオナルド様」


「ほら、レティシアもああ言ってるんだ。俺たちだけで出かけよう」


レオナルドは頷き、ヴィオラとイザークに声を掛けた。


「わ、分かった……ヴィオラ、レティシアの言う通りにしょう」


「ええ……そうね。身内だけの話だものね……」


イザークの言葉に、ヴィオラは残念そうに返事をする。


「それでは皆さん、我々は出かけてきますので……きちんと話をして下さい」


レオナルドはまだ何か言いたげなヴィオラとイザークを連れて、屋敷を出ていった。




――バタン


扉が閉ざされ、エントランスには私と祖父母。それに父が残された。



「……レティシアとレオナルドに免じて、お前の話を聞いてやろう。来るがいい」


祖父は私の肩を抱き寄せたまま、祖母と並んで廊下を歩き始めた。


そしてその後ろを少し距離を空けて、硬い表情の父がついてくる。



お父様……本当に私のことを心配して、捜しに来てくれたのですか……?


私は心のなかで父に問いかけるのだった――



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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ、、、お祖父さんとお祖母さんにとってはこのクズ男は娘を見殺しにした人物ですから、どんな理由があろうと許せないでしょうね。孫だってないがしろにしていたわけですから。 よくのこのこ来れました…
[一言] 娘を求めてやって来たのはいいが、その前に身の回りの始末は付けてきたのか? まさか逆に追い出されてきたわけじゃないだろうな?
[良い点] レオナルド。 養子に来る=この家を経営する、という視点を持っている。 他の登場人物は、イザークも含め、どこかしら「自分中心」。視野が狭い。 一番視野が狭いのは主人公。 「自分中心」なひ…
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