こんなことになってました
主人公不在回
作者の知識的に不足なところがあるでしょうが、そこは暖かく見守ってください。
SIDEアルベスタ王国
「なるほど、歴史書では『ゼボン=ソイリア』、そしてグロウリア嬢‥‥‥今ではハクロと言う名になっておる者からの証言からだと『デボン=ナバーギア』だったんだな?」
「はっ、確かにその通りだと300年以上前の証人ともいるリッチの女性に聞きました」
「ただのリッチとかなら胡散臭いですが、これが元々王家にいた方だというのであれば、ほぼ信憑性は高いかと」
アルベスタ王国の王城、謁見室にてタナカとヘンリエッタは、里宇たちと共に行動していたハクロの証言を、国王であるザーイナス=アルベスタに報告していた。
「よし!!その証言があるならばあの国を治めている王族はやはり強制交代されていた可能性がある!!つまり、正しい王家ではなくまったくどこの馬の骨とも知らぬ野郎どもが治めていた証拠となる!!」
拳をぐっと握り、嬉しそうに叫ぶザーイナス国王。
実はここ数年ほど前から、アルベスタ王国の隣国であったソイリア王国から、国王の娘を自分体のところの王子と政略結婚させて関係を深めようという申し出がしつこいほどあった。
ザーイナスとしては自身の娘にはできるだけ臨む相手を見つけてやりたいという親心はあったのだが、国として考えるならば関係が強化できる政略結婚も考え物だったのである。
だがしかし、ある日偶然にも古い書物を見つけて読んでみたところ、ソイリア王国はかつてナーバギア皇国と呼ばれていた国であった可能性が浮上した。
そして読み進めて見ると、どうも侵略してきた蛮族によって乗っ取られて、そのまま国になった可能性がある事が判明した。
侵略によって国を手に入れた者たち‥‥‥そのことを考えると、もしかしたらこの国も侵略してくる可能性を考えてしまい、そんな者達のところへ娘を嫁に出すことはためらうようになったのである。
そこで、この際だから色々調べてみた結果、ソイリア国の隠していた黒いことが出るわ出るわの大問題だらけ。
もともと国を治めるだけの能力がなかったのか、表面上は発展している豊かな国としていたが、国道が荒れ果て、民はやせ細り、治めるべき者たちは肥え太り、怠惰にも色欲にも溺れまくり、どれだけうまいこと表面をとりつくろえていたのか驚愕できるほどの差がそこにあった。
なので、この際国際的に見てもあまりヨロシクなさすぎる国だから、他国と協力をして、この際国のトップを挿げ替えるという話を出したのである。
さすがに出兵して戦争を起こしたところで、うまみがなさすぎる。
ならば、せめてまだまともな国の状態にするような人に治めさせて、それでいてなぁなぁっと軽く付き合っていけるような状態にしたほうが利益があると意見が一致したのである。
そこで、考え出されたのは侵略される前の国を治めていた者たちを呼び寄せて、裏で色々工作してから祭り上げると言った作戦だったのだが、そこに少し問題が生じた。
本当に、「ナーバギア皇国」と言う国がそこにあったのかと。
長い歴史の中で、国名がちょっと言い直されていたり、読み方が違っていたりなどがあるので、少し不安が生じたのだ。
名前がどの様な者かは大体把握できていたとはいえ、自信がない。
ならば、その歴史の中で知っていそうな相手がいないかを探していた最中で‥‥‥最も信頼の取れそうな、300年以上前にこの国の元王女であった人物が、リッチとして従魔となって人に仕えているという情報が入り、確認しに行ったというわけである。
「があーはっはっはっはっはっは!!見ていろソイリアの野郎どもめ!!正当な王家の者をすでに見つけてその確認も取れ、娘を貴様らにやらないようにガッツンガッツン責め立てて国民には何も感じさせぬ間にトップを挿げ替えてやるのだぁぁぁぁぁ!!」
「‥‥‥これじゃぁ、どっちが悪役なのやら」
「これで有能だから、世界って不思議だよ」
高笑いをするザーイナス国王に対して、タナカとヘンリエッタは呆れたような目を向けたのであった。
「まぁ、気に入らん国の頭を交換するのは良いとしてだ、そのリッチ‥‥‥元グロウリア王女の方はどうなのだ?」
「一応従魔としての生活を楽しんでいるようです。仲間たちとの連携も凶悪なレベルで取れていましたし、過去に関してこだわりは特にないかと」
「王族から除籍されているので継承権も特になく、問題を起こすような性格ではありませんでした。ただ、『稀代の美魔女』と呼ばれていた通り、その美しさゆえに気が付く馬鹿たちが狙って何か面倒ごとを起こしかねないかと」
「王族との関係を見て、子でも孕ませて王族はこちらだとか言うような馬鹿が出る可能性があるという事か‥‥‥現時点では特に何も起きていないようだが、今後何かがあった時にさりげなくフォローデモしたほうが良いかもしれぬな。その今の名前はハクロ‥‥‥の主である魔物使いの動向もしっかりと見守っておこうか」
ザーイナスはそう判断を下し、密かに里宇たちは国から目を付けられることになったのであった‥‥‥
既に国に保護されているような状況なのかな?
万が一があれば、何かしらのフォローが入ると考えてもいいのかもしれない。




