魔法講義でした
この世界での、簡単な魔法の扱える人の違いについての説明
とりあえずの目的地であるサバン街へ向かう道中、ハクロから里宇はせっかくの異世界なので、魔法についての話を聞きながらある事にした。
300年ほども森から出ていない彼女ではあるのだが、魔法の常識は流石にそれほどまで変化はしていないだろうという事から学ぶことにしたのである。
「まず魔法についてですが…魔法を扱える人には先天的なモノと後天的なモノの二種類があります」
「先天的と、後天的…最初から使えるようになるのと、何か媒介か道具があってはじめて使えるようになるという事でいいのかな?」
「正解です。それにもう少し補足するならば、道具ではなく魔道具もしくは古代魔道具と呼ばれるようなものの存在が後天的にな人たちに必要になるんですよ」
前者、つまり先天的なモノならば、生まれつきどのように魔法を扱えるのかがなんとなく感覚的にわかるらしい。
どのようにして魔法を扱うのかは、魔法使いによっては異なるが…「なんとなく」という感覚だけは共通しているのだとか。
「リッチという、今の私のようなモンスターや、その他魔法を扱うモンスターもほとんどが先天的なモノですね。むしろ、モンスターになっている今の方がより強力な魔法を行使できるように感じられることから、肉体的にもモンスターの方が魔法の扱いに長けているのでしょう」
次に、後天的…魔道具などで魔法を扱えるような人たちである。
「里宇さんに渡した魔物使いになれる魔道具みたいな形で体内に直接取り込む者と、杖などの外からの触媒代わりとするようなものがそうですね。こちらの場合、初めから仕える魔法の種類がその魔道具などによって決まっているので、多様性はありませんが…」
先天的な魔法使いであるならば、様々な種類の魔法を扱えるオールマイティな感じになることが可能。
後天的な魔法使いであるならば、その決められた種類の魔法しか扱えないが、一発一発の火力が先天的な人に比べて高くなりやすい。
「まぁ、でも先天的な人でも後天的な人が扱うような魔法を凌駕することが努力次第では可能ですし、後天的な人でも媒介などを増やせば種類を増やせますのでメリット・デメリットは同じぐらいでしょう」
ただし、魔法を扱う本人の努力や資質というモノも重要になってくるので、そこばかりはどうにもならないのだとか。
「努力や資質というのはどんなものでも必要なのは変わらないか…」
「天才肌のような人なら全く必要なさそうにも思えますけど、やはりどのように魔法を扱えるのかは努力次第というのがありますね」
次に、魔法についてだが…結構多くの種類があるらしい。
一般的なのは炎を出す魔法。あの襲ってきたおっさんたちの中にそういえばいたなと里宇は思い出す。
次に水、風、電気とバリュエーションは豊富らしい。
「固有魔法なんてものもありますし、突き詰めればややこしいですけどね」
いろいろと教えてもらったが、結論としては里宇が魔法を扱えるようになるとしたら後者になりそうである。
もともと現代日本での生活だし、魔法とは無縁だった。
そんな人がいきなり魔法を感覚的に扱えるようになるだろうか、否である。
「そっか…ちょっと残念かな」
かつて中二病時代があった里宇としては、魔法が扱えたらいいなとは思っていたが諦めた。
今は魔物使いとして、ハクロと共に協力して生きていったほうが良いだろう。
「まぁ、ぶっちゃけ私はリッチとなったせいか人間だった時よりも魔法の扱いがものすごく楽になりましたけどね」
ハクロのその言葉に、里宇は何か台無しになったような気がしたのであった。
そうこうしている間に、目的地であるサバン街へ里宇たちは間もなく辿り着くのだが…
さてと、そろそろ人物設定をいったん出しますかね。




