何かがいるような その2
今回明かされるのは‥‥‥
SIDE里宇
「‥‥‥ネェ、マイマスターン」
デビリットボアをあらかた狩りつくし、依頼達成という事でギルドへ戻ろうとした矢先、ふとルンが何かに気が付いて里宇に尋ねて来た。
「どうしたルン?」
「サッキカラ、ソコノ木陰ニネ、人ノ気配ガン」
「え?」
ルンが指さした先を見れば‥‥‥確かに人がいました。
何やら二人組のようで、カッコウからしてマントにトンガリ帽子‥‥‥コテコテの魔法使いっぽいような格好をしたやつらがいました。
「‥‥‥何者だろうか」
その事に気が付いた里宇たちは臨戦態勢となってその者たちの方へ向き直った。
まだ何もされてはいないが、この世は弱肉強食、先手必勝。
殺伐としてはいるが、もうだいぶこの世界の事に里宇は適応していた。
「ハクロ、魔法で狙撃を狙う用意を。コンゴウは飛び上がって抑えつける用意、ルンはそうだな‥‥‥魔法を使う相手の可能性が高いから、魔法が扱える何かに化けて‥‥‥」
「「ちょっとまってくれ!!我々は別に何も攻撃するつもりはないんだが!?」」
里宇が指示を出し終わる前に、身の危険を感じたのか隠れていた二人組が慌てて飛び出してきた。
そっか、デビリットボア討伐の時から見ていた可能性もあるし、こちらの強さも見られているわけか。
そりゃ、慌てて飛び出るわな。
「‥‥‥こほん、まずはこちらが勝手にそちらを観察していたことに関しては、この場を持って謝らせていただこう」
そう言い、二人組のうち片方が頭を下げてきた。
髪の色と目の色が黒目黒髪であり、まるで日本人のように見えるこの男性はタナカと言う名前で、アルベスタ王国の宮廷魔導士筆頭をしているのだとか。
この国の国名らしいけど、初耳と言うか、聞いていなかったな。
「って、何で宮廷魔導士筆頭がここにいるんでしょうか?」
ハクロがそうつぶやく言葉は、他のメンバーも思っていた。
筆頭であり、しかも宮廷魔導士という事は国のお抱えの重要な魔法使いの事である。
権力もあり、そう言った類の人がなぜこの場にいるのだろうか‥‥‥
「その節に関しては、こちらから説明をいたしましょう。タナカ補佐のヘンリエッタと申し上げます」
里宇たちが抱いた疑問を感じ取ったのか、ヘンリエッタと言う人物が前に出てきた。
「まず、我々が観察していたのはその里宇さんではなくて‥‥‥リッチ、今はハクロと言う名前となっておられるお方の確認をするためにこの地に参上したのです」
「へ?私ですか?」
その言葉に、ハクロがきょとんと眼を丸くした。
里宇たちの方も、何でハクロガと思うがその次の説明を聞いて理由が分かった。
「その容姿、成長したことから考えても当てはまるのですが、貴方様は300年以上前にあったデルベスタ王家の真なる跡継ぎでもあった、グロウリア第2王女様でございますね?」
「‥‥‥王女!?」
『!?Σ(゜Д゜)』
「エエッ!?」
「‥‥‥さぁ、何のことでしょうか?私は今はハクロと言う名の、里宇さんに使えている従魔のただのリッチと言うモンスターですってば」
あからさまに目線をそらしながら答えるハクロ。
物凄い動揺しているのはわかるけど‥‥‥王女?
「え?でもハクロって元々研究とかをしていたよね?魔法薬とかの実験でよく爆発させたりして、森の中に引きこもったとか」
「そうですよ!!私が当時のその王女だとしても何か証拠があるのでしょうか!!」
ハクロに聞いたことがある話を里宇は思い出して呟き、ハクロはハクロで何やら必死になって隠している様子。
「幼きときの写真が歴史書に残っており、成長した場合の過程を考えて十分な証拠になりうるでしょう。こちらをどうぞご覧ください」
そう言って、ヘンリエッタとか言う人が渡してきたのは、一冊の物凄く分厚い歴史書。
その中のあるページを開くと‥‥‥そこには、幼き頃のハクロとしか思えないような少女の写真が写っていた。
「これがハクロなのかよ‥‥‥」
「ちょっ!?処分したと思っていた私の幼き写真がなぜ歴史の本に!?‥‥‥あ」
ここでハクロが思いっきり、自ら暴露したことによってその事実が本当であることが証明された。
ハクロの生前‥‥‥リッチになる前の過去、グロウリアと言う名前だった王女時代。
でも、なぜ処分したと言ったのだろうか?
衝撃の事実!?
テンプレを少々含む予定です。
よくよく考えたら、女性がたった一人ですべての研究用の薬品を持てたと思思えないし、その資金とかを考えるとハクロの過去には何か繋がりがあったのではなかろうか‥‥‥大体、里宇に魔物使いになれる魔道具を渡したところもあるしね。




